第17話 災厄の悪魔
お待たせしました!
二週間も待たせてしまい申し訳ございません!!
では、本編をどうぞ!
そして、夜になり。少女は妖しい笑みを浮かべて家を飛び出しました。
「待ってろよマギル…… お前の探偵ごっこも今日で終いだ……」
少女は屋根を伝ってマギルが居るであろう宿屋に向かいます。
「今日も収穫なしか…… それにしてもあの女の子は無事に家にたどり着けただろうか……」
宿屋の前で今日調べた人々のリストを確認し、マギルはふと昼に会った少女の事を思い出したのです。
「ああ、心配しなくても無事に帰れたぜ……」
すると、突如聞いた事のある声がマギルの耳に届きます。
「誰だ!?」
マギルが辺りを見回すと、宿屋の向かいの家の屋根に昼間に会った少女が、妖しい笑みを浮かべながらマギルを見下すように立っていたのです。
「君は……!昼間の…… こんな時間に外を出歩くなんて危ないじゃないか!早く降りてきなさい!!」
「はぁ〜…… てめぇはまだ分からないのか……」
少女はマギルの鈍感さにイラつきを覚え、懐から取り出した鉈をマギルに投げつけました。
鉈はギリギリのところでマギルの頬をかすり、石で出来ている地面に突き刺さりました。
「なっ……!」
マギルが1歩後ずさりをした瞬間に、少女は地面におりとんでもない速さで鉈を地面から引き抜き、マギルから少し距離を取ったのです。
「お前は相変わらず気を許した相手を疑う事を知らないな」
少女がニヤニヤとしながらマギルにそう話しかけます。
「君は…… いや、お前は誰だ……!」
「お前の助手を殺した犯人だよ……」
それを聞いた瞬間マギルの顔が強ばりました。
「なん……だと……!!」
怒りの表情をあらわにしてマギルは少女を睨み付けます。
「そうやってすぐに熱くなるのもお前の悪い癖だ」
「黙れ!お前が犯人ってことは、あの娘もお前とグルだったわけか……!」
マギルは少女を睨みつけながら体制を整える。
「あの娘?」
少女は首を傾げて誰の事か考えました。
「とぼけるんじゃない!あのエラとかいう娘の事だ!!」
「あいつは今回のこととなんも関係ねぇよ」
少女は熱くなっているマギルに呆れながら、ため息混じりでそう言いました。
「嘘をつくな!!テイルの仇をとったらあの娘もただじゃ置かない!!俺らの事を騙しやがって!」
マギルは助手の事で頭に血が上ってしまい、本来の目的を忘れているようでした。
今のマギルに探偵の面影は全くありません。
「エラちゃんを悪く言わないで!!!」
「え……?」
瞬間、その場の人間ではない声が響き渡ったのです。
「誰だ……!」
「エラちゃんを悪くいうのは私が絶対に許さない……!!」
マギルが声のする方を向くとそこには、赤い瞳ではなく黄色い瞳に涙を溜めた。先程の少女と同じ姿なのに、まるで別人ではないかと錯覚するような雰囲気の少女が立っていたのです。
「エラちゃんは私の友達なの!!お願い…… ※※※※※!あいつをやっつけて!!」
少女がそう叫んだ瞬間、また少女の瞳が赤色に変わり髪に星型の髪飾りが現れたのです。
「アハハハハ!!まさか、俺を無理やり抑え込んで表に出てきて尚且つ俺の真名を喚ぶなんてなぁ……!」
少女は自分の顔を抑えて笑いだしました。
「残念だったなマギル…… 本当だったら本来の姿は隠して殺してやるつもりだったんだが、他でもない宿主の依頼だ…… 本気で殺らせてもらおう」
「何を言ってるんだ!?それに……今のは一体誰なんだ!!」
マギルは頭に血が上ってるのは治ったようですが、まだ状況が把握出来ない様子でした。
「騎士団長マギル…… ここまで言えば俺が誰か分かるか?」
少女はニヤニヤと笑いながら指を静かに鳴らします。すると、少女の横に魔法陣が現れました。
「っ!?お、お前は…… まさか!!」
「そう、そのまさかだ……」
そう言って少女は魔法陣を殴りつけてバラバラに破壊します。
すると、バラバラになった魔法陣の破片が少女の体に張り付き始め、魔法陣模様の球体が少女の体を包んだのです。
しばらくして球体が割れる音と共に現れたのは、少女の姿とは似ても似つかない姿をした人物でした。
髪の毛は赤く染まっており、身長は少女の2倍ほど、そして左目には誰かに切られたような傷があり、その人物の何より特徴的な部分は背中に生えた真っ黒な悪魔の羽でした。
「よう、改めて久しぶりだなマギル……」
「お前は…… 災厄の悪魔……!」
「お前の国で俺がなんて呼ばれてるかは知らないが、多分それで合ってるよ。だがな、今の俺の名前はレイカだ。それ以上でもそれ以下でもない」
災厄の悪魔と呼ばれたその人物は、あの少女のように妖しい笑みを浮かべていました。
「お前につけられたこの傷…… 忘れたとは言わせねぇぞ?」
男は目の傷を触り、突き刺すような目でマギルを睨みつける。
「それと、お前がいなくなったこの国の騎士団はなんとも貧弱で面白みがなかったよ。腕はなまってないんだろうな?」
「俺はもう騎士じゃない……!探偵だ!!」
「俺がお前の助手を殺した犯人だと分かった瞬間の様子は、明らかに騎士の時のお前そのものだったけどな」
そう言って男は指を鳴らす。すると、マギルの横に少女が買ったレイピアが空から飛んできたのです。
「お前が騎士団長だった時に使ってたレイピアだ。俺は弱者を嬲る趣味はない、思う存分足掻いて見せろ!」
男はそう言って目にも止まらぬ速さでマギルとの間合いを詰めました。
そして、そのまま鋭い爪でマギルに斬りかかったのです。
マギルは瞬時にレイピアを地面から引き抜き、間一髪のところで爪を弾き返しました。
「力を見るになまってはいなそうだな……」
「災厄の悪魔……!何故またこの国に現れた?」
マギルは改めて体制を整えた後、男にそう質問しました。
「こいつが俺を呼んだんだ…… ただそれだけさ」
男は自分の胸に指を当ててそう答えた。
「それにしても懐かしいものだ…… お前とこうやって戦うのは10年ぶりか?」
「懐かしくなんてない…… お前のせいでこの国がどうなったと思ってるんだ!!」
マギルは再び怒りの表情を浮かべ、男にレイピアで斬り掛かる。
「俺にボロボロにされたこの国をたった10年でよく元通りにしたものだ。流石と言っておくさ」
男はレイピアをひらりとかわし、マギルの腹に重い蹴りを打ち込む。
「うっ……!お、お前に褒められたところで…… お前に殺された人々の魂が晴れることはない……!」
マギルは蹴られた腹を抑えて、蹲りながら男に対してそう叫んだのです。
「だからどうした?さっさと立て…… こんなもんでは俺と宿主の怒りは治まらねぇんだ。正々堂々の真剣勝負と洒落こもうじゃねぇか」
男はまたしても妖しい笑みを浮かべて、そうマギルに話しかけたのです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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次回の投稿は1週間以内に投稿したいと思います。




