第35話 鏡の世界の決戦
お待たせしました!
一週間以内に更新出来ましたね
では、本編をどうぞ!
帰ってきた少女は、自分の寝室に戻ると「ARISU」のトランプを眺めます。
辺りはまだまだ真っ暗で夜が開けるには時間がかかりそうです。
「何トランプなんか眺めてたそがれてんだ」
ぼーっとしている少女の頭にレイカの声が響きます。
「いや、そろそろかなって思って」
「そろそろだぁ?」
曖昧な答え方をする少女に、レイカはイライラしながら返答を待ちます。
すると少女は、鏡に「ARISU」のトランプを投げつけました。
投げつけられたカードは鏡にぶつかることなく、そのまま鏡の中に取り込まれ、鏡は怪しい光を放ちだします。
「そろそろジャンダを殺さないとね……」
そう言って少女は、静かに鏡の中に入りました。
鏡の中は、少女が出てきた時とほとんど変わっておらず、木の形をしたお菓子やケーキが立ち並んでいます。
「統治してる人間がいなくなっても変わらないのね……」
少女は落ちている葉っぱを一口噛りました。
すると不思議なことに、今まで感じていた不快感を感じなかったのです。
「あれ、少しだけだけど美味しいって感じるわね…… なんでかしら……」
「それは私が居るからですね。私は甘いもの大好きなので」
少女の頭の中で嬉しそうな女性の声が響きます。
「変化の悪魔の影響なの…… 本当に中に入っているやつのせいで味覚まで変わってちゃたまらないわね……」
「でも少しってのは…… やはりお前が俺と契約してるからだろうな」
少女はレイカの声を聞きつつ、目的の場所に向かいます。
しばらくすると、ある一つの鏡の前に辿り着きました。
「この鏡の世界が本当に私の物になったのがよくわかるわ。だってこの世界が私を目的の場所に導いてくれたのだからね」
「ジャンダがこの先にいるな……」
少女は体を少し震わせて、怪しい笑みを浮かべます。
「さぁ…… 行きましょうか……」
そして、少女は鏡の中にゆっくりと入っていきました。
少女が鏡から出ると、鏡の輝きは消え去り「ARISU」のトランプが少女の手に帰ってきました。
少女が出てきたのは普通の一軒家でした。
「この家にジャンダが……」
そう言って少女が歩みを始めようとした時、部屋の扉が何者かによって開かれました。
「こんばんは、あなたが今日ここに来るのは知っていたわよ。おどろいた?」
扉を開けたのは誰でもない、ジャンダだったのです。
「お久しぶりね、ジャンダ。そういえば、マギルに報告に行くんじゃなかったの?道にでも迷った?」
少女は怪しい笑みを浮かべながら、ジャンダにそう話しかけます。
「あなたこそなんの用かしら?私に敵わないのは分かったでしょ?」
お互い相手を挑発し、相手の様子を伺っています。
ジャンダは手に杖を、少女は手に鉈を持ち臨戦態勢という雰囲気です。
「それともあれかしら?息の根を止めてもらいに来たの?」
「息を止めに来たの間違いよ。勘違いしないでほしいわ」
そう言って少女は、後ろの鏡にもう一度「ARISU」のトランプを投げつけます。
鏡は再び怪しい輝きを放ちます。
「ここじゃ場所が悪いわよね。ちょっと移動しましょうか」
少女は指を静かに鳴らします。
すると、鏡から眩い光が放たれ少女とジャンダを包み込みました。
「く…… 何……!?」
光が止むと、そこには二人の姿はなく鏡も元の輝きに戻っています。
ジャンダが目を覚ましたのは、お菓子でできた木々が囲む原っぱでした。
そう、アリスと少女が対峙した場所です。
「やっとお目覚めかしら」
「ここは…… どこだ……」
ジャンダは立ち上がり、少女を睨みます。
「鏡の世界よ。ここならどんなに暴れても問題ないわ」
「あなたが逃げ惑うの間違いじゃないのか?」
ジャンダは少女を嘲笑うようにそう言いました。
「そういえば、あの騎士団は団長以外随分と骨がなかったわね。ライズ…… だったかしら?あいつは骨があって殺し甲斐があったわ」
少女はライズから奪った剣を取り出し、ジャンダに見せつけるように地面に刺しました。
「まさか…… ライズを……!」
「あら、お友達だったかしら?それは失礼したわね」
少女はニヤニヤと笑いながら、剣を腰に刺してある鞘に戻します。
「よくも……!」
