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悪逆非道なマッチ売りの少女  作者: ポカ猫
第1章 悪逆非道なマッチ売りの少女
16/49

第16話 探偵と少女

お待たせしました!


今回は結構早く投稿することが出来ました!


では、本編をどうぞ!

 少女が扉を開けると、そこにいたのは……


「なんだ…… お前か」

「レイカ、せっかく来たのにその態度はないんじゃない?」


 バックにたくさんの食べ物を詰めて、ニコニコと笑顔を浮かべたエラが立っていたのです。


「俺はお前に来てくれなんて一言も言ってないぞ」

「私も言われてないわよ。でも、そろそろ食料が切れちゃうんじゃないかと思ったから買ってきてあげたのよ」


 そういってエラは食料の入ったバックを少女に手渡しました。


「礼は言っておく。もう用は済んだだろう、さっさと帰れ」

「少しくらいいいじゃない。あなたに話したいこともあるの」

「チッ…… 入れ……」


 少女は渋々エラを家に招き入れ、紅茶を入れて椅子に座ったエラに渡しました。


「嫌々入れてくれたのにお茶まで出してくれるのね」

「お茶?そんなもの知らん……」

「今渡してくれたじゃない」


 少女は疑うようにエラの手の上にある紅茶のカップを眺め、そして驚いたような顔をしたのです。


「身に覚えがない…… ()()()()()()()()()()。まぁいい…… で、話ってのは何だ?」


 自分の意思に反する行動を体がしていることにイライラとしつつ、少女は本来の目的のエラからの話の内容を急かすように問います。


「ああ、そうだったわね。レイカは吸血鬼について知ってる?」

「吸血鬼か?まぁ、ある程度は知っているぞ」


 いきなりの質問に疑問を持ちながらも少女は軽く頷いたのです。


「どれくらい知っている?」

「噛まれると吸血鬼になるという知識くらいだ」

「そう…… なら、この本渡しておくわね。これから先必ず必要になるから」


 そう言ってエラは少女に【吸血鬼について】と書かれた本を渡しました。


「ま、読むかどうかは分からんがもらっとく。ところで、あいつのことはどうなったんだ?」

「あいつのこと……?」


 少女がエラのことを少し睨み、その質問を投げかけます。


「マギルのことだ。調べておくと言っていただろうが」

「ああ、()()()のことね。()()()ならまだ時計塔のあたりであなたのことを探しているわ」


 エラは”マギル”という名前を聞いた瞬間、少し怒りのような表情になったがすぐに笑顔に戻りその情報を少女に伝えました。


「そうか、そろそろ顔を見せてやってもいい頃かもしれんな。調べてくれてありがとうな」


 少女はその情報を聞き、怪しい笑みを浮かべながらエラに礼を言いました。


「それじゃあ私はもう帰るわね?しっかりと食事は取るのよ?」

「うるさい。お前は何様のつもりだ」


「レイカ、この前も言ったけれど安心してね。()()()()()()()()()()()


