第18話 心の具現化
お待たせしました!
1週間を少しすぎてしまい申し訳ありません!
では本編をどうぞ!
「何がなんでもお前を殺してやる……!」
マギルは鋭い目付きで男を睨み付けます。
「そうかそうか、俺の中にいる奴もお前と同じ気持ちらしいぜ?何がなんでもお前を殺してほしいらしい。ま、言われなくても殺すけどな!」
そう言って男は指を静かに鳴らしました。
すると、男の足元から黒色の影が現れ、2人を包み込んだのです。
「うっ…… なんだここは……?」
マギルが霞む目を開けると、そこには無限に広がる赤い大地がありました。
空には犇めく歯車のような物が一面に広がっています。
「驚いたか?お前ら人間風情には出来ない芸当だろ?」
目の前に現れた男が、妖しい笑みを浮かべながらマギルにそう話しかけます。
「なんなんだこれは!」
「固有結界さ、こいつの心の中にある感情を現実世界から切り取って形作った結界。つまり、こいつのお前を殺したいと言う感情の具現化だ」
そう言って男は声をあげて笑いだしました。
「何がおかしい!!」
「いや、だってよ…… 物の試しにこんなもんを作ったがまさかここまで出来ちまうとは思わなくてな。ここなら何も気にせず存分に暴れられるぜ」
男はマギルを指を使って挑発し、マギルから少し距離を取ったのです。
「どこからでもかかってこい。何がなんでも俺を殺すんだろ?」
「言われなくても殺してやるよ!!」
マギルは男にレイピアで斬りかかり、男の爪とレイピアがぶつかり合います。
「どうした?この程度ではないだろ?もっと本気出せよ」
「うるさい!!」
男の挑発に乗ってしまったマギルはその場で手から火の玉を出し、男の腹にそれを打ち込みました。
火の玉はぶつかった途端爆発し、男を爆炎で包みました。
「火炎系魔法だ…… 悪魔には効果は抜群だろうよ……」
マギルは軽く笑いながら燃える男を眺めています。
「この程度で魔法とは笑わせるじゃないか」
男は体を燃やしている炎を、まるで服に付いた雨粒を払うように消し去りました。
男は見るからに傷一つ負っていません。
「な……!」
「魔法って言うのはこうやるんだよ」
ニヤリと男が笑い、そのまま指を鳴らす。
すると、マギルの足元から轟音と共に大きな火柱が現れマギルを襲いました。
「ぐあぁぁぁぁ!!!」
火柱に苦しむマギルを一通り楽しみに、男は再び指を鳴らし火柱を止めたのです。
「どうだ?これが本当の魔法だ。人間ごときが使う物とは比べ物にならないだろう?」
「はぁ……はぁ…… こ、この悪魔が……!」
マギルはあちこちに火傷が出来た体を無理に動かし、何とか立ちあがりました。
「そんなに悪魔が憎いならエクソシストにでもなればいいだろう?あと俺は、お前らが俺の事をどう呼ぼうが悪魔じゃない。人間さ、あくまでだけどな」
男は笑いながらそう言い、ふと思い出したように手を叩きました。
「そうだ、今のお前にちょうど良い奴がいる」
男は指を鳴らしあるものをその場に呼び出しました。
「メラ…ルダ……?」
その場に現れたのはメラルダの死体でした。
あの時と同じまま、心臓に自分の剣を刺されて死んでいるのです。唯一違う点は十字架に貼り付けられていないのと、少し腐敗が進んでいる程度です。
「お前……!メラルダに何をしやがった!!」
「見ての通りだろ?殺してやったんだよ。お前とこいつが同じ騎士団の顔なじみだったのを思い出してな。ならこいつを使おうと思ってたんだよ」
そう言って男は手から紫色の光を出し、それをメラルダの体に埋め込みました。
すると、メラルダの体が震え始め生き返ったようにその場に立ち上がったのです。
「な……!メラルダ!!」
「グガガガ……ギギ……」
メラルダはおかしな声を放ちながら自分の心臓に刺さった剣を勢いよく抜き、そのまま構えを取りました。
「ガギガガ……ギギギ……」
「やはり生前優秀だった死体は良い下僕になるな」
男は笑いながらメラルダの様子を眺めます。
メラルダの目からは血の涙が溢れ、片方の足からは異質な音が響いています。
「メラルダに何をした!!」
「ゾンビにして下僕にしてやったのさ。今そいつはお前を殺す事しか考えられないさ。やれ、メラルダ」
言葉を聞いた瞬間、メラルダはマギルに向かって走り出しその大きな剣で斬りかかりました。
「やめてくれメラルダ!!」
「グアァァ……!」
マギルの言葉に反応すること無く、メラルダは力を強めてマギルに襲いかかります。
「何を言っても無駄さ。そいつはもう従順な俺の下僕だ、もう一度殺すまで止まらんよ」
それから長時間に渡りゾンビメラルダとマギルの攻防が続きました。
と言っても、攻撃していたのはメラルダだけでありマギルはまともに攻撃など出来ませんでした。
「さて、そろそろトドメを刺してやるか。メラルダ、やれ」
男がそう言った直後、固有結界が崩れはじめました。
「ちっ…… 時間切れか……」
男はメラルダから紫色の光を抜き、死体に戻ったメラルダをその場から消しました。
「何が起きてるんだ!?」
再び眩い光が起こり、マギルの目をくらませます。
「く……!」
マギルが目を覚ますと、そこには元の世界の風景とあの少女がいたのです。
「やはりあの体をしばらく維持するにはこいつの力がまだ足りないか…… だが、長く持った方だ。さて、マギル…… やはり最後は俺がトドメを刺してやるよ」
少女が指を鳴らすと助手を殺した時と同じ断頭台が現れました。
そして少女はマギルにあの時と同じ命令しました。
「自分から殺される準備をしろ」
少女の瞳が光り、マギルの体が勝手に動き出します。
「体が……勝手に……!」
そして、数分もしないうちにマギルの処刑の準備が整いました。
「いや、やはり愉快だなこの光景は…… お前の助手もこうやってお前と同じように死んだんだ。実に愉快だったよ」
「お前の目的はなんなんだ!」
断頭台に設置されながらマギルは最後の力を振り絞ってそう叫ぶ。
「言っただろ?お前への復讐だって。その他のはお前に教える義理はない」
「ここでお前に殺されようと、いつか必ずお前を殺すやつが現れ……」
マギルの言葉を遮るように、断頭台の刃はマギルの首を切り落とした。
ボトンッ!という音と共にマギルの首が床に落ち、切断された首からは大量の血が吹き出し、その場をすぐに血溜まりにしました。
「本当に最後の最後まであの助手と同じような死に方をしたな」
落とされた頭を蹴飛ばし、少女は家に帰りました。
「さて、次は後回しにしてたあの塔に行くとするか……」
少女は天にも届く塔を見つめてニヤリと笑います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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