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悪逆非道なマッチ売りの少女  作者: ポカ猫
第1章 悪逆非道なマッチ売りの少女
19/49

第19話 髪長姫の悪夢

お待たせしました!


1週間以内守りきりました!


では、本編をどうぞ!

 翌朝、首を落とされたマギルが街中で話題になるのは必然といえるものでした。


 放火事件や連続殺人事件を私たちのために調査していた探偵が、何者かに殺された。しかも、その探偵はこの国の元騎士団長だったと言われれば、誰もが話題にするはずです。


 この話が街中に広がるのにそう時間はかかりませんでした。


「少々まずいことになったか……」


 少女は現在起こっている事態に頭を抱えていました。


 街中の人間がマギルを殺した犯人を見つけ出そうとし始めたのです。

 街の人間だけならよかったのですが、とうとう政府の警察や新たに結成された騎士団までもが、その捜索に力を貸してしまっているのでした。


 理由は簡単です。


 街の人間はしつこく聞き込みをするマギルのことを鬱陶しく思いながらも、「この人なら犯人を捕まえてくれるかもしれない」という期待を持っていたからです。


「考えるのはやめだ。俺は俺の目的の為に動く……」


 そうつぶやき、少女は家を出て空高くそびえ立つ塔を目指しました。








 少女がしばらく歩くと、塔が目の前に現れ、その近くに小さな木造の家があるのを発見しました。 


「これがこの塔の主、魔女ゴーテルが住む家か……」


 少女は怪しく笑いそびえ立つ塔には目もくれず、魔女の家に入っていきました。


「すみません……」


 いつものように少女は、他人をだます時に使う可愛らしい声をだして中の住人を呼びます。


「こんな朝早くに誰だい……?」


 出てきたのは、いかにも悪そうな顔をした老婆でした。


「道に迷ってしまって……」

「だから何だっていうんだい」


 老婆はイライラしながら要件を催促します。


「あの…… 道を教えてほ……」

「何を演技しているんだい?私にはバレバレだよ。あんたの体から見えるんだ、人間じゃない悪魔のようなオーラがね」


 老婆は少女を無理やり家の中に引き込み、その額に銃口を突き付けました。


「ふん、年寄りのくせになかなか鋭いじゃないか。だが、そんなもんで俺は殺せないぞ?」


 少女は不敵な笑みを浮かべ、老婆の手を蹴り上げて銃を弾き飛ばしたのです。


「やはり、普通の子供じゃないようだね。何者だあんた……?」

「見るからにか弱い少女だろ?それ以上でもそれ以下でもないさ」

「嘘を言うんじゃないよ!」


 老婆が大声をあげ、怒りをあらわにしました。


「こっちはイライラしているんだ。要件をさっさといいな」

「なら、貴様が創りだした物を寄こせ」


 少女はニヤニヤと笑いながら、老婆にそう命令しました。


「なんであんたがそれを知っているんだい……」

「そんなことどうでもいいだろう?おっと、俺が求めているのは薬なんかじゃないぞ?時計だ、時計」


 薬を手に取った老婆に対して少女は薬台の上にある懐中時計を指さした。


「なんのことだい?あれはただの時計だよ」

「魔女とは名ばかりの研究者がしらばっくれてるんじゃねぇよ」


 その言葉を聞いた老婆は肩をビクリと震わせ顔色を青くしました。


「別にただで寄越せとは言ってないだろ?お前の願いを叶えてやる。それと交換条件でどうだ?」

「願いだって?あんたに何ができるっていうんだ!」


 老婆は怒りを込めた声で少女を怒鳴りました。


「邪魔な人間を消すくらいのことはできると自負しているぜ」


 少女は怪しい笑みを浮かべながら、懐から拳銃を取り出します。


「じゃあ今日の夜にあの塔を上ってくる王子とやらを殺しておくれよ」

「王子だぁ?」

「そうさ」


 老婆は苦い顔をしながらことの経緯を話し始めました。


 老婆は入り国のない塔の上で世界一髪の長いラプンツェルという名の女の子を育てていました。

 ラプンツェルに悪い虫がつかないように、老婆は男というものはとても嫌な悪い奴だということをいつも言い聞かせるようにして育てていました。


 しかし、ラプンツェルは老婆の話を理解せず夜な夜な窓からその長い髪をおろし、近くの国の王子を部屋に招き入れ毎日愛を育んでいたのです。

 それに怒り狂った老婆は、ラプンツェルの髪を根本から刈り取り塔から離れた荒野に捨ててしまいました。


 そして今夜も王子は性懲りもなくラプンツェルに会いにやってきます。


 老婆はその王子に一泡吹かせたいと思い、今薬を開発していました。その時にちょうど少女が家にやってきたのです。


「で、その王子を殺せばいいのか?」

「ああ、できるだけ残酷な方法で頼むよ。もし、やってくれたらあんたが欲しいものは何でもくれてやるよ」


 老婆のその言葉に少女は眉をピクリと動かしました。


「その言葉、忘れるなよ?」


 少女は怪しい笑みを浮かべて老婆にそう言い。家から飛び出しジャンプで5メートル以上の高さを飛び、塔の窓の中に入っていきました。


