第21話 悪逆非道なマッチ売りの少女
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では、本編をどうぞ!
「お前、マギル殺しの本人を探してるんだろ?」
少女は警察官を見つめてニヤリと笑います。
「そうだが…… 君はこんな所で何をしているんだ!」
「まぁ、そう焦るなって。犯人知りたくないのか……?」
警察官を煽るように少女がそんな事を呟きます。
「貴様…… 何を知っている!」
「だから、マギル殺しの犯人だよ。さっきも言っただろ?」
「言え!そいつは誰なんだ!!」
警察官は怒りをあらわにしながら、少女に近づいてきました。
そしてついには少女の肩をがっちりと掴んだのです。
「痛ぇな…… 離せよ……」
「うるさい!貴様が早く喋らないのが悪いんだろうが!!」
少女の肩を掴む力を強め、警察官は少女の肩を揺さぶります。
「早く言え!!俺の昇進がかかってるんだよ!!」
「離せって言ってんだろうが!」
少女はそう叫び警察官の腕を掴み、そのまま目の前にあるゴミ箱に警察官を投げてぶつけました。
警察官は綺麗にゴミ箱にぶつかり、頭から血を流し何が起こったのか分からないと言う顔をしています。
「マギル殺しの犯人は俺だよ。さっさと他の警察官呼んで捕まえて見ろよ……!」
その言葉を聞いた警察官は、顔を真っ青にして大声で他の警察官の名前を呼びました。
「おい!その怪我大丈夫か!?」
警察官はすぐにやって来て、少女を大人数で取り囲みました。
「こいつが…… 探偵マギルを殺した犯人だ……!」
「こんな小さな子供がか!?」
血を流した警察官がそう話すと、周りの警察官も顔を青くして警戒態勢に入ります。
「さて、最後の大暴れだ……!」
そう言って少女は、周りの警察官に殴りかかりました。
いきなり襲ってきた少女に、最初は驚きつつも自らの職務を全うする為、自分の身を守る為に必死で少女を捕まえようと抵抗します。
少女が警察官と格闘をして、実に30分あまりが経とうとしていました。
10人以上いた警察官の半分は、少女の手によって重症以上死亡以下の状態にさせられており、残りの警察官もボロボロの状態です。
しかし、ここで異変が起きます。
「おら、さっさと捕まえてくれよ。俺はまだこんなにピンピンして……」
少女がそう言おうとした直後、少女は自分の心臓を抑えてうずくまってしまったのです。
「グッ……!限界か……!」
「今だ!捕まえろ!!」
少女の動きが止まったのを良い事に、警察官達はすぐさま少女を捕らえました。
「そのまま連れて行け!!」
少女は厳重体制で警察官に連れて行かれます。
「少し短かったが…… 計画通りだ……」
警察官に連れて行かれる中、少女は怪しい笑みを浮かべてそう呟きました。
警察官に連行された少女は、両手両足に大量の足枷と手枷を付けられて、処刑控室に入れられました。
「こうなる事はお前も了承してた事だろ?それが少し早まっちまったってだけだ……」
少女は自分の胸に手をやり、誰もいない空間に話しかけます。
これから処刑をされると言うのに、少女の顔は曇るどころか笑顔に満ちています。
少女が処刑をされる場所は、あろう事かフレイズを殺した時の広場でした。
広場にはたくさんの人々が押し寄せ、探偵マギル殺しの犯人が出てくるのを今か今かと待っていました。
その人々の波に、偶然通りかかったエラもいます。
「これは、なんの集まりなんですか?」
エラは近くにいた男にそう尋ねます。
「探偵のマギルを殺した犯人の公開処刑をするそうだよ」
「マギルさんの……?」
男は優しくそう答え、周りの人間と同じように犯人が出てくるのを待ち始めました。
その頃少女は、足枷を外され広場に作られた処刑場に連行されていました。
断頭台に設置され、上から布を被せられ中が見えないようにされます。
「この度我が政府の警察官が探偵マギル殺しの犯人を捕まえました!」
処刑執行人を務める男がそう叫ぶと、それに同調するように集まった人々から大歓声があがります。
「そして、この犯人は政府の警察官半分に重症を負わせた国家反逆罪も犯しました……!さて、それでは犯人の公開です!!」
そう言って、執行人が布を引っ張り。その犯人の姿を周りの人々にお披露目します。
そこにいるのは断頭台に設置されたレイカの姿があります。
「れ、レイカ!?」
エラは自分の目を疑いました。
さっきまで自分と楽しく話していた友人が、国家反逆罪で断頭台に設置されているのですから。
「きっと何かの間違いよ!なんで抵抗しないの!?レイカ!!」
エラは必死に叫びますが、その言葉は空虚に消えていきます。
エラの叫びも虚しく、処刑の儀はそうそうと進み始めました。
執行人が少女の罪名を読みあげ、それに対して周りの人々から早く処刑しろと言う声が響きます。
「以上で終了です。罪人、最後に言い残す事はあるか?」
執行人が少女にそう聞くと、少女は小さく頷きエラの方を真っ直ぐに見つめました。
「レイカ――――!!」
すると、少女の髪の毛から星型の髪飾りが無くなり、赤い瞳の色が色褪せたのです。
少女の小さな変化に気づいたのはエラたった一人のみ。そして、少女は大粒の涙を流しながら1人の少女に対して話しかけます。
「エラちゃん…… 私と友達になってくれてありがとう…… それと、今までごめんね……?大好きだよ……」
その言葉を少女が言い終わった瞬間、執行人がスイッチを押し、断頭台の刃が少女の首を切り落としました。
ボトンッ!という音と大量に吹き出る血液と共に少女の首が床に落ち、その瞬間周りの人々たちから大歓声が上がったのです。
その歓声とは裏腹にエラの口からは泣き声混じりの悲鳴が響きます。
最初こそは人々はその悲鳴に聞く耳を持ちませんでしたが、だんだんとおかしいと思うようになり、1人の男がある事を言い出しました。
「その女、もしかしたらあの処刑された奴のグルか?だからあんなに過剰に反応してるんじゃないか?」
そんな事を言うものだから、テンションの上がっている人々はその言葉を鵜呑みにし、エラを断頭台へと引きずり始めたのです。
「いや!やめて!!離して!!」
「処刑だ!!みんなもその方がいいだろう?疑わしきは罰せよだ!」
エラは物の数分で断頭台に設置されてしまいました。
しかし、その時のエラは自分が処刑をされると言うのに、自分の事ではなく少女を守れなかった事を悔やみ始めます。
「私に…… 私に力があれば…… レイカを救えたのに……!」
涙を流しながらエラは自分の唇を噛み締めました。
「せめて…… レイカを殺したこいつらだけでも殺してしまいたい!」
エラがそう小さな声で呟くと、目の前に青白い光が現れたのです。
「随分な事を言うんだな」
その光から発せられた声にエラは聞き覚えがありました。
そう、少女の声です。
「レイカ…… なの……?」
エラは涙を流しながらその光の方に目をやります。
「ああ、そうだ。ところで、お前に1つ提案がある。お前を助けてやろうか?」
最後まで読んでくださりありがとうございました。
これにて第1章完結でございます!
次回からは第2章 絶望と憎悪のシンデレラをお送り致します。枠はこのまま突っ走るので次は22話になります!
次回更新も3日以内に更新したいと思います。