 そんなやり取りをしつつ、エラは最後にそんな言葉を残し笑顔で少女の家を後にしたのです。


「この前から何なんだあいつは……?」






 少女の家を後にしたエラは幸せな気持ちで街を歩いていました。

 しかし、その幸せな気持ちもあることがきっかけですぐに空虚に消えてしまいます。


 エラは目の前に1人の少女を見つけたのです。

 その少女は、呑気にも店の果物を見ながら鼻歌を歌っていました。その少女はエラと姿形全てが同じ。そう、エラは()()()()を見つけてしまったのです。


 それからのエラの行動はとても速かった。少女の腕を掴み、そのまま路地裏に連れ込んだのです。


「痛い……! あなた誰なの……よ?」


 少女は驚きました。目の前に自分と瓜二つの人間が現れ、なおかつその人間が怒りに満ちた表情で自分のことをにらんでいるのですから。


「この時点で気づいていれば…… 気づいてさえいれば全てが間に合ったのに……!あんたがこんなところで呑気な事しているせいで……!あの子は!」


 エラは涙を流しながら少女の腕を離しました。


「でも、何があっても守ってみせる。今のあなたにそれができないのなら、私があの子を守る……」


 そう言ってエラは涙を拭きその場から立ち去ったのです。

 そこに残っているのは、何が起こったのか分からないという表情の少女が1人立ち尽くすだけでありました。







 一方その頃エラが帰ってからの少女は律儀にエラから渡された本を熟読していた。


「ふむ、大体の内容は理解したがこれから先のことでこの知識が必要になる場面があるとは思えん……」


 少女は読み終わった本を本棚に戻し、少女は出かける準備を始めました。


「今夜が決行の時だ…… そのためにマギルに接触しといてやるか……」


 少女は怪しい笑みを浮かべ、自らの家を後にします。

 しばらく歩き、少女が大暴れした時計塔の近くに差し掛かりました。

 すると、街の人に熱心に聞き込みをするマギルの姿が見えたのです。


「あの、最近家庭登録が解除された家があるんですけど。何か知りませんか?」

「家庭登録解除?分からないな…… すまないね、探偵さん」

「いえ、大丈夫です」


 少女はそんなマギルにゆっくりと近づき、声色を少女の声にして、マギルに話しかけます。


「探偵さん、何か探しているの?」

「ん?ああ、今ある家庭を探しているんだ。最近ご家族がなくなってしまった家とかお嬢ちゃん分かるかい?」


 マギルは少女に明るい声で対応をし、自分の目的を話しました。


「それ、私の家のことかもしれない。最近お父さんもお母さんも事故で死んじゃったから……」


 少女のその言葉を聞いたマギルは驚いた顔になり、少女の肩を勢いよく掴みました。


「君!名前はなんていうんだ!?」

「れ、レイカって言います……」


 少女は怯えながら自分の名前を口にします。


「レイカ……?聞いたことのない名前だな…… お茶でも奢るから少しお話ししないか?」


 マギルは少女の手を握り、笑顔でそう提案しました。

 その提案に少女は小さく頷き、2人は小さなカフェに向かったのです。







 カフェに着くと、マギルは早速少女に質問を始めたのです。


「さっき、家族が亡くなったと言っていたけど、それはいつ頃なんだい?」

「去年の最後の日の夜です……」


 少女は悲しそうに声を落とし、暗い雰囲気でそう答えました。


「去年のって……! もしかして放火事件が起きた日かい?」


 マギルは身を乗り出し、少し大きな声で少女の目を見てそう聞き返します。


「そうだと思います…… あの時は外がすごくうるさかったのを覚えています」


 その質問に答えたと同時に、カフェに着いた時に2人が注文していたコーヒーがテーブルに運ばれました。


「お砂糖とミルクはどうされますか?」

「私は両方二杯づつ頼むよ。君はどうする?」

「えと…… 両方いりません……」


 2人の注文を聞き、店員がマギルのコーヒーに砂糖とミルクを入れ終わった後、店員はお辞儀をし「ごゆっくりどうぞ」という言葉を言いテーブルから去っていきました。


「その歳でブラックとは驚きだね。私でも砂糖とミルクを入れるのに……」


 コーヒーを飲み少し苦そうな顔をして、備え付けの砂糖をコーヒーに足しながらマギルはそう少女に話しかける。


「昔からコーヒーはブラックと決めているので」

「昔からってそんな歳でもないだろう」


 少女の答えに少し吹き出し、マギルは再度コーヒーを口にする。


「さっきは悲しいことを思い出させる質問をして悪かったね。ここで提案なんだが、家族がいなくて家に住むのは大変だろう。どうだろう、私が孤児院を紹介しようか?」


 マギルの提案を聞き、少女はコーヒーを飲む手を止め少し顔を歪ませマギルを睨み付けました。


「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ……  ふざけてんのか……?」


 少女は小さな声でそう呟き、再度マギルを睨み付けます。


「えっ……?」


 マギルはその声を聴き、相手が普通少女ならあり得ない感覚を味わいました。

 背筋が凍るような感覚に至ったのです。しかも、確実に殺意を向けられた時の感覚です。

 マギルは口をパクパクさせて、言葉を探しながらできるだけ明るく振舞いました。


「へ、変な冗談を言ってすまない。君を怒らせるつもりはなかったんだ」


 はたから見れば、大の大人が小さな子供に対してペコペコしているように映っているでしょう。

 しかし、マギルは本能的に今はこう行動しないといけないと思い、少女に対して必死に誤っていました。


「いえ、こちらも取り乱してしまってすみませんでした…… ところで、なんで家族がいない子供だけの子を探していたんですか?」


 少女は首を少し傾げてマギルに対してそう質問しました。


「ああ、そうだった。理由を話さなかったらただの変な奴だよな。さっき言っていた放火事件の犯人が、その家族のいない家庭の子供なんじゃないかと思って調査をしていたんだ」


 マギルは明るく話しましたが、それを聞いた少女は表情を暗くさせました。


「もしかして、その犯人が私だと思って話を聞いていたってことですか……?」


 その言葉を聞いて、マギルは頭を掻きながら申し訳なさそうに謝罪をした。


「まぁ、そういうことになるね。でも、君がそんなことをする子じゃないっていうのは分かったからもう大丈夫だよ。時間を取らせてすまなかった」


「相変わらず気を許した相手には甘ちゃんだなお前は……」


 少女はマギルに聞こえない小さな声でそう呟き、残ったコーヒーを飲み干しました。


「ん……?何か言ったかい?」

「いいえ、なんでもないです。それでは、私はこれで失礼しますね。コーヒーごちそうさまでした」


 席から立ち上がり、少女はマギルに軽くお辞儀をしマギルに対して笑顔を向けたのです。


「こちらこそありがとう。最近は物騒だから夜道には気を付けるんだよ?」


「わかりました。ご注意ありがとうございます。探偵さんも()()()()()()()()()()()()()()注意してくださいね」


 そう言葉を交わし、少女は今度こそ自宅に向けて歩き出しました。


「随分と不思議な子だったな……」







 家に帰ると、少女は笑いが抑えられなくなりその場で大きな声をだし笑い出しました。


「アハハハハ!本当にあいつは馬鹿だな!!こんなことならもっと早く始末しに行けばよかったぜ。何を警戒していたのか馬鹿馬鹿しくなってきたよ」


 一通り笑った後、少女は前に武器屋で買ったレイピアを眺めながら怪しい笑みを浮かべます。


「さて、いつかの借りを返すために今夜、真剣勝負と洒落込むとするか……」


最後まで読んでくださりありがとうございました。


次回更新は1週間以内に出来たらいいなと思っています。

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