第33話 トランプと悪魔の心
お待たせしました!
何とか1週間以内に投稿出来ました、
では、本編をどうぞ!
「そういえば、この世界にいた白ウサギたちはどうしたのよ」
少女は、ふと思いついた疑問を変化の悪魔に投げかけます。
「あなたのところに来る前にアリスが全員殺しちゃったわよ。使えない子達ねって言ってね」
「てことは、この世界に残ってるのは私だけってことね」
そんな会話をしているうちに、少女は自分が出るべき鏡の前までたどり着きました。
「さて、さっさと帰りましょう」
少女が鏡に手を当てると、鏡が白く輝き少女を包み込みました。
そして少女が目を開けると、そこには元の世界が広がっていたのです。
「戻ってきたみたいだな」
頭の中にレイカの声が響きます。
「私心臓は食べるって言ったけど、こんなに騒がしくなるなんて聞いてないんだけど」
少しイライラしながら少女はレイカに文句を言います。
「言ってないんだからお前が知ってるわけ無いだろう」
「これからは自由にさせてもらうからよろしくね。エラさん」
レイカと最悪の悪魔が同時に喋り出し、少女の頭の中はもうぐちゃぐちゃです。
「変化の悪魔、1つ言っておくわよ」
「ん?なに?」
「私はあなたを食べたのであって契約したわけじゃないから、あなたの力は私が好きに使わせてもらうから」
少女は笑いながらそう変化の悪魔に言い放ちました。
そして、それを聞いたレイカは大きな声で笑い出したのです。
「それは分かってるわよエラさん。私の力、好きに使ってくれて構わないわ」
「それならそれでいいのよ。さて、翼とかを戻さないとね」
そう言って少女は、翼をしまい、瞳を元の色に戻しました。
「後は、これを使って……」
少女はジョーカーのトランプを取り出し、自分が出てきた鏡に近づけました。
すると、鏡がジョーカーのトランプの中に吸収されたのです。
「あら、私の力じゃない…… 教えたかしら?」
「頭の中に使い方が流れてきたのよ」
鏡がトランプの中に完全に入ってから、少女はそのトランプを確認しました。
そこには鏡の前に立つジョーカーの下に「ARISU」と書かれています。
「これは、ミラージョーカー?それともアリス?どっちで呼べばいいのかしら。白ウサギ達が残ってたらジャック、クイーン、キングの枠が埋まったのにね」
少女はトランプを見ながら少し残念そうな声を漏らします。
そして、少女は歩き出し一番初めに暴れた教会を目指します。
「まぁ、キングの枠はもう決めてるから。それはそれでいいんだけどね」
「ほう、誰だそいつは」
「ジャンダに決まってるでしょ。あの恨みは絶対に忘れないわ」
そんな会話をしているうちに少女は教会にたどり着きました。
教会は既にボロボロの状態で、屋根の上に合ったはずの十字架はなくなっており、教会としての神秘的力は何一つ働いていません。
「しばらくはここが寝床でいいかしら」
そう言いながら少女は教会の中に入ります。
すると、教会の中に散らばっていた死屍累々の山もきれいに片付けられていて、少女以外の人の気配もありません。
「一応鍵くらい締めておきましょうか」
教会の扉の鍵を締め、少女は前に寝たベッドのある部屋に移動しました。
部屋に入ると少女は翼を広げベッドの前に座ります。
「やっぱりもう翼を広げてるほうが楽になったか」
「そうね、悪魔になった証拠かしらね。ところで、今は向こうの街で何をしてた時期なの?」
少女は翼の手入れをしながら、そうレイカに質問しました。
「そうだな…… 人魚と王子を海に捨てたところだと思うぞ」
「ちょうどいいわ、じゃあ寝る前に少し向こうの街に行きましょうか」
少女は怪しく笑い、再び外に出ました。
外は暗い夜に包まれており、人通りもほとんどなく教会の周りには街頭1つありません。
それをいいことに、少女は翼を使いその場から飛び立ちました。
