第44話 最強にして最愛の敵
お待たせしました。
前回よりは少し早いと思います。
では、本編をどうぞ!
少女のこの姿で出会うはずのない、出会ってはいけない二人が出会う。
「おい、なんとか言ったらどうだ?」
「え…… あ…… レ、レイカ…… なんでここに……」
レイカを見つめる少女の顔はどんどん青ざめていき、言葉を失ってしまします。
「その力、それに詠唱、随分と楽しそうにしてるじゃねぇか」
「レイカ…… ち、違うの……」
少女は涙を流しながらなんとかレイカに弁明をしようと、言葉を探しますが一向に良い言葉は浮かびません。
「こんな奴ら殺してないで俺と遊ぼうぜ」
そう言ってレイカはいつの間にか少女の目の前まで来ていて、そのまま鉈を少女に振り下ろしました。
しかし、その鉈は少女には届きません。
「ほう、なかなか力があるじゃないか」
レイカの攻撃に対し、読んでいたと言わんばかりに完璧に自らの鉈で少女の攻撃を受け止めたのです。
頭ではなく体が反応して動いているかのごとくの行動でした。
「やめて…… あなたと戦うつもりなんてないの……」
「俺はお前と戦いたくてウズウズしてるさ」
少女はレイカを突き飛ばし、距離を取ります。
背中の翼からは未だに大量の血が流れ続けています。
「ずっと気になってたんだ。俺の行動をわかっていたかのようなお前の行動、明らかに違ったマギルの呼び方。そして、この街から消えたマギル。俺が気づかないと思うか?気づかないようにやったんだろうが、気配すらないじゃないか」
レイカは少女に銃口を向けます。
その顔は昔少女に見せた怪しい笑みを浮かべています。
少女は思ったのです。殺されるわけには行かない……と。今まではいつ殺されてもと思っていたが、それは今この瞬間ではないと悟ったのです。
それは、少女がこの戦いに来る前に言ったセリフを思い出したからです。
”もしもう一度過去に戻ることになっても自分の中の悪魔は自分についてきてくれるのか”この問に二人の悪魔はついていくと答えたのです。
ならば、少女は今ここで死んでしまうわけにはいかないのです。大切な人を守るために。
「決めたわレイカ……」
「なんだ?」
少女は少し悲しそうなしかし、少し笑顔を交えて銃口をレイカに向けました。
「やりましょう。殺し合いを……」
「なら、やろうぜ」
そして、お互い銃弾を飛ばしお互いの銃弾がぶつかった音が、開戦の合図と言わんばかりに二人は互いの間合いを縮めました。
レイカは通常の鉈を、少女は魔法で強化された鉈をぶつけ合います。
「マギルはどうだった?随分と殺し甲斐があっただろう。俺がやりたっかたんだがなぁ!」
レイカは鉈ごと少女を吹き飛ばし、追い打ちに銃弾を打ち込みます。
空中で受け身を取れない少女に打たれた銃弾全てが体を貫きました。
「ああああああ!!」
「痛みの感覚はあるんだな。どんな構造をしてるのか余計に気になってくるな」
痛みに悶える少女にレイカがゆっくりと近づいてきます。
「おい、体貸せ……」
少女の頭の中にレイカの声が響きます。
レイカは少女の体を無理やり奪い、勢いよく立ち上がりました。
「ふふふ……こんなので勝った気にならないでよ」
少女の口調を真似ながら、手を握ったり開いたりを繰り返し体の感覚を確認します。
「次はこっちから行くわね」
少女は持っている鉈を投げつけたのです。
レイカはそれを小さな動きで交わし、ため息を付きました。
「おい、そんなんで……」
レイカがそう言葉を言い切る前に、レイカの腹にいつの間に距離を詰めたのか少女の回し蹴りが刺さりました。
「レイカ?このくらいで倒れないでね?手加減してあげてるんだからさ」
少女はあざ笑うようにレイカに悪態をつきます。
「やめて……!!その子の体に傷をつけないで!!」
少女の頭に体の持ち主の声が響いたのです。
「何言ってんだ、こんな面白いことやめれるわけ無いだろ」
小さな声でそう言い、少女は落ちた鉈を拾いレイカの首元にあてがいます。
「ほら、起きてよ。早くしないと死んじゃうわよ?」
「どこ見てんだ?」
少女の頭に銃口を当て、レイカが低い声でそうつぶやいたのです。
「え……?」
さっきまで鉈を当てていたレイカの姿はそこにはなく、代わりに大きな瓦礫が転がっていたのです。
「おいおい、俺と同じかそれ以上に俺のことをわかってるはずなのに、何やってんだ?」
少女は舌打ちをしてその場で固まります。
「いい加減……返してよ!!」
叫び声とともにもともとの持ち主に体が戻ってきました。
レイカはいきなりの力の変化に驚き、その場から距離を取りました。
「エラ、お前の何がお前をそうさせる」
レイカは答えを知っていると言わんばかりに、ニヤニヤと怪しい笑みを浮かべながら少女にそう質問します。
「私は悪魔と言われたあなたを助けるために……いや、その子を助けるために生きているわ」
少女は息を切らしながらそう答えたのです。
「悪魔悪魔とどいつもこいつも騒ぐからな。だが、俺は人間だよ、あくまでだけどな」
疲弊している少女は見て、レイカはゆっくりと歩みを進めます。
「ダラダラ続けててもめんどくさいだけだろ、勝負は決まった。楽にしてやるよ」
鉈を構え、どんどん少女が近づいてきます。
「はぁ……はぁ…… 私はここでは死ねないの……」
その言葉とは裏腹に、少女は今立つだけでやっとの状態です。
レイカの暴走のせいで体が疲弊しきってまともに戦える状態ではありません。
「もう諦め……」
怪しい笑みを浮かべ近づいてくる少女がその足を止め、そしてその体に異変が起こったのです。
「エラちゃんを傷つけないで!!」
その場にいる人間ではない。しかし、少女が一番聞きたかった声がレイカの口から放たれました。
少女がレイカを見ると、そこには赤い瞳ではなく黄色い瞳に涙を溜めた。少女が一番会いたかった少女がいたのです。
「あ、ああああ……」
その姿、声を聞き、少女はその少女と同じく涙を流しました。
歩み寄ろうとしたその時、手でその歩みを制止したのです。
「逃げて…… エラちゃん……私が抑えている間に…… お願い……」
その少女は逃げるように少女に促したのです。
「で、でも…… それじゃああなたが……」
「大丈夫、だってエラちゃんが言ってくれたじゃない。絶対に助けてくれるんでしょ?」
涙を流しながら、その少女は笑いかけます。
「だから、今は逃げて…… 大好きな大好きな私の大切な友達」
その言葉を聞き、少女はハッと思い出しました。
「あああああああ!!」
少女は痛みなど全てを振り切り、走り出しました。
少女が逃げ出してから、レイカの瞳が元の色に戻りました。
「畜生……無理矢理俺を抑え込んで表に出てきたと思ったら……!勝手なことをしてくれる…… しかし、楽しめそうだという点は評価するぜ」
レイカは少女を追うことはせず、期待をはせるようにその場に座り込んだのです。
逃げ出した少女は一目散にレイカの家を目指します。
周りの人をかき分け、自分の姿を大量の人に見られようと構わずに。
そして、ついに家にたどり着きました。
「もう戻ってこないつもりでここを出たのにね…… あんなふうに言われたら無理に決まってるじゃない……」
そう言って少女はあの懐中時計を握りしめました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
多分きっともしかしたら次回2章完結&3章突入です。




