第32話 変化の悪魔と壊れる少女
お待たせしました!
3日間遅れてしまってすみませんでした。
あと今回の話結構グロくてエグいのでご注意を……
では、本編をどうぞ!
「おい、ちょっと待て」
少女がアリスに斬りかかろうとした時、レイカがそれを止めたのです。
「なんで止めるのよ……」
少女がそう文句を言った直後、少女の口が自分の意思に反して動き出します。
「おい、そのアリスとやらの中に入っている奴。お前……変化の悪魔だろう」
レイカが少女の声でアリスに話しかけると、アリスの目が一瞬暗くなりそれから赤く輝き出したのです。
「私の呼び名を知っているってことはあなた、災厄の悪魔ね?」
すると、アリスの口から先程とは全く違う声。というより全くの別人なのではと思う女性の声が聞こえました。
少女にはもう何が起きているのかわかりません。
自分の口はレイカの意思によって動かされ、目の前の少女も相手の悪魔の意思によって喋らされている。
「お前、こんなところで油売ってないでこっちに来ないか?そんな女に憑いてないでよ」
「災厄の悪魔にそんな提案をされるなんてね。でも、私はこの体も案外気に入ってるの。もし一緒に来てほしいって言うならこの子を殺してからにして」
変化の悪魔はそう言って赤く光った目を元に戻しました。
すると、アリスは不思議な表情を浮かべていました。
「あれ?今少し記憶が飛んだような……」
「変化の悪魔…… 上等じゃねぇか」
レイカは小さく笑い体をエラに返しました。
「もう出てこないでって言ったでしょ?」
「悪かったな。少し話しがしたかったんだよ」
レイカは少女にぐだぐだと言われて少しバツが悪そうだが、先程と同じでテンションが高いようにみえる。
「お詫びと言ってはなんだが、目の前のあの女。できるだけ酷く殺していいぞ」
レイカがそう言うと、少女はため息混じりの声をあげました。
「何言ってるの?最初からそのつもりだけど?」
すると、アリスは思い出したように剣を構えました。
「そうだ!目の前のあの人を壊してあげるんだった!!それと、壊す前に1つ聞きたいな、あなたの名前はなんていうの?」
アリスはワクワクするような表情で少女にそう質問しました。
「私の名前?ま、あなたが死ぬ前に教えてあげる。私はねエラって言うの、あなたの世界を破壊しに来たの」
そう言って少女は剣ではなく、鉈を取り出したのです。
「そんなもので私を殺すつもりなの?」
アリスは鉈を見て少し不機嫌になります。
「あなたなんてね、これで事足りるのよ」
「随分と舐めてくれるのね…… まぁいいわ、冥土の土産に面白いこと教えてあげる」
アリスはまたしても楽しそうな声でそんなことを話し始めます。
「ここに居たトランプ兵たちは1から10までのトランプしかないのよ。その理由はね……」
その続きをアリスが言おうとした時、少女がその声に割って入ります。
「白ウサギがジャック、チャシャ猫がクイーン、マッドハッターがキング、そして貴方がジョーカーだからでしょ?もう死ぬ準備はいいかしら?ぐだぐだ話して時間稼ぎをするのはやめてよ」
少女はイライラしながらアリスにそう告げます。
「時間稼ぎなんかしてないわ。そんなこと言うならもう壊してあげるから」
そう言ってアリスは先程のように少女の近くまで近づき、そのまま剣を振り下ろします。
しかし、そこには少女の姿はありません。
それもそのはずです。アリスが狙っていた少女は、もうすでにアリスの後ろに回り込みその首筋に鉈を当てているのですから。
「そうね…… 私も冥土の土産に貴方に教えてあげるわよ。あなたのお父さんの話」
その言葉を聞いたアリスはピクリと体を震えさせます。
「あなたのお父さんどうなったと思う?あなたのトランプ兵に追われた後、なんとか逃げ出したんだけどその後鏡から出た後にそのまま死んじゃったのよ」
この話、全て少女が今作ったデタラメです。
しかしアリスには随分と効果が合ったようで、少女は剣を捨てて少女の鉈をかわすようにして走り出しました。
アリスが走る先には1つの鏡がありました。
「お、お父さん……!」
目に涙を貯めて、先程まで少女を壊すと言っていたとは思えない慌てようです。
そして、もう少しで鏡にたどり着くというところでアリスの真横を一枚のカードが通過します。
その瞬間、アリスが入ろうとしていた鏡が大きな音をあげて割れたのです。
「え……?」
アリスの顔は絶望の色に染まりました。
「私はあなたをここから出すためにお父さんの話をしたんじゃないの。冥土の土産って言ったでしょ?」
アリスの後ろから笑うような少女の声が聞こえました。
恐る恐る振り向くと、そこには怪しい笑みを浮かべた少女が立っていたのです。