「さて、王子とやらを殺す準備を始めようか……」








 空は暗くなり、やがて夜になりました。


「こんなもんでいいだろう……」


 今の少女の姿は、ラプンツェルの部屋にあった写真のラプンツェルそのままでした。


「いや、あの老婆が女性と言ってたからかなり歳のいった女かと思ったが、まさかこいつと同じくらいの歳だとはな」


 王子はかなり小さな少女に恋をしていたのです。


「おーい…… ラプンツェル…… 僕だ!髪をおろしてくれ」


 少女が自分の身なりを確認しているうちに窓の外から男性の声が聞こえてきました。


「はーい、今おろすわ」


 老婆から聞いていたラプンツェルの声を再現して、少女は刈り取られた髪を窓からたらしました。


「ありがとうラプンツェル…… って!髪の毛はどうしたんだい?」


 王子が髪を上ってきて少女の顔を見た途端、とても驚いた表情で少女の肩を揺さぶったのです。


「い、痛い…… ちょっとイメチェンしただけよ……!離して……」

「そ、そうだったのか…… すまない……」


 少女が苦しそうな顔をしたのを見て、王子は申し訳なさそうに肩から手を離し少女に謝罪をした。


「でも、短い髪も似合ってるよ。とても綺麗だ」

「あ、ありがとう……」


 少女は顔を赤らめてあからさまにもじもじとし始めた。

 まさに、何かを待っているかのように。


「あ、あの…… もう始めましょ……?」

「あ、ああ……」


 お互いに顔を赤くしながら、二人は部屋の中央にあるベッドに向かいました。


「今日はやけに積極的だね。何かあったの?」

「いや、髪を切ったら心持ちも少し変わったの、私ももう少し素直になってもいいかなって…… だから……」


 そういって少女はいきなり王子を突き飛ばし、その首にいつかの錆びついたのこぎりを当てたのです。


「な、何をするんだラプンツェル……!」

「はぁ~…… まだわからねぇのかよ……」


 少女はため息をついて、ウィッグを外しました。

 ラプンツェルの姿から変わった少女の姿を見て、王子は顔色を一気に変えたのです。


「だ、誰だお前は!ラプンツェルをどこにやった!!」

「俺の名前なんてどうでもいいだろう?髪長姫はゴーテルの野郎が髪を刈り取って荒野に捨てちまったさ。残念だったな」


 少女はニヤニヤと王子を馬鹿にするように笑い、王子の首に当てたのこぎりをおろして王子の腹を蹴飛ばし壁に叩きつけました。


「ラプンツェルの髪を返せ…… 僕はラプンツェルを探しに行くんだ……」

「お前まだ分からないのか?お前はここで俺に殺されるんだよ!」


 そう言って少女は、指を鳴らします。


 すると、縄が勝手に動き王子の手足を縛りつけたのです。


「く…… なんだこれは……!」

「よーし、そのままおとなしくしとけよ?」


 少女は怪しい笑みを浮かべて王子に近づき、腹にのこぎりを添えました。

 そのまま少女は、のこぎりを使ってゆっくりと王子の腹を切り始めたのです。


「ぐあぁぁぁぁぁ!!」

「良い叫び声を上げるじゃねぇか……!」


 腹を引き裂きのこぎりを床に置いて少女は、王子の腹の中に手を突っ込みました。


「ぐ…… ぐあ……!!」


 そして、少女が腹から取り出したのは血管がつながった王子の心臓でした。


「この動いているのが何か分かるか?」


 少女は笑いながら心臓を王子に見せつけます。


「な、何をするつもりだ……!」

「何って?こうするんだよ!!」


 そう叫び、少女は思い切り王子の心臓を握り潰しました。


 瞬間、王子から声にならない悲鳴が漏れ、口から血を吹き出し動かなくなったのです。

 心臓は粉々に砕け散り、辺りには王子の心臓の破片と心臓の中にあった血が飛び散っています。


 もちろん少女の服には返り血がこれでもかというくらい付着していました。


「残酷にっていうのはこれでいいんだよな」


 少女は大笑いしながら塔から飛び降りました。








 深夜、少女は老婆の家の戸を叩き老婆を呼び出しました。


「なんだいこんな夜遅くに……」


 瞼をこすりながら出てきた老婆は、少女の姿を見た途端眠気が吹き飛びました。


「その様子を見ると、殺したという報告はしなくてもよさそうだな。ほら、約束の品を寄越しな」


 少女は笑いながら老婆に品物の催促をします。


「わ、分かったよ……」


 そう言って老婆は少女に懐中時計を手渡しました。


「あのお前が作っていた薬も寄越せ。興味がある」

「ちっ…… 仕方ないね……」


 老婆は渋々といった様子で薬を少女の手の中に入れました。


「ありがとうよ。それじゃあ…… 死ね」


 少女は品物を受け取った途端、老婆の眉間に銃弾を撃ち込んだのです。


「俺の正体に感づきつつある奴を生かしておく訳にはいかねぇんだよ……」


 老婆の死体を確認し、少女は懐中時計を手で回しながら帰路につきました。



最後まで読んでくださりありがとうございました。


次回更新は3日以内に更新します!

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