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悪逆非道なマッチ売りの少女  作者: ポカ猫
第1章 悪逆非道なマッチ売りの少女
6/49

第6話 悪魔の笛と子供たち

お待たせしました!


1日遅れてすみません!

今回も少しグロテスク注意です


では、本編をどうぞ!

 最近、少女が住む街で奇妙な噂が流れていました。

 その噂というのは、おとぎ話に出てくるハーメルンの笛吹き男が現れたというものです。


「お嬢ちゃん、これから暫くは夜寝る時に耳栓をしておいた方がいいよ」


 少女が街の八百屋で買い物をしていると、店主が少女に商品を渡す時にそう言いました。


「耳栓?どうしてですか?」

「お嬢ちゃん知らないのかい?最近おとぎ話のハーメルンの笛吹き男が街に現れたって噂があるんだよ」


 店主は小さな声で少女にそう言うと、今度は耳栓を少女に渡しました。


「なんでもおとぎ話の通りだと夜、笛で小さな子供を操ってどこかへ連れ去ってしまうらしいよ。それを聞いた日から私の家の子供には毎晩耳栓を付けさせてるよ。これ、良かったら貰ってちょうだい」


 少女は店主に礼を言うと、予定を変更して街の図書館に向かうことにした。


「ハーメルンの笛吹き男か…… 面白そうだな……」


 ハーメルンの童話を読んだ少女は、店主から貰った耳栓をゴミ箱に捨てて、怪しげな笑顔を浮かべながら図書館を後にしまた。


 家に着いた少女は、ある程度の準備をすると今度は闇市に向かいます。


「お嬢ちゃん、また来たのかい?いい物揃ってるよ?」


 少女にそう話しかけたのは、猟師の時に薬を買った店の店主でした。


「いや、今回は薬を買いに来たんじゃないのこれを買いに来たんです」


 少女はある物を取り、金貨を払いその場を立ち去った。


「あんなもんわざわざここで買わなくてもいいんじゃないか?」


 店主は首を傾げながら少女を見送るのでした。





 一方その頃では探偵が修道院の焼け跡を調査しに来ていました。


「これは…… 民家放火事件と同じ犯人だな……」


 探偵が焼け焦げた柱を触り、助手にそう告げます。


「何でそうだと分かるんですか」


 助手は何故犯人が同じなのか分からず、探偵にそう疑問をぶつけました。


「答えは簡単さ、出火場所だ。どちらの場所も暖炉などから離れていて、一部に擦った後がある。何か火のついた物を、ここに擦りつけたのだろう」


 探偵は助手にそう推理をして、助手から前回の放火事件の容疑者リストを受け取った。


「よし、ここに載っている人物全員に話を聞きに行くぞ!」

「はい先生!」


 そこに真犯人の名前が乗っていないとは知らずに、探偵たちは勢いよく走り出した。


 探偵たちが聞きこみ調査をしているうちに外はすっかり暗くなり、探偵たちは近くの宿に泊まることにした。




 その頃少女はある時が来るのを、今か今かと待っていました。

 すると、少女の頭の中にある音色が流れ始めたのです。


「これが笛の音か……」


 少女が家の扉を空けて外を見てみると、沢山の子供たちが目を虚ろにしながら街の外へ向かっていきます。

 外へ向かっている子供たちの中には耳栓をしている者もいました。


「なるほど…… 頭の中に直接音色が流れているから耳栓なんて意味無いのか」


 少女も子供たちの後を追うように街の外に出ると、そこには中年くらいの男が子供たちに囲まれながら、気持ちよさそうに笛を吹いていたのです。


「お前がハーメルンの笛吹き男か」


 少女が子供たちの間を抜けて男の前に立つと、男は悲鳴に近い声を上げ少女を指さしました。


「なんでお前正気なんだ?この笛の音が聞こえないのか!?」


 男はもう一度笛を吹きますが、少女には全く効きません。


「なんでだ!?なんで、この悪魔の笛が効かないんだ!」

「悪魔の笛?」

「そうだ!俺は悪魔に魂を売ってこの笛を貰ったんだ!!」


 男は少女に持っている笛を見せつけました。それは、明らかに人間が作ったとは思えないような形でした。


「耳じゃなくて脳に直接音色が流れてたから、何かあるなと思ったら…… 悪魔道具だったのか」


 少女が笛を見てニヤリと笑いました。


「何がおかしい!!お前みたいな子供に何が出来る!」

「分からないのか?笛が効かないって事は俺がお前らとは違うっていうのが」


 そう言いながら、少女は持ってきたカバンからある物を取り出す。


「お、お前…… なんて物出してるんだよ……」


 少女が取り出したのは錆びついたノコギリでした。


「何って、ノコギリだよ。お前を殺す用のな」

「ここにいる子供がどうなっても良いのか!?俺はこの笛で何でも命令できるんだぞ!」


 それを聞いた少女は腹を抱えて笑いました。


「面白い事言うなよ…… そんなのどうでもいいに決まってるだろ?俺がこいつらに何かしてやる道理はない」


 少女がじりじりと男に近づく。

 少女に怯えた男は逃げるように走り出した。


「無駄な事をするなよ」


 逃げる男に対して少女は、紐で繋いだ足枷を投げ縄のように投げ、綺麗に男の足に繋げました。


「最後に聞いておく、子どもを誘拐して何をするつもりだったんだ?」


 少女がそう言うと、男は怯えながら金を取るためと答えました。


「な、なぁ…… 質問には答えたんだ…… だから助けてくれ!」


 それを聞いた少女は呆れた顔でため息をついた。


「前に他のやつにも言ったような気がするが、悪人なら最後までそれを貫けよ」


 そして少女は手に持っていたノコギリで、男が笛を持っていた方の腕を切り落としました。


 その瞬間男は、大粒の涙を流しながら痛みに耐えられず大声で叫び始めました。


「どうだ、錆びついてるから余計に痛いだろ?……ていうか、叫びすぎだ。うるさい」


 少女は男の声に顔を顰めて、叫んでいる口に向かって銃弾を撃ち込んだ。

 銃弾を打ち込まれた男は、その場で死んで動かなくなりました。


「試しにやってみたがこの方法はダメだな…… 苦痛は与えられるがうるさ過ぎるし、銃の方が早い」


 そんな事を言いながら少女は、残りの四肢を切断して体を麻袋に詰め込み、近くにあった洞窟に投げ捨てた。


 すると、もうボロボロだったのか袋が地面に落ちた衝撃で、洞窟が崩れ入口を塞いでしまいました。


「ちょうどよかった、これでまず見つからないだろう」


 少女は男が持っていた笛を拾い、そしてタオルで綺麗にしてからその笛を吹き鳴らしたのです。


「俺だけ家に帰ってたら怪しまれるからな」


 すると、笛の音を聞いた子供たちが自分たちの家に向かって歩きだします。


「この笛は人間ごときが使って力を発揮出来る物じゃないのさ。代わりにオレが貰っておいてやる」


 少女が笛を撫でると、そこに少女の名前のレイカという文字が浮かび上がったのです。


 文字を確認し、少女は自分の家に向かいました。




 少女がふと横を見ると、少し遠くに天にも届くような高い塔が見えました。


「次はあそこにするか……」


 少女は笑いながら子供たちの後をついて行きます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


次回更新は来週までに更新します

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