「どこに行くんだ?」
「人魚のところよ。赤ずきんは他の人に殺されちゃったからね、人魚くらいは私が殺しておきたいの」
少女は楽しくて楽しくて仕方がないという顔で街に向かって移動を続けています。
その言葉を聞いてレイカはまた笑い声を押し殺します。
この少女は体だけじゃなく、心まで完璧な悪魔になった。
赤ずきんの時に変わり始めていた人間の心が、ついに完全に変わったのです。
自分の目的のためならどんなものでも利用する、どんな人間でも殺す。
もはや、この少女に元の純粋な心は残っておらず、あの少女を助けること以外に興味がありません。
「どうだ変化の悪魔。こいつに付いてきて正解だっただろう」
少女には聞こえない悪魔同士の会話で、レイカは変化の悪魔に笑いながらそう言います。
「ええ、本当に面白いわ。だって、今のこの子…… 昔の災厄の悪魔に近づいてるもの」
「ねぇ、ここらへん?」
会話を遮るように少女がレイカに話しかけます。
悪魔たちが会話をしているうちに少女は目的の場所に到着したようです。
「ん?ああ、ここだ。足枷を付けて動けなくしているから、まず間違いなくここにいるだろう」
「そう、じゃあ行くわね」
そう言って少女は勢いよく海に飛び込みました。
その姿はまるで海にいる魚を狙う鳥のように、滑らかな動きで海に入っていったのです。
少女がしばらく下に潜っていると、2つの人影のようなものを見つけました。
「あれが人魚ね」
「助けて!!」
少女を見つけた人魚が水の中で手を振りこちらに助けを求める。
それを見た少女は一気に急潜水し、人魚の前に移動しました。
「おねがい!この人を助けて!!」
人魚の近くには、同じく足枷を付けられた男性が沈んでいました。
しかし、その男性は明らかにもう溺死しており助けるもなにもない状態です。
「もう死んでるわよ、この人。それと、なんでこんなところにいるの?」
少女は知っているにも関わらず、人魚にそう聞きました。
「悪魔のような女に騙されてここに投げ出されたのよ…… もし、ここから出たときは絶対に殺してやる……」
人魚は憎しみが籠もった声でそうつぶやいたのです。
しかし、最後のその一言のせいで少女は体をピクリと動かしました。
「殺す?誰を……?」
「誰って…… 言ったじゃない私達を裏切ったあの悪魔をよ」
その瞬間、少女は人魚の首を掴み強く締め付けます。
「な、何を…… するの……」
人魚は苦しみながら少女の手を引き剥がそうと抗います。
「あの子を殺す……?私の目の前でよくそんなことを言えるわね……」
少女は怒りを露わにし、締付けを一層強くします。
「は、離して……」
「私はあくまで人間だったあの子を助けるために、心も体も悪魔に変えたの。あの子を脅かす者はどんなやつでも許さない。たとえその脅かすものが、私自身であっても」
少女は、鉈を取り出し首から手を離し人魚の首を斬り落としたのです。
斬り離された頭はふわふわと漂い、切断面からは血液が海に流れていきます。
頭を失った体は力を失いその場に倒れました。
その姿を見て少女は小さく笑い、トランプを取り出します。
「こいつはクイーンかしらね」
クイーンのトランプを人魚の死体に近づけると、死体がトランプの中に吸収されていきます。
完全に吸収が終わったトランプには、波の背景が入ったクイーンの下に「MERMAID」と刻まれています。
「さて、帰りましょうか」
海からあがった少女は、濡れた翼と体を乾かすようにゆっくりと教会に向かいます。
「おい、これからどうするんだ?」
「しばらく休んでからマギルの様子でも見に行くわ」
そう言って少女は、二枚のカードを眺め怪しく笑いました。
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