第9話 落とされた断頭台
お待たせしました!
ゴールデンウィークにあげたかったのですが
ある事情であげられなかったです本当にすみませんでした。
では、本編をどうぞ!
「お前は何の為にこんな事をするんだ!」
「貴様には関係ない」
フレイズは少女の鉈に剣を叩きつけ、反撃をされないように距離をとります。
「ところで、随分と逃げ腰だな」
少女はニヤリと笑い、瞬時にフレイズとの距離をつめました。
「俺を倒すんだろ?それでも騎士団の団長様か?」
「お前が近づいてくる瞬間を待っていたんだよ!」
そう言い、フレイズが少女に剣を振り下ろします。
しかし、剣で斬られたはずの少女は紫色の煙になって、消えてしまったのです。
「俺がその程度の事、対策してないわけないだろ?」
煙と共に少女がフレイズの後ろから突如現れ、フレイズの首元に鉈を軽く当てます。
「お前…… 一体何者だ!」
「人間だよ。さっきも言っただろ?」
「そんなわけないだろ!!」
フレイズがヤケクソと言わんばかりに、持っている剣を後ろに突き刺したのです。
すると、乾いた音と共に首筋に当てられていた鉈が離れました。
「油断してたとはいえ、仮面を割られるとはな……」
少女はフレイズを睨みつけながら、フレイズから少し距離をとった。
「女……の子……?」
「人間だと言っただろ?」
少女は先程までの声ではなく、いつもの声でそう言いました。
「全く、余計な事してくれやがって…… 顔を見られたからにはもうお遊びは終わりにしないとな」
少女がニヤリと笑い、静かに指を鳴らします。
すると、轟音と共にフレイズが氷の中に閉じ込められてしまいました。
「もう氷漬けだから聞こえないと思うが、魔法ってやつさ。お前ら下等階級の奴らにはできない芸当だろ?」
少女は氷に手を当てそう呟きます。
「安心しな、すぐに楽にしてやる」
氷をノックするように軽く叩くと、氷がフレイズと共にバラバラに砕け散りました。
「氷と一緒に砕けたから血の一滴も出ないさ。どうだ?楽に死ねただろ?」
少女はバラバラになったフレイズの肉片を眺め、静かにそう呟きます。
「さて、お前らの団長はいなくなった。今からお前らは俺の為に働け」
団員達の死体の山にそう話しかけ、少女は自分の名前が書かれた笛を取り出す。
「足が無くなっていない者達よ、今一度俺の為に立ち上がれ!!」
そう叫び、少女は高らかに笛を吹き鳴らします。
すると、なんということでしょう。片腕や頭の無い団員達の死体が立ち上がり、民家の方へ向かって行くではありませんか。
広場から殆どの死体が民家方面へ移動すると、次々と悲鳴が鳴り響きます。
「素晴らしい、やはりこの笛は人間如きには使いこないな……」
暫く住民達の悲鳴を楽しんでいると、一人の男が広場に入ってきました。
そう、マギルの助手です。
助手に気づいた少女は、ニヤリと笑いすぐさま泣き真似を始めました。
すると、それに気づいた助手が少女に駆け寄ります。
「大丈夫かい!?」
「お母さんが…… 殺されちゃった……」
「犯人は分かるか?」
助手は少女に手を貸しその場に立たせ、服についた汚れを払ってやり、少女にそう聞きました。
「仮面をつけた男の人だった……」
「広場にいるゾンビもそいつの仕業か!?」
少女は助手の問いにコクリと頷きました。
「とりあえず先生の所に連れていくよ!」
そう言って助手は、少女の手を引き歩き出しました。
「お兄さんはなんの人なの?」
「私はマギル先生の助手をしながら、赤ずきんに罪を擦り付けて死刑にした犯人を探しているんだ」
暫く手を引かれて歩いていると、急に少女が立ち止まりました。
「どうしたんだい……?」
「本当にマギルは馬鹿な部下を持ったものだな……」
少女が助手の手を振りほどき、妖しく微笑みます。
「まさか全く気づかずに俺をただの被害者だと思うとはな」
「どういう事だ!」
少女は助手の目を見て笑いだしました。
「お前とマギルが探していた犯人は俺だよ」
「っ!?貴様……騙したのか!」
「人聞きの悪いこと言うな。お前が勝手に勘違いしたんだろ?」
「先生に報告しないと……!」
助手は少女から逃げるように走り出しました。
「逃がすわけないだろ?」
少女の目が妖しく光ると、地面から無数の鎖が現れ助手を縛りあげたのです。
「くっ……!動けない……!」
「そう易々とマギルの所に行かせるわけないだろ?まぁ、生かしてやるわけもないがな」
そう言って少女は指を鳴らします。
すると、また何も無い空間から王座が現れたのです。
「赤ずきんを殺した犯人、見つかってよかったな」
王座に座り、クスクスと笑いをもらす少女を、助手が怒りに満ちた表情で見つめます。
「しかし残念だったな、こんな所で殺されるなんてな。サービスに赤ずきんと同じ死に方をさせてやるよ」
少女が指を鳴らすと、赤ずきんを殺した物とほとんど同じの断頭台が現れました。
そして少女は助手の鎖を解きこう命令しました。
「自分から殺される準備をしろ」
少女の瞳が光り、助手の体が勝手に動き出します。
「体が……勝手に……!」
数分もしないうちに処刑の準備が整いました。
「お前も不運だったな。マギルの助手になんてならなければ助かったかもしれないのに」
「お前が殺さなくても、あのゾンビ達に殺させるつもりだろ」
「ご名答、どっちにしろ殺してたのは変わりない。だが、死に方が違ったと言うだけの話だ」
少女が断頭台の前に置いてあった手帳を手に取ります。
そこにはどこで調べたのか、体を乗っ取る前の少女の事が事細かく書いてありました。
「この手帳俺が貰っておいてやるよ」
「ここで死んだとしても、絶対に先生がお前を……」
助手の言葉を遮るように、断頭台の刃は助手の首を切り落としたのです。
ボトンッ!という音と共に助手の首が床に落ち、切断された首からは大量の血が吹き出し、その場をすぐに血溜まりにしました。
落とされた頭を蹴り飛ばし少女は自分の家に帰りました。
ゾンビ達は月が沈む最後の瞬間まで街の住人を殺し続け、最終的に少女とゾンビ達で合計して街の三分の一程の人間を殺しました。
「テイル…… すまない、俺がついていれば……」
マギルは断頭台から離れた所にあった助手の頭を拾い、助手の名前を呼び静かに涙した。
「この手帳に書いてあるこの少女の母親、隣街にいるのか……」
手帳を閉じて少女は騒がしい外の様子を眺める。
「マギルの前にこいつを始末しないとな」
手帳に貼ってある1枚の女性の写真を眺め、少女は妖しく笑う。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
5月は仕事が忙しくて更新速度が今と同じくらいになります。
楽しみにしている方に申し訳ないです。
それでもまだ見てくださる方はこれからもよろしくお願いします!
追記:srのカイリューgxってさ、完全にブライトさんの殴って何が悪いのポーズしてるよね