ジャンダは憎しみが籠もった顔で少女を睨みます。
「ふふふ…… その顔が見たかったのよ。さぁ、始めましょう?」
少女がそう言うと、ジャンダは杖を握り呪文を唱えます。
すると、少女の真下に魔法陣が現れました。
「MERMAID……」
魔法陣から火柱が出る直前、トランプを取り出し小さくそう呟きました。
「ライズや騎士団の無念…… 一瞬にして晴らしてあげる!」
ジャンダの声と共に巨大な火柱が現れ、少女を包み込みました。
「大口叩いてた割に、前と同じ行動をするなんてそれしか芸がないの?」
「えっ……?」
ジャンダは驚きました。
なぜなら、今まさに火柱に焼かれているはずの少女からいかにも余裕そうな声が発せられたからです。
「なんで答えら……」
ジャンダが言葉を言おうとした瞬間、火柱があるものによってすべて消されてしまったのです。
そう、渦潮です。
「対策をしてないわけがないじゃない」
魔法陣から出てきた少女を見たジャンダは唖然としました。
それは、少女が自分の魔法を打ち破ったからではなく、少女自身の姿に驚きを隠せないのです。
少女は頭に冠のようなものを着け、手には青い宝石の付いた指輪をはめているのです。
明らかに先程の姿とは違う少女を前に、ジャンダは言葉を失います。
「驚いたかしら?」
少女が指を鳴らすと、少女は元の姿に戻り怪しい笑みを浮かべました。
「これは"天の声"でも分からなかった?」
「あなたの中に入っているのは災厄の悪魔じゃないの……?」
ジャンダは少女と距離を取りつつ、そう質問します。
「何度も言わせないでよ。中にいる悪魔なんていないのよ」
「嘘をつくな……!何を取り込んだ!」
「私、しつこい人は嫌いよ?」
少女がそう言うと、少女の背中から翼が現れました。
「な……!片翼だったはずなのに…… 両翼に……」
「さっきからあなた驚きっぱなしじゃない、そんなんじゃ命がいくつあっても足りないわよ?」
その瞬間、少女は一気にジャンダとの間合いを詰めて首を締めます。
「く……!は、離せ……」
「離すわけないじゃない、何を言ってるの?」
少女はそのままジャンダを掴みながら空中へ上がっていきます。
「人間って…… どれくらいの高さから叩き落とせばいい感じに壊れるのかしら」
少女は怪しい笑みを浮かべながらそう呟きました。
ジャンダはその時、初めてこの少女に恐怖を覚えたのです。
"天の声"がなくてもこれから自分が何をされるのかが手に取るように分かるのです。
「アハハハ、必死になって足掻いてるわね。そうじゃなくちゃ面白くないわ」
少女の笑いを尻目に、ジャンダは掠れた声で呪文を唱えます。
すると、少女の真後ろから火球が飛んできて、そのまま少女の背中に当たったのです。
少女はその衝撃で手を離してしまいます。
少女の手から開放されたジャンダは、きれいに着地し体制を整えます。
「あの状態からも魔法が使えるなんてちょっと想定外だったわ……」
「簡単に死ぬわけにはいかないからね……」
空中から降りてきた少女が、ジャンダを軽く睨みました。
「これをあなたに使うつもりはなかったんだけど…… しょうがない……」
そう言って少女は、「ARISU」のトランプを取り出しました。
「そんなトランプで何をするっていうの?手品?」
ジャンダは首を抑えつつ、荒い息で挑発をかけます。
その姿を見て少女はニヤリと笑い、トランプに手をかざし魔法陣を光らせます。
トランプが光り輝きその場から消え、少女の横に紫色の魔法陣が現れました。
「まぁ、手品みたいなものよ」
そう言って少女は魔法陣を殴りつけてバラバラに破壊します。
すると、バラバラになった魔法陣の破片が少女の体に張り付き、魔法陣模様の球体が少女の体を包んだのです。
しばらくして、ピエロのような笑い声が球体から発せられた直後、球体は割れ中から少女が現れました。
少女の頭には真っ赤なリボンが付けられ、肩には血で塗られたように真っ赤なマント、手には赤い宝石の付いた指輪がはめられています。
「さぁ、第2ラウンドといきましょう」
少女は怪しい笑みを浮かべて鞘から剣を取り出しました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回更新は10日以内にしたいと思います。




