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悪逆非道なマッチ売りの少女  作者: ポカ猫
第2章 絶望と憎悪のシンデレラ
30/49

第30話 おもちゃの兵と国の英雄

お待たせしました!


本日も更新出来ました!


では、本編をどうぞ!

 少女が目を覚ましたのは、真新しいレンガ造りの小屋でした。


 起き上がり周りを見てみると、少女が街で触った鏡と全く同じ物が小屋とは不釣り合いな場所に置かれていました。


「この感じ…… 来たみたいね。不思議な国ってところに」

「ああ、そうみたいだな。とりあえず外に出てみるか」


 レイカの言う通りに小屋の外に出てみると、そこはたくさんの花が咲いた地面に木の形をしたお菓子やケーキが立っており、そこはまるでレイカが前に見たお菓子の家のような光景です。


「随分とメルヘンなところね。ここに私と同じくらいの年齢の女の子がいるってのはなんだか納得できるわ」


 木から落ちてきたチョコレートの葉っぱを一口噛り、立っている木に沿って歩いていきます。


「どれもこれも甘すぎるわね。昔は甘いものは大好物だったはずなんだけど、どうしてかしら」


「俺が中に入っているからだ。お前と味覚などが一緒になってるからな、俺は甘いものなんて大嫌いだからそうなったんだ」


 葉っぱを踏み潰し、少女は頭の中に響くレイカの声に耳を傾けます。


 すると、ゆっくり歩いている少女を追い抜くように、服を着た白ウサギが走っていきます。


「あれが例の人の言葉を話すウサギかしら。ちょっと捕まえてみましょう」


 そう口にした少女の行動は早く、すぐさま走るウサギに追いつき耳を掴んで拾い上げました。


「こんにちは、何をそんなに急いでいるの?」


 ウサギは少女の顔を見ると一瞬驚いた表情になりましたが、すぐに手元にある懐中時計をみて慌て始めたのです。


「離してください!早くしないと()()()()のお茶会に遅れちゃうよ!!」


 そして、ウサギは足をバタバタさせて少女の手から逃れようとします。


 少女は手を離すことなく、ウサギをじっくりと観察しています。


「アリス様?その人はそんなに偉い人なの?」

「当たり前だよ!アリス様はすごい人なんだから」


 少女がもっとウサギから情報を聞き出すために、ウサギの首筋に鉈を当てようとした時、一つの銃声と共に一発の銃弾が少女の手をかすめました。


 その衝撃で少女はウサギの耳を離してしまい、ウサギは先程と同じように急いで走り去ってしまいました。


「誰よ…… 今私の手に銃弾を当てたのは……」


 少女が銃弾が飛んで来た方向に振り返ると、そこには猟銃のような物を構えたおもちゃの兵隊が立っていました。


 少女の手からは血が滴っています。


「貴様、白ウサギ様に何をする!!」


 そう叫び、兵隊はもう一発銃を打つ準備を始める。

 瞬間、その兵隊の顔の横を一発の銃弾が横切る。


「さすがおもちゃね、動きが鈍くて笑っちゃうわ」


 銃を構えた少女は怪しい笑みを浮かべ、兵隊を睨みつけます。


「で、白ウサギ様ってなんなの?」


「この国をハートの女王から救った英雄だ!他にもマッドハッター様、アリス様、チェシャ猫様はこの国の救世主だ!」


 熱く語る兵隊を尻目に、少女は次弾の準備をします。


「それで、その英雄様を傷つけようとしてた私を攻撃したというわけ?つまり、ここで死ぬ覚悟があるってことよね?」


「死ぬのはお前の方だ、その幼き体の好奇心のせいでな」


 少女が兵隊をにらみつけると同時に、兵隊も少女のことをにらみつけるような表情をしています。


 すると、少女は怪しい笑みを浮かべて兵隊に近づいていきます。


「アハハ……!面白いじゃない、こんなメルヘンな世界で殺し合いなんて。いや、あなたはおもちゃだから解体かしら?」


 そう言った直後、少女の目の色が変わり、背中からは片翼が現れたのです。


 その姿を見た兵隊は、後ろに後ずさりながら少女に対して発砲しました。


 しかし、少女はまるで予知してたかのようにその銃弾を少ない動きで交わしていきます。


「あ、悪魔……!()()()()()だ……!」


 兵隊は、慌てながら自分の首にぶら下がっている笛を吹き鳴らしました。


 笛の音はこの国全体に響くのではないかというくらいの大きさで、甲高い音を発しています。


「悪魔の…… 再来……?」

「普通の子供だと思って油断していたが、悪魔となれば話は別だ……」


 兵隊は猟銃を地面に置き、どこから取り出したのか先程の物よりも大きい銃を取り出し、少女に対して構えました。


