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悪逆非道なマッチ売りの少女  作者: ポカ猫
第1章 悪逆非道なマッチ売りの少女
13/49

第13話 女騎士メラルダ

お待たせしました!


1週間と言ったのに1ヶ月も待たせてしまって本当にすみませんでした!!


では、本編をどうぞ!

 少女が隣街で暴れた日から一夜明けて、少女は自分の住んでいる街とは反対方向の隣の国へ来ていました。


「国境と関所を越えるのが大変かと思ったが、案外すんなり通れたな」


 少女は鉈を見つめながらニヤリと怪しく笑う。


 少女が今いる国はどうやら貧困に苦しんでいるようでした。しかし、国王はなんとか国を立て直そうとあの手この手と政策をしますが、一向にうまくいきません。


「王様!もうダメです…… 国の資産がもちません!!」


 家臣達が国王に苦しい顔でそう告げます。


「もう神でも()()でもいい!誰かこの国を救ってくれ!!」


 国王は涙を流し大声でそう叫びました。


 すると……


「お前を助けてやろうか?」


 どこから現れたのか少女が国王の目の前に佇んでいたのです。


「お前は誰だ!」

「いきなり失礼だな…… お前が助けてくれと言ったんだろ?」


 少女はニヤニヤと笑いながら窓から国の様子を眺めだしました。


「ということは…… お前は神だと言うのか?」

「どうだろうな。それで、どうするんだ?俺に助けを求めるのか?」


 国王の質問に曖昧な返事をして、少女は早くしろと言わんばかりに国王を睨みつけました。


「頼れるものはもう何も無い…… この国の貧困を救ってくれ……」

「いいだろう、やってやるよ」


 そう言って少女は国王の城から出ていきました。





 国民達の様子は国王から聞くまでもなく、最悪という状態でした。


「国王が頑張ってくれているんだ…… 私たちも頑張らないと……」


 しかし、貧困であろうと国王への信頼はとても強固なものでした。


 その時少女は、1軒の果物屋を見つけてニヤリと笑いました。


「あそこの店主でいいだろう……」


 そんなことをつぶやき、少女はいつもの声に声色を直し果物屋に近づいた。


「すみません…… リンゴを3つください」

「いらっしゃい、お嬢ちゃんおつかいか?偉いな、ほらリンゴ3つだ」


 少女はリンゴの代金と一緒に1枚の折りたたまれた紙を店主に手渡しました。


「これはなんだい?」

「あの…… さっき国の兵士さんが落としていったんです……」


 店主が紙を広げるとそこには目を疑いたくなるような事が書かれていたのです。



[命令書]

 本日から、国民に対する税金を3倍に変更する。伴っては、この政策に成功した暁には兵士達の給与を2倍に昇給させる事とする。なお、この政策に反対意志を出す国民がいた場合、()()()()()としてその場で処刑する事を許可する。この政策は3日後に発表し、実行に移す事とする。



「な、なんだよ…… これ……」


 命令書を見た店主の顔が怒りでどんどん赤くなっていく。


「お嬢ちゃん…… これ、私が貰ってもいいか?かわりと言ってはなんだけど、リンゴを1個サービスしよう」


 店主は少女にリンゴを渡し、店を閉めて急いで出ていきました。


「ふふふ…… おそらくここらの代表にでも店に行ったんだろう。まさか()()命令書がここまで効くとは思わなかったな。まぁ、それだけ追い詰められていたということか。」


 少女はリンゴを一口かじり、城に向かって歩きだしました。


「この国の国民はあと3日以内に反乱を起こすだろう…… 次は国王の方だ……」


 怪しい笑みを浮かべながら少女は、走って行った店主をチラリと見ました。





 少女が城へ帰ってくると、待っていたと言わんばかりに国王が少女の肩を掴みます。


「国民の様子はどうだった!?」

「おい、離せ……」


 少女が国王を睨みつけ、国王はしぶしぶ手を離しました。


「この国、税金の徴収があまり良くないんじゃないか?」


 唐突に少女がそんな話を切り出し、国王は驚いた顔になりました。


「なんで……知っているんだ?私も貧困を救う為に色んな策を使ったのだが、やはり国民に負担をかけるのはあまり良くないと思い、税金は全くといいほど引き上げをしていないんだ……」


 国王が暗い顔をしながらそんなことを打ち明けた。


「その、お前の優しさを利用してる奴らがいるのは知ってるか?」

「えっ!?」


「国民たちは暮らしが良くならないのは王が悪いからだと思い始めていて、税金の徴収を誤魔化し金を溜め込み、武器を揃え国王を暗殺する計画を考えているらしいぞ」


 少女が口にした事は全くのデタラメでした。お互いがお互いの事を憎み、争うように仕向ける為のデタラメです。しかし、貧困に苦しみ、余裕がなくなっている人々や国王にはそのデタラメが本当の事にしか思えなくなるのです。


「そんなことをしていたとは……!兵士をここに集めろ!!」


 国王は怒りで我を忘れ、兵士を集め作戦を練り始めました。


「奴らは3日以内に動くはずだ、しっかりと準備をしておけよ」


 そう言って少女は、また城を後にしました。





 少女は、国民達が集まっているであろう集会所に足を運んだのです。


 すると、案の定国民の殆どが集会所で果物屋の店主の話を聞いていました。


「俺達が今まで頑張ってきたのは全部城の兵士達の給料に消えていたんだ!!国を立て直す為なんて大嘘だったんだ!!」


 それを聞いた国民達は、口々に「反乱だ!!反乱を起こそう!」と叫びをあげはじめました。


 すると、その声を治めるように1人の老人が口を開いたのです。


「反乱を起こすと言っても我々には身を守る為に買ってあるボロボロの剣が1つあるくらいだ、どうやって戦うと言うのだね……?」


「じゃあ…… このままこの仕打ちを受けろって言うのかよ……」


 1人の青年が涙を流しながら、静かに呟く。

 国民達の中で諦める雰囲気が流れ始めたところで、集会所の扉を勢いよく開ける音が響き渡った。


「話は聞かせてもらった。その反乱、このメラルダが手を貸そう!!」


 扉を開けたのは、この国に偶然宿泊をしていたさすらいの女騎士でした。


「ですが…… あなたが味方になってくれても肝心の武器が……」

「それも私がなんとかしよう、知り合いに良い武器屋がいてな。理由を話せば譲ってくれるさ」


 メラルダは、全体の士気を上げる為に大きな声で話し始めた。


「こんな仕打ち、許せる訳が無い!!なんとしてでもこの国の平和は私達で掴み取ろう!」


 すると、国民達はメラルダの気合いに同調しどんどん士気が高まっていきました。


「偶然って言うのは本当に面白いものだな…… ちょっと遊ぶつもりがお前がここに居るなんてな……」


 少女は誰にも聞こえないような声でそう呟き、集会所を出ました。


「ふふふ…… 3日後が楽しみだな……」


最後まで読んでくださりありがとうございました。


仕事が立て込んでいるので次回の更新もいつになるかは分かりませんができるだけ早くあげたいなと思っています。

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