第22話 魂を契約した少女
お待たせしました!
第2章絶望と憎悪のシンデレラスタートでございます!!
では、本編をどうぞ!
「私を…… 助ける……?」
少女は青白い光に言われた事が理解出来ませんでした。
今、まさにすぐ処刑されると思われるこの状況で、どうやって自分を助けると言うのだと思ったのです。
「そうだ、俺ならお前を助けてやれる。そして、お前がさっき願った願いの力になれる。どうだ?悪い話じゃないだろう?」
「おい!罪人!!何を独り言を言ってるんだ!!」
光の話を聞いている時、執行人が大声で少女を怒鳴り、その髪の毛を強く引っ張ったのです。
「い、痛い……!」
周りの人々も早く少女を処刑しろと騒ぎ出しました。
その瞬間、少女の中で何かが切れたのです。
「レイカ…… 私はあの子を殺したこいつらが許せない……」
「許せないからなんだ?」
光は少女の呟きに対して、少女を試すようにそう聞き返します。
「だから…… 私に力を頂戴!!」
少女は涙を流しながら光にそう叫びました。
「契約成立だ…… これでもうお前は人じゃない」
そう言って光は少女の口から体内に侵入していきました。
「うっ……!」
その瞬間、少女に異変が起きます。
体から力が溢れてくるのです。
そして、少女は自らの力で断頭台を破壊し、そこから脱出しました。
「な、何が起こっているんだ!?」
執行人は顔を真っ青にして少女から離れていきます。
それもそのはず、少女はもう先程の少女の姿とは程遠い姿になっていたのですから。
片目は灰色に染まり、漆黒の片翼が現れ髪には星型の髪飾りがついています。
「たとえこの体が朽ちようとも…… あの子を殺した貴様らを私は絶対に許さない」
少女は灰色の目を輝かせ近くにいた執行人の頭を鷲掴みします。
「ひぃ……!や、やめてくれ!わ、私が悪かったから許してくれ!!」
執行人は涙を流しながら少女にそう訴えかけます。
しかし、少女はその声を一蹴するように執行人を処刑場から投げ飛ばしました。
高い場所から落とされた執行人は、聞くとも恐ろしい音を立てて地面に叩き付けられました。
執行人にもう息の根は無く、ピクピクと死後痙攣を起こしています。
「やめてくれ、許してくれなんてよく言えたわね…… 許さないって言ったじゃない」
少女は片翼を使って処刑場から地面におり、今まで少女を処刑しろと喚いていた。国の人々をにらみつけます。
「逃げられると思わないでね?全員同罪だから…… 1人残らず殺すわよ?」
そう言って少女は、近くにいた人間の体を爪で引き裂きました。
その瞬間、人々の顔は絶望に塗られました。それぞれが自分だけは生きようと他者を生贄に捧げるように逃げ始めます。
中には恐怖で足が竦んで動けない者、家族を守るために死にもの狂いで少女に立ち向かう者もいましたが、全員平等に少女に殺されてしまいました。
そして、1人の青年が少女に殺されそうになった時、大声で少女に叫びをあげました。
「死にぞこないだったくせに……!俺らと同じ人間だったくせに生意気なんだよ!!」
少女はその声を聞き、怪しく笑いました。
「死にぞこなだったくせに……?鏡を見てからそんなセリフを吐いてほしいわ。後ね、私は悪魔で人間だったあの子を守るために、人間で悪魔になったの。貴様らとは背負ってるものが違うのよ」
そういって少女は青年の腹に手を突き刺し、内臓を握り潰しました。
青年は声にならない悲鳴をあげ、その場で血を吹きだしながら倒れました。
「文句を言うくせに弱いのね。文句を言うならレイカくらいになってからにしてほしいわ」
少女はそれからもたくさんの人を殺していき、ついには集まった警察、騎士団すべてを皆殺しにし、ついには最後の1人の人間も殺してしまいました。
少女は処刑場から人々の屍を眺め、一粒の涙を流しました。
「レイカ…… あなたの仇はとったわ……」
少女がそう呟くと、少女の頭の中にまたあの声が響きます。
「なかなかやるじゃねぇか。で、これからどうするんだ?」
「どうするってもう終わったでしょ……?」
少女はその言葉の意味が少し理解出来ず、そんな返答しか出来ませんでした。
「お前、あいつを助けてやりたいと思わないのか?」
まるでニヤリと笑っているのが、見なくても分かるような声で少女にそう聞き返します。
「助けたいわよ!!でも、もう何も出来ないじゃない!!」
少女は大声で怒鳴り、涙を流しはじめました。
「出来るのさ、お前にはあいつを助ける手段がある」
「どういう事……!?」
「何も言わずに俺の家に向かえ」
その言葉を少し疑いつつ、少女はゆっくりとレイカの家を目指しました。
「入っていいの?」
「家主はここに居るんだ。いいに決まってるだろう」
少女が家に入ると、家の中はレイカと少女が話した時のままの状態でした。
「少し辛いから…… 片付けてもいいかしら……?」
「好きにしろ」
少女は紅茶のカップなどを片付け、少女は椅子に座って一息つきました。
「で、その助ける手段とはなんなの?」
「そこの棚に入っている時計を見てみろ」
少女は棚を調べ、そこにある懐中時計を手に取ります。
「それがお前があいつを助けるための鍵だ」
「ただの時計じゃない」
少女が懐中時計を開くと、そこには普通の懐中時計にはありえない物が刻まれていました。
「年と月と日にち……?時間は……?」
「それは魔女ゴーテルが作っていた。使用者を過去に戻す時計だ」
「過去に戻すって……!」
少女が何かを思いついたような声を上げると、笑い声と共に少女の頭の中に声が響きます。
「そうだ、それを使えばお前の願いは叶えられる。どうだ、やるか?」
その声に対して、少女は静かに肩を震わせます。
「決まってるじゃない…… そこにあの子を助けられるかもしれない物があるなら…… なんでも使うわよ。だって私は…… あの子の友達だから……」
目から涙を流し、少女はそう答えました。
「そうと決まれば話は早い、テーブルの上の鉈と拳銃を持て。俺が使ってた物だ」
少女はその2つを懐にしまい、次の指示を待ちます。
「それと、片翼と目を戻せ。そんなんで行ったら疑われるぞ?」
「戻し方なんて分からないわよ?」
「戻れと思ってみろ」
少女がそう念じてみると、片翼は消え去り瞳も元の色に戻りました。
「また出したい時は逆の事を念じればすぐに出てくる。後、髪飾りを見えない場所に隠せ」
「なら、ここに隠すことにするわ」
そう言って少女はバックからレイカが付けていたマントを取り出し、それを羽織りその中に髪飾りを隠しました。
「そんなもんいつ持ってきたんだ……」
「ここに来る前によ。だって、あの子の形見だもん。で、どうすればいいの?」
「時計を去年の最後の夜に設定しろ。その日が俺があいつに入った日だからな」
言われるがままに時計をその日付に合わせ、少女は深呼吸をしました。
「さあ、時計のスイッチを押せ」
「レイカ……待っててね…… 私が絶対に助けるから」
そう言って少女は時計のスイッチを押しました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
よろしければ第2章の始まりということで感想などをくださるととても嬉しいです。
次回の更新も3日以内に更新します。