「アリス様が用意してくれた対悪魔用の銃だ…… もうすぐでトランプ兵たちも来る。アリス様達に近づかせる前に退治してやる!」


 兵隊が言葉を言い終えてしばらくすると、大勢の剣を持ったトランプ兵達がおもちゃの兵隊の周りに集まったのです。


「これが悪魔か、随分と幼い姿をしているんだな」

「ハートの女王だってあのような姿だった時があっただろう」


 トランプ兵の一人がそう呟くと、真ん中にいるおもちゃの兵隊が否定するようにその言葉を遮りました。


 トランプ兵の数は、あの時の街の人間の数を軽く超えていて、並の人間が一人で相手するには無謀とも言える数でした。








「随分と多いわね、一人で殺すには少し骨が折れそう…… 流石に鉈じゃ力不足かしら……」


 少女がため息をつきながらそう呟くと、頭の中でレイカの声が響きました。


「その翼と瞳は誰のだ。俺のだろう?だから二人だ、二人で一人の悪魔なんだからな俺らは。こんな奴らさっさと片付けて、その英雄様の顔でも拝みに行くぞ。どうやら悪魔とは違う可能性も出てきたからな」


「だからと言って出てくるのは許さないから」


 そう言って少女は剣を鞘から抜き、軽く構えをします。


「悪魔悪魔と好き勝手言ってくれてるみたいだけど。私は悪魔で人間だったあの子を守るために、()()()()()()()()()()。あなた達とは背負ってる物の重さがちがうのよ」


 少女は片翼を使って風を起こしながら、トランプ兵たちに向かっていきます。


「トランプ兵たちよ退魔剣を持て!!確実に息の根を止めろ!英雄たちのもとに行かせるな!」


 おもちゃの兵隊がそう叫び、銃を上に向けて発泡しました。


 その銃声が戦いの合図と言わんばかりに、トランプ兵たちは少女に向かって突進していきます。


しかし、少女の行動は何よりも早かったのです。先頭を走って来たトランプ兵の一人の四肢を切断し、トランプの部分を横に持ち上げます。


「ぐあぁ!な、なにをする!!」


 痛みに悶えるトランプ兵、その姿を見ながら少女は怪しい笑みを浮かべながら、トランプ兵をビリビリに破き始めます。


 破かれた瞬間、トランプ兵は声にならない悲鳴をあげて、もうない四肢を動かしているように抵抗し始めました。


 少女が破いたトランプの破片からは、赤い血のような粘り気のインクが漏れ出し地面に咲く花を赤色に染め上げます。


 少女の手は赤いインクでドロドロになり、トランプ兵にもう息はありません。


 しかし、少女はトランプ兵を破る手を止めません。


 最終的に紙切れのような大きさになるまで破き、少女は最後に残った破片を地面に投げ捨てました。


 少女は手についたインクをぺろりと舐め、顔をしかめます。


「インクまでもお菓子なのね。ヘドが出るくらい甘くて嫌になっちゃうわ」


 トランプ兵だった破片を踏みつけ、少女は残りのトランプ兵たちに近づいていきます。


「なんてことを……!人間じゃない……」

「悪魔だって言ってるじゃない、ほら、さっさとかかってきなさいよ。息の根を止めてくれるんでしょ?」


 ニヤニヤと笑いながら少女は、少し離れたところにいるトランプ兵の瞳に銃弾を打ち込みました。


 銃弾で貫かれた瞳からは、先程のトランプ兵と同じように赤いインクが吹き出し、目を抑えながらその場で悶え転がり始めました。


 そして、少女はそのまま追い打ちと言わんばかりに、地面に転がっているトランプ兵に立て続けに銃弾を打ち込みます。


 トランプ部分には無数の穴が空き、そこから赤いインクが噴水のように吹き出します。


 息の根が止まったのを確認し、少女は早く来なさいよというようにトランプ兵たちに手で挑発をかけました。


「仲間の無念を晴らすんだ!お前ら!三人一組になって行動しろ!今ある平和を失わないために全力を尽くせ!!」


 おもちゃの兵隊がそう指示を出し、トランプ兵たちが少女に斬りかかってきました。


 少女はトランプ兵たちの剣を受け止めながら、自分自身の気持ちを吐き出す。


「私は全てを失った。信じるべき正義も、愛する人も失った。たまらない絶望を味わったわ、だから今度こそ失いたくない。そのために私は戦うの」


 少女は襲ってくるトランプ兵を斬りつけながら、遠くにある巨大な城に目をやります。


「あれが親玉の住処ね」


 再びおもちゃの兵隊をにらみ、少女はトランプ兵と対峙する。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。


次の更新もまた出来るだけ早くしたいと思ってます

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