第3話 灰で汚れたお姫様
大変お待たせしました
ん?このシリーズだけ更新速度が遅いって?
そういうのは気にしたら負けですよ?
では、本編をどうぞ!
ある日のことでした。ある国の王子様が自分の妻を見つけるために、舞踏会を開いたそうです。
王子様は、自分のタイプの素敵な女性をを見つけました。けれど、その女性は夜の12時の鐘の音とともに、城からいなくなってしまったのです。
唯一の手がかりは、女性が落としたガラスの靴でした。王子様はこの靴に合う女性を探すために街に降りてきて、女性たちにガラスの靴を履かせていました。
「あ、そこのお嬢さん!この靴を履いてもらってもよろしいでしょうか?」
王子様が話しかけたのは、金髪に星形の髪飾りを着けているレイカだったのです。
「えぇ、わかりました。あら?ピッタリですね」
少女はガラスの靴に足を入れると、その靴は少女の足にピッタリはまったのです。
なんだ?綺麗にはまってしまった。なんだかめんどくさいことになりそうだな……
「おぉ!あなたは…… あなたこそがシンデレラだったのですね?」
王子様はガラスの靴を履いた少女を見て大喜び。付き添いの大臣を呼び出し、この娘を妻にすると言い出しました。
「私の名前はシンデレラではありませんよ?」
「そんなわけないでしょう、その証拠にこの靴がピッタリとはまっているではありませんか」
王子様は全く聞く耳をもってくれません。少女は呆れ返り、王子様にこう言い放ったのです。
「足の大きさが同じ人間なんてこの世にたくさんいます。あなたは結婚相手を足の大きさだけで決めるなんて、なんて愚かなの?私の顔を見てください、私はあなたが見たシンデレラですか?」
「王子様に対して愚かだなんて!なんて無礼なやつなんだ!!」
周りの野次馬たちが、少女に罵倒戯言を飛ばします。
「うるさいな…… 外野は黙ってろよ……」
少女が周りの人間を鋭く睨み付けると、野次馬たちは少女を不気味がり、静かになりました。
「そうだな…… 足の大きさだけではいけないな。今度からはしっかり顔も判断基準に入れることにするよ、良いアドバイスをありがとう」
王子様が少女にお礼を言うと、大臣を連れて立ち去って行った。
「ちょっと!なんてことしてくれてんのよ!」
すると、少女よりも歳のいっている女性が3人、少女の前に現れました。
「あんたが余計なことするから、判断基準が上がったじゃない!」
「本当にガキは厄介ごとばかりするから迷惑なのよ!」
「靴がピッタリはまったからって、調子に乗ってるんじゃないわよ!!」
それぞれが、少女に向かって不満をぶちまけます。
「判断基準が上がろうが、上がらなかろうが、あんた等はあいつに選ばれることは絶対にないさ。どっちにしろお前らは負け犬だよ」
少女が女性たちに笑いながら煽るように現実を突きつける。
少女は3人の女性の後ろにいる少し小汚い少女こそが、本当のシンデレラではないかと思っていました。
「あんた本当に生意気!ちょっとこっち来なさいよ!」
女性たちの1人が少女の腕を引っ張り、路地裏に連れ込んだ。
「生意気なガキにはお仕置きが必要だよね」
「腕でも切り落としてしまおうか」
少女は、もう可笑しくてしょうがありませんでした。
なぜなら、始末したかった人たちが自らのホームグラウンドに入って来てくれたからです。
少女は人目を人一番気にするので、こういう路地裏は少女にとっては好都合でした。
「腕を切り落とすならこれをお使いください」
少女はそういうと、一本の鉈を取り出しました。
その鉈には、本来つくはずのない血がたくさん付いていたのです。
それを見て、女性たちは思いました。もしかしたら自分たちが殺される方ではないかと。
「そ、そんな物騒なもの…… どこで手に入れたのお嬢ちゃん」
「軽い冗談だよ、本当に切り落とすわけないじゃないか」
女性たちは自らの命のため、必死に少女の機嫌を取ろうとします。
「どうしたんです?早くこの鉈を使って腕でも何でも切り落として下さいよ」
少女は不気味な笑顔で3人に語りかける。
「あなた達がふっかけて来たんでしょう?」
「何も出来ないんだったら、早くこの手を離せ……」
