第4話 王子と悲しみの人魚
大変お待たせしました!
色々と調べ物をしてたら遅くなってしまいました
では、本編をどうぞ!
夜になり、少女が出かける支度をしているとエラが二階から降りて来ました。
「レイカ?こんな夜遅くにどこへ出かけるの?」
「ちょっと食料が切れててね、近くまで買い物に行ってくるんだ」
「それなら私も連れて行って?」
エラが身支度を始めたが、少女はエラを止めました。
「あんたは今追われている身なのを忘れたのか?騒ぎが収まるまでこの家から出るな」
そう言って少女は、また作り直した赤いポンチョと服を着ました。
「レイカ……その恰好って…… とっても素敵ね!可愛いわ!!」
「あ、ありがとう……」
危なかった…… 迂闊だったな、これからは少し気を付けないとな。
「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
そうして少女は暗い夜道を歩き始めます。
しばらく少女が歩くと、少女が目指していた建物が見えました。
「ここが王子が住んでる城か、立派なところに住んでるんだな」
城の警備はかなり薄く、少女はすんなりと城に侵入することができました。
「王子の部屋はどこだ?」
少女は城の最上階まで駆け上がり、王子の部屋を探します。
「この扉の奥が王子の部屋か……」
少女が探しているうちに、少女は周りとは違う一際大きな扉を見つけました。
少女が扉をノックすると、どうぞと声が聞こえたので、少女は静かに扉を開けて中に入ります。
「お前は!あの時処刑した赤ずきん!?」
「こんばんは、王子様?」
王子は少女を見た途端、悲鳴に近い声をあげました。
「どうやってここまで来た!」
「普通に階段を上がって来ましたよ?周りにいた警備の方々には気づかれませんでしたけど、帰る時に見つかると面倒なので、私と同じように首を落としておきました」
そう言うと、少女は血のついた鉈を王子に見せ、ニヤリと笑いその鉈を構えます。
「お前…… 何故生きている!」
「なんででしょう〜?」
少女は王子を小馬鹿にするように笑い、ジリジリと王子に近づく。
「く、来るな!!」
王子が壁際まで下がったのを確認すると、少女は一気に王子との距離をつめます。
「よぉ、王子様?お前のせいで俺は今とてつもなく迷惑してるんだ。お前が死んでくれれば全てが丸く収まるんだ……」
「赤ずきんじゃない!?お前は……!!」
「今頃気づいてももう遅い……」
そう言い、少女は王子の首を鉈で切り落とした。
血を吹き出しながら倒れる王子の体、そして切り落とされた王子の顔が、少女の事を睨みつけていた。
「ふぅ…… これでエラを家から追い出せる、それにしても物凄い量の血を浴びちまったな……」
そんな事は全くもって気に止めず、少女は自分の体に付いた返り血を気にしていた。
その後、少女はすぐさま城から抜け出し、自分の家に戻るとエラが寝ているのを確認し、急いで着ていた赤いポンチョと服を暖炉で燃やしました。
「これでやっと静かに暮らせる…… 俺の計画の為にも早く情報を集めないとな」
少女は安心し、自室で眠りにつくのでした。
次の朝、街中が王子が処刑された赤ずきんの霊に殺害されたと、大騒ぎになっていました。
しかも、夜遅くに赤ずきんが王子の城に向かうところを見たと言う人達が多くいたのです。
「エラ、お前を追いかけ回していた王子が殺されたみたいだぞ」
「そうみたいね…… 街中で騒ぎになってるわ……」
すると、少女は立ち上がりエラに食料と水の入った袋を渡しました。
「何これ……」
「お前に危害を与える人間はいなくなった。もうここにいる理由もないだろ、出ていけ。それはせめてもの情けだ」
エラは袋を少女に返し、少女の肩を掴みます。
「嫌っ!私はもうここ以外に行くところがないの!!何でもするからここに居させて!!」
エラの必死の訴えにも耳を貸さず、少女はエラの手を払い除けてエラに銃口を向けました。
「うるさい…… 死にたいのか?正直お前をこのまま生かしといていいか悩んでたんだ。丁度いい、選べ。死ぬか逃げるか」
銃口を向けられたエラは少し怯えたが、その直後に少女の異変に気づいた。
「レイカ…… どうして涙を流しているの?」
「涙?そんなもの出てるわけ……」
少女が自分の目に触れてみると、確かに大粒の涙が頬を伝っていました。
こいつの体が…… 拒んでいるというのか?こいつを殺すことを…… 今までこんな事無かったじゃないか。
「本当は私の事を殺す気なんてなかったのね?」
違う!
