表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪逆非道なマッチ売りの少女  作者: ポカ猫
第2章 絶望と憎悪のシンデレラ
41/49

第41話 愛する人に捧げる為

大変お待たせしました!!


本当にすみません!


では、本編をどうぞ!

 少女とマギルの剣がぶつかり合い、少女は変わらずマギルを睨み付けます。


「俺は人間が好きだ。一人一人には大きな力がないが、大人数が集まればそれはとても大きな力になる。助け合いをすることで人間はどんなことでも成し遂げられる。素晴らしい人間賛歌だと思わないか?だから俺はその人間賛歌を守るために探偵になった。そしてそれが今剣を振るう理由だ」


 マギルは少女とつばぜり合いをしながら、そう自分の持論を語る。

 それに対し、少女は大きな舌打ちをする。


「一人の女の子も守れない剣で、あなたは何を守るっていうの?人間賛歌?協力すればどんなことでもできる?その人間賛歌で行った行為が一人の女の子を処刑する魔女裁判だったじゃない。そんなものの何が美しいっていうのよ!」


 少女はマギルを弾き飛ばし、剣を鞘に戻しました。


「魔女裁判……?何を言っているんだ?この町でそんなことが起きたのは、放火事件が起きた翌日の()()()()()()()()()()()()。しかも、あれは容疑者で確定だったじゃないか」


「そうよね、知らないのも無理ないよね。あの時にはもうお前は居なかったからね」

「な、何を言ってるんだ……?」


 マギルは困惑の表情を浮かべ、全くもって分からないという様子です。


「しょうがない、特別に見せてあげるよ。お前の未来とこれからをね」


 そういって少女は手の甲の魔方陣を輝かせます。

 すると、マギルの下に時計の模様の魔方陣が現れたのです。


「な、なんだこれは……!」

「楽しい時間旅行へ行ってらっしゃい」


 少女はその言葉と共に勢いよく指を鳴らします。


 それが合図と言わんばかりに、マギルを眩い光が包みます。

 光が消えたところにマギルの姿はありませんでした。





 気が付くとマギルは前も後ろも分からない薄暗い空間にいました。


「ここはどこだ?」


 マギルはゆっくりと歩きながら薄暗い空間を探索します。


 すると、いきなりスクリーンのようなものが現れ、一人でに映像が流れ始めます。

 そこにはまず、処刑される前の少女と対峙するマギルの姿が映し出されていました。


「この少女は……」


 そして、少女が災厄の悪魔に変わり固有結界にマギルを誘う様子や、メラルダゾンビとの対峙。災厄の悪魔に殺される様子までがしっかりと映し出されたのです。


「災厄の悪魔に負けるっていうのか!?そんなことあるはずがない!俺はあいつを倒すために、何年も何年も鍛錬を続けてきたというのに!!」





 そうしているうちに場面は切り替わり、今度は災厄の悪魔になったあの少女が断頭台に括り付けられている様子が映し出されたのです。


 そして、民衆の大歓声と共に少女の処刑が実行されたのです。


 処刑される前の少女はもう何もかもが分かっていて覚悟ができているような様子でした。


 少女が処刑された後、今度は今マギルが対峙しているあの少女が断頭台に貼り付けられているのです。


「おい!どういう事だ!その子は関係ないだろ!!」


 当然マギルの声など届くはずもなく、民衆は処刑の準備に取り掛かります。


 もうすぐにでも処刑が始まる。その時でした。


 少女の体に何かが入り、少女に変化が起きたのです。

 その変化は今自分が対峙している少女の姿とほぼ同じ姿です。

 そこからは形勢が逆転したと言わんばかりに、少女は民衆を復讐と言わんばかりに殺し尽くしたのです。

 その映像を最後に、スクリーンは真っ暗になりマギルをまた眩い光が包みました。






「うっ……」

「おかえりなさい。どう?自分の未来となぜ恨まれているのかは分かったかしら?」


 少女は目を覚ましたマギルに向けて微笑みながらそう尋ねました。


「俺の未来は分かった…… だが、なぜ俺が恨まれなきゃいけないのかが分からない」


 その答えを聞いた少女は、苦虫を噛み潰したような顔をしました。


「まだそんな事を言うのね…… お前があの子を追わなければ!お前があの子と対峙しなければ!!あんな事にはならなかったんだ!見せかけの正義を振りかざし、自分の欲の為にあの子と戦ったからああなったのよ!」


