第39話 少女の一時の幸せ
お待たせしました!
本当に約2ヶ月もお待たせして申し訳ありません。
では、本編をどうぞ!
レイカからの情報を聞いた少女は、終始怪しい笑みを浮かべながらまるで力を蓄えると言わんばかりに、女性の亡骸の心臓を咀嚼しています。
「本当にうれしそうにしてやがるな。ところでこの死体はどうするんだ?」
心臓を咀嚼する少女に対し、レイカはそう質問を投げかけます。
「そろそろ食べるのも飽きたしもう全部燃やしちゃうわよ?」
そう言うと少女は、自分の手の甲の魔方陣を光らせました。
そして勢いよく指を鳴らすと、地面に散らばっていた亡骸が燃え始めたのです。
燃えている亡骸を見る少女の目は、もはやゴミを燃やしている時と同じように無感情でした。
それが元々人だったなんて思ってもいない様子です。
「さて、行きましょうか…… あの子の元に」
灰になった亡骸を掴んで空中にばら撒き、少女は翼を広げてあの少女のいる街に向かいます。
街に着いた少女は不意に懐かしい気持ちに襲われました。
街はボロボロになり、人の残骸がまだまばらに残っていて少女が前に住んでいた街とは様子などは全てが変わっているのに、少女は上空から街を見下ろして静かに涙を流したのです。
なぜなら、その街の様子はあの少女が生きている証拠であり、そしてまだ少女自信ががあの最悪の歴史を変えられていないという証拠でもあったからです。
「やっぱり私があの街で暴れていだけじゃ歴史なんて変わりはしないのね……」
「当たり前だろう。なぜならお前があの街で暴れたから、俺がこの街で暴れられたんだからな。お前が今までやってきた事は経過は違えど歴史通りという事だ。歴史を変えるって言うのはそんな簡単な事じゃないんだよ。ま、今はせっかくのチャンスだ楽しんでくればいいんじゃねぇか?」
「そのつもりよ……」
そう言って少女は、必要な物を揃えてレイカから聞いたその少女が現れる場所に向かいます。
広場でレイカを見つけた少女はまるで偶然を装うように話しかけます。
「レイカ!?」
「無事だったの?」
「当たり前だ、お前もしぶとく生き残ったのか……」
レイカの服を引っ張りながら。広場がこんな状況なのに目をキラキラと輝かせ、レイカに笑顔を振りまいています。
「お前こんな状況でなんで笑っているんだ?」
「あなたに会えたから!!」
少女はレイカの手を掴みブンブンと上下に揺らします。
「離せ!鬱陶しい!!何の用だ!!」
「これをあなたに渡しに来たの」
そう言って少女はレイカの手にある物を握らせました。
「なんだこれは……」
「隣街の地図だよ、必要でしょ?」
「なんでそのことを知っている……」
レイカは怪しむ目で少女を睨みました。
「さっき会ったお店のご主人に聞いたのよ」
「余計な事をいいやがって……」
レイカがそう呟くと、少女が再び少女の手を握ります。
「でもいいじゃない?こうやってまた会える理由になったんだから」
「俺は別に会いたいなんて思ってない」
少女の手を振りほどき、レイカは溜息をこぼす。
「レイカも用事があるだろうし私はもう行くわね?」
「さっさと行け、それと地図の礼だ」
そう言ってレイカは少女にお金の入った袋を渡しました。
「あ、ありがとう。また必ず会おうね?私が絶対に助けるから」
少女はレイカの頬に軽く口付けをしました。
「必ず救ってみせるから……」
歩き出したレイカを見送りながら少女はもう一度そう呟きました。
「あれがこの子をあそこまで狂わせる原因なのね」
「ああ、そうだ。中に入っているのは俺だがあいつは本当に素晴らしかった。教えてもいない俺の真名を躊躇なく呼びやがったんだからな」
目的を果たした少女は、改めて街の様子を観察するようにぶらぶらと歩いていました。
「君、ちょっと待ってくれ……!」
すると、忌々しい男の声が少女を呼び止めたのだ。
マギルです。
「元気そうでよかった…… あの事件で怪我などはしてないか……」
マギルが言葉を言い終わる前に、少女がマギルの額に銃口を当てました。
少女の顔は先程レイカと話している時の顔ではなく、マギルのことを鋭く睨みつけています。
「マギル……!よくのうのうと私の前に出てこれたわね…… お前のせいであの子があんな目に遭ったっていうのに!!」
少女は憎悪の表情を浮かべ今にも引き金を引こうという雰囲気を出しつつも、マギルが何かを話すのを待っているような雰囲気も出しています。
マギルが思い切って口を開きます。
「私が何をしたというんだ!子供がそんな物を持っていていいわけないだろう!!早くこれを下ろせ!」
その言葉を聞いた少女は、イライラしつつも静かにマギルの額から銃口を下ろしました。
「今はお前が何をしたということはない。これからお前が確実に起こす未来に私は怒っているんだ……」
マギルは正直何を言われているのか分かっていない様子です。
その様子を見た少女は怒りを通り越し涙を流し始めました。
「次会った時は確実に殺す…… 覚えていろ」
そう言い残して少女は路地裏に入り、翼を広げ空中に飛び立ちます。
「あ、待ってくれ!!」
マギルが少女を追って路地裏に入るが、そこにはもう少女の姿はありません。
「見失ったか……」
空中からマギルを見ながら、少女は改めて自分が何をしなければいけないのかを考えます。
「あの子が処刑された罪状はマギルの殺害と国家反逆罪…… マギルは確実に私が殺さなければいけない…… 何があっても……」
そして少女は元居た街に戻ります。
「さて、次はあの子は隣街で何をするの?」
「自分の母親を殺しにいく」
「たかがそんなことなら私が行ってあげても良かったのに」
もはやこの少女は、自分の親を殺すことすらもそんなことで片付けてしまうのです。
あの少女以外の事などゴミ同然という様子です。
「いや、あいつが殺さないと意味が無いんだ」
「そう、ならそれでもいいのだけど」
少女は教会に戻り、翼を広げ楽になります。
「あと1週間程だぞ」
「何がよ」
「俺がマギルを殺すのがだ」
それを聞いた少女は目を見開きます。
「それまでにあいつを……」
あの時会ったマギルの顔を思い出したのか、少女はギリギリと歯ぎしりをしています。
「準備をしないといけないわね……」
そう言って少女は一旦睡眠をとる事にしました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回更新は何とか1ヶ月以内に更新をと思っています。