「私をここから出す為にそんな事をしたんでしょ?」
違う!!なんで引き金が引けないんだ!
「分かったわ…… 出ていくわね。今までありがとう……」
そう言ってエラは、袋を持って少女の家から出ていきました。
そして、1人になった少女はその場で落胆しました。
「こいつの体をもっとしっかりと支配しなければ…… このままだと計画に支障が出る……」
少女は引き金を引けなかった銃をベッドに投げ捨てて、もう一度眠りに着くためにベッドに横になります。
「次の狙いは修道院だ……」
少女はそうつぶやき静かに目を閉じました。
王子が殺害された現場に一人の探偵が訪れました。
「……これは霊の仕業なんかじゃない、犯人がしっかりといる。」
警察にそう告げて探偵は助手と共に現場の調査に入ります。
「先生、この切り口って……」
「あぁ…… 使い古した鉈で切り落とされている。しかもかなりの力でな」
助手が探偵に首の切り口を見せて、犯人の絞り込みが始まりました。
「ていうことは、犯人は男ということですか?」
「いや、目撃証言には赤ずきんを見たという証言があるということは。男だということはないだろう……」
「でもそんなのありえないですよ!赤ずきんということは犯人は小さな女の子ということになります。少女にこんな力が出せるとは思いません!」
探偵は助手の話を聞きながら煙草を一本吸いました。
「これは、ただの殺人事件じゃないかもしれないな……」
エラが出て行ってから3日が経ち、少女は今海沿いにある修道院に来ていました。
「修道院もあると後々面倒なことになりかねない…… 早いうちに始末しといて悪いことはないだろう……」
少女は夜になるまで時間をつぶそうと浜辺を歩いていると、少女は浅瀬の所で珍しい生物を見つけたのです。
少女は声を作りその生物に話しかけます。
「どうしたの?人魚さん?」
「あ、ちょっと…… 悩んでいるの」
人魚は少女に悩みを打ち明けました。
どうやら、海で難波した隣の国の王子を助けたのだが、自分は人魚だから地上には上がれない。だから、浜辺に王子を寝かせてそのまま様子を見ていたら、修道院から出てきた女に助けられ王子はその女に恋をしてしまったらしいのです。
「王子様が助かってよかったじゃない、どうしてそれが悩みなの?」
「私も王子様に恋をしていたの…… だから、目が覚めたら思いを伝えようと思っていたのに、王子様は自分を助けてくれたのは修道院の女だと思ったの。そして、そのまま恋に落ちてしまった」
話し終えた後、人魚はそのまま泣き始めてしまいました。
すると、その話を聞いた少女はニヤリと笑い、声を元に戻し人魚にある提案をします。
「お前を助けてやろうか?」
「えっ……?」
「王子を取り戻す手伝いをしてやると言ってるんだ」
少女は人魚の手を取り、人魚の反応を待ちます。
「いいんですか?」
「あぁ、話を聞くとあまりにも不憫じゃないか。だから助けてやるよ、王子はあの修道院にいるんだろ?今日の夜にまたここに戻ってきな、王子に合わせてやるよ」
そう言い、少女は人魚の前から立ち去りました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
これからはサクサクと更新していきます!
次回更新は来週までにはあげたいと思います