「俺は他の人たちを助けるために戦っていたんだ!」


「その助かった民衆の踏み台としてあの子は殺されたのよ!」


 少女は涙を流しながら、マギルに訴えかけます。


「私はあの子の本当の名前も知らない…… 私は……私を助けてくれたあの子の名前さえも知らないの…… 知る前に人間どもに殺されたせいで!」


 少女は怒りに満ちた表情で再び鞘から剣を抜きます。


「私は悪魔で人間だったあの子を助ける為に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 少女はゆっくりとマギルに近づいていきます。


「俺はお前に危害を加える気はないんだ!!」


「こんな男の助手になったあの男は本当に可哀想ね。そして無様にもあの子に殺される…… とんだ無意味な人生ね。それがお前の守りたい人間賛歌だと言うのなら、やはりそんなものはいらないわね」


 少女は近づきながら、マギルにそう言葉をかけ闘争心を煽ります。


「なんでお前があいつの事を知っているんだ!」

「ある人から聞いたのよ。殺される場面まで鮮明に伝わるくらいね」


 殺される場面を思い出したように少女はクスクスと笑いだしました。

 その様子を見たマギルは顔を赤くさせ、体をプルプルと震わせたのです。


「さっきの言葉は撤回する…… あいつの死を笑うやつは誰であろうと許さない!」


「やっと私の気持ちがわかったみたいね。さぁ、かかってらっしゃい。完膚無きまでに叩き潰してあげるから」


 マギルは剣を握りしめ、少女に斬りかかりました。

 少女は笑いながら手の魔法陣を光らせ指を鳴らしたのです。


「ストップ」


 少女の声と共に鐘の音のようなものが鳴り、マギルの動きが止まったのです。


「さすが時間殺しと言われた力は凄いわね。まさか時まで止められるなんてね」


 動きの止まったマギルの前に立ち、剣を構えます。


「沢山斬り付けるけど、痛みは一瞬よ」


 そう言って少女はマギルに素早い斬撃を繰り返します。


「スタート」


 少女が指を鳴らすと、再び時が動き出しそれと同時にマギルが叫び声をあげました。

 体から大量の血を吹き出し、マギルは堪らずその場に膝をついてしまいました。


「な、何を……した……!」

「ちょっと時を止めて斬り刻んであげただけよ。悪魔っぽいでしょ?」


 マギルは何とか自分の体を動かし立ち上がろうとしますが、それは少女の蹴りによって邪魔されます。


「今日この場所で、あなたの未来は大きく変わったわ。そのおかげであの子の未来も少しは変わったかもね。光栄に思いなさい、あの子の未来を変える手助けができたのだからね」


「ふ、ふざけるな……!」


 マギルが少女の顔を見ると、そこには血をかぶりながらも笑う少女の顔があったのです。


「眠りなさい、永久に……」


 もがくマギルなんて気にせず、少女はマギルの首を刎ね飛ばしました。

 マギルだった頭を失った体からは大量に血が吹き出し、鏡の世界の草花を赤く染めあげます。


「宿敵を倒したってところか」


 今までずっと黙っていたレイカが、少女にそう話しかけます。


「ええ、でもまだまだよ。まだあの子が殺される未来が変わったとは思えない。まだあの子を殺した街の人間たちが残ってる」


 少女はアリス・ジョーカーの装飾を解き、剣に付いた血を拭き取ります。


「なら、こんなとこでモタモタしてねぇて帰るぞ」

「ええ…… でも、その前に」


 そう言って少女は、拭き終わった剣を天に掲げます。


「まだ名前を聞けていないからレイカって事にするわね。この死体、私が愛する人レイカに捧げる。私はあなたを愛しているわ」


 青空に向かってそう叫び、少女は火葬してお供えをするかのように、マギルだった死体を炎で燃やして、鏡の世界から元の世界に戻りました。


最後まで読んでくださりありがとうございました。


仕事が忙しい為、これからは不定期更新とさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