少女の胸ぐらを掴んでいた女性は、軽く悲鳴をあげ、少女の服から手を離した。
「ほらみろ、やっぱり何も出来ない。あんたらは負け犬だよ、私の何が間違ってたんだ?」
「調子に乗るんじゃないわよ!あんただって私たちに何も出来ないでしょ!人殺しにはなりたくないでしょ?」
その瞬間、言葉を言った女性の首筋を鉈がかすめ、壁に突き刺さった。
「調子に乗ってるのはあんたらの方だよ。俺は今までに何人もの人を殺してる、今更その数が3人増えたところで変わりはしないさ」
壁に刺さった鉈を引き抜き、そのまま首筋に当てる。
顔を真っ青に変え、女性がブルブルと震えだしました。
「私たちが悪かったよ…… だから、殺すのだけは勘弁してくれ……」
「そうだな……誰か1人だけで勘弁してやる、選べ」
その言葉を聞いた1人が路地裏から飛び出し、あの小汚い少女を連れてきたのです。
「じゃあこいつでいいだろう?こいつは私の身内だ、これで1人選んだんだ、見逃してくれよ?」
「ふざけたこと言うなよ、こいつは今の話に無関係だ。もう、お前ら3人仲良くあの世に送ってやるよ」
そう言った後、少女に目隠しをして見えないようにしてから、3人の女性を鉈で殺しました。
全員喉に鉈を突き刺したので、悲鳴もあげずに死んでしまったのです。
「ほら、ここまで目隠しなんかして悪かったね」
路地裏から出て、少女の目隠しを外しました。
「助けてくれてありがとうございます」
「何を言ってるんだ?俺は助けてなんていないよ。あの3人が気に入らなかったから殺したんだ」
「義母と姉達にはいつも酷いことをされていて……」
あぁ、だから助けてくれてありがとうなのか。
「あんた、名前は?」
「私の名前はエラと言います。あなたは?」
「レイカ……」
あんま名前は言いたくないんだがな……
「エラさん、今日の事は誰にも言うんじゃないよ?てことで俺はここで失礼するよ。もう会うことはないと思うよ」
そう言って少女は、エラに背を向けて家に帰っていきました。
「可愛いし、かっこいい……言葉が少し変だけど、素敵な人……」
その後エラは王子様の求婚を断り、レイカの事を探し始めたのです。
路地裏には警察に見つかった3人の女性の死体が調べられ、1人の女性の喉に刺さっていた鉈の指紋から、自殺と判断されました。
しばらく日が経ち、少女はまた闇市に出向くため街を歩いていました。
「レイカさん!!」
聞き覚えのある声が少女を引き止めたのです。
「あんたは……エラじゃないか。どうしたんだ?王子様と結婚したんじゃないのか?」
「結婚の話は断ってきました。そしたら、王子様が絶対に妻にするって城の総力を注いで私の事を探し始めたんです。少しの間また助けてください!」
なんで断るんだ?断る理由なんてないだろうに……
「分かった……少しの間匿ってやる。ついておいで」
少女はエラを連れて自分の家へ案内しました。
「金はあるから食事なんかには困らない。2階に空き部屋がある、好きに使うといい。」
「ありがとうございます!」
なんで俺が人なんか助けなきゃいけないんだ……
ていうか、なぜ助けようと思ったんだ?もしかして、これは俺じゃなくて俺が入ったこいつの意思なのか?
今までそんな事なかったはずなのに……
「どうかしたんですか?」
「いや、何でもない。俺はちょっと買い物に行ってくる、留守を頼む」
「はい、いってらっしゃい〜」
エラは、少女を見送ると部屋の枕に顔を埋めた。
「はぁ〜……かっこいい!!もう、駄目!でも、相手は女の子なのよ?絶対に気味悪がられる……」
エラは足をバタバタさせ、自分と葛藤していた。
「あの金色の髪、撫でたい……どんな反応するのかな……」
少女がエラを落としたのは明確であった。
そんなことは見ず知らず、少女はどうエラを家から出すか考えていた。
「やっぱり原因を潰すのが早いよな……」
少女は怪しく笑い、城を見上げた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
こっちの更新速度は調べるものが多いので遅くなってしまうんです……
次回の更新は水曜日になります