「割れた鏡を見てみなさい」
アリスが鏡を見ると、そこにはトランプのジョーカーのカードが落ちていました。
「魔法で硬化してみたの。自分を象徴するカードで自分が出るはずの鏡を壊される気分はどう?もうあなたはここから出られない」
「あ、ああ……ああ……」
すると、アリスは大粒の涙を流しながらフラフラと立ち上がりました。
「あ、ああ…… あああああああ!!!」
アリスは突然叫びだし、ガラスの破片を掴んで少女に突進してきたのです。
少女はそれをかわし、アリスの横腹に重い蹴りを入れてました。
「ぐ……」
蹴りの衝撃でアリスはその場に倒れ込み、気を失ってしまいました。
「さて、始めましょうか」
そう言って少女はアリスを地面にまっすぐに寝かせました。
そして、鉈を取り出し首元に当てます。
「しっかり力を入れないとね……」
少女は腕に力を入れて一気に鉈を真下に降ろしました。
すると、ゴリッ!という音と共にアリスの頭が首から離れたのです。
首の切断面からは大量の血が吹き出しています。
「さて頭を落としたら次は腹を切らないとね」
少女は鉈を持ち替え、さながら魚をおろすような感覚でアリスの腹を縦に切っていきます。
その間も出血は止まるどころかどんどん激しくなっていきます。
地面には血溜まりが出来てそれが池のように広がっていくのです。
「さて腹を切ったら次は内臓よね」
そう言って少女は切った腹から内蔵をどんどん取り出していきます。
「後は三枚におろすだけ〜♪」
少女は楽しそうにアリスだったものを三枚におろし始めます。
全てが終わった後、少女は返り血まみれになっており周りの草花も真っ赤に染まっていました。
「これくらい酷く殺せばいいかしら?」
「ああ、それでいい」
レイカと少女はお互いに笑いながら、三枚におろされたアリスだったものを眺めます。
アリスは最後まで目を覚ますことがありませんでした。
「おい、さっきの話し覚えてるか?変化の悪魔にした話だ」
「覚えてるわよ。こっちに来ないかって話でしょう?」
少女は使い終わった鉈に付いた血を拭きながらレイカの話に耳を傾けます。
「内蔵を取った時に心臓も一緒に取っただろう。あれを見てみろ」
そう言われて少女はアリスから取り出した心臓を掴んで見てみます。
その心臓は明らかに普通のものとは異なっていました。
黒いオーラのようなものに染められていて、アリスが死んた今でもしっかりと一定の鼓動を刻み続けているのです。
「これは何?」
「変化の悪魔が契約した心臓だ」
「で、これを私はどうすればいいの?」
少女はその心臓を叩いたり、つまんだりして様子を見ています。
「食べろ」
「食べるの?分かったわ」
その言葉を聞いて少女はすぐさま心臓に噛みつこうとしました。
「だが、それを食べたらもう二度と人間には戻れないぞ。それを聞いても本当に食べる覚悟があるか?」
少女はレイカの声を聞いて一瞬止まりましたが、すぐさま笑い出しました。
「覚悟?戻れない?何を言っているの?覚悟なんてあなたと契約した時に決めてるし、あの子を守れない人間の体なんてそもそも必要ないのよ」
一通り笑った後、少女は心臓を口の中に詰め込み思い切り咀嚼し始めました。
噛んだ瞬間、少女の口からありえない量の血液が吹き出しだが、少女が構うことなく噛み続け心臓を飲み込みました。
「さあ、ようこそ俺達の世界へ」
レイカは変化の悪魔と少女の二人に言うように呟き、軽い笑い声をあげました。
「う……!」
レイカの声が聞こえた後、心臓を食べ終わった少女がその場でうずくまり、苦しみ始めたのです。
すると、少女の体に変化が起きます。
翼が生えていなかった方の背から、翼が生えてきて、目の色も両方とも同じ色に変わったのです。
「はぁ……はぁ……」
「おめでとう、これでお前はもう立派な悪魔だ」
少女は自分に生えた両翼を確かめるように眺め、割れたガラスの破片を使い自分の瞳を確認しました。
「これが今の私なのね」
「そうよ、新しい翼と瞳は気に入ったかしら?」
少女が自分の姿をまじまじと見つめていると、頭の中にレイカとは違う声が響いて来たのです。
「誰……?」
「随分なご挨拶ね。あなたが今食べた変化の悪魔よ」
「人の頭の中をなんだと思ってるの?あいつ一人でも騒がしかったのに二人になるなんてきいてないわよ」
少女は少し苛つきながら変化の悪魔に話しかけます。
「とりあえずこの世界から出てから話しましょう?」
「分かったわ」
そう言って少女は鏡の世界から帰るために歩き出しました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回更新は必ず一週間後にしたいと思います。




