第11話 探偵と聖職者の娘
お待たせしました
今回も楽しんでもらえると嬉しいです
では、本編をどうぞ!
あの事件の後、マギルはレイカの手がかりを探すべく再び街の人々に聞き込みをしていました。
「やはり情報がばらけていてどれも確証がないのが問題だな……」
マギルは手帳に書かれた情報を見ながら頭を捻らせる。
ふと前を見ると、見知った少女がマギルの前を通り過ぎたのです。
事件発生の前にレイカのことを話していた少女、エラでした。
「君、ちょっと待ってくれ……!」
マギルがそう声をかけると、エラがマギルのほうに振り返ります。
「元気そうでよかった…… あの事件で怪我などはしてないか……」
マギルが言葉を言い終わる前に、エラがマギルの額に銃口を当てました。
その時のエラの顔はいつもレイカと話しているような顔ではなく、マギルのことを親の仇とでも見るような顔をしていたのです。
「マギル……!よくのうのうと私の前に出てこれたわね…… お前のせいであの子があんな目に遭ったっていうのに!!」
エラは憎悪の表情を浮かべ今にも引き金を引こうという雰囲気を出しつつも、マギルが何かを話すのを待っているような雰囲気も出しています。
マギルが思い切って口を開きます。
「私が何をしたというんだ!子供がそんな物を持っていていいわけないだろう!!早くこれを下ろせ!」
その言葉を聞いたエラは、静かにマギルの額から銃口を下ろしました。
「今はお前が何をしたということはない。これからお前が確実に起こす未来に私は怒っているんだ……」
マギルは正直何を言われているのか分かりませんでした。しかし、エラの瞳から小さな涙がこぼれたのをマギルは見逃しませんでした。
「次あった時は確実に殺す…… 覚えていろ」
そう言い残してエラは路地裏に消えていきました。
「あ、待ってくれ!!」
マギルがエラを追って路地裏に入るが、そこにはもうエラの姿はありません。
「見失ったか……」
それからマギルは、エラの言っていた言葉の意味を考えながらまた街の人たちに聞き込みをしていました。
すると、何かの偶然かまた目の前にエラの姿を見つけたのです。
マギルは意気込んでエラの肩を掴みました。
「さっきは話の途中で逃げられてしまったが、今回はそうはいかないぞ?」
すると、エラはマギルの顔を見るや否や驚いた表情になり、手を払いのけてマギルと距離をとります。
「さっき?何を言っているんです?」
「とぼけるんじゃない。さっき私の額に銃口を突きつけたじゃないか!」
マギルがとぼけるエラにイライラとしながら、先ほど起こった事を話した。
「やはり誰かと勘違いしてませんか?私はさっきまで買い物をしていたし、銃なんて持ってすらいませんよ?」
そう言ってエラはバックの中身をマギルに見せます。
エラの言った通りバックの中には野菜や果物などの食べ物しか入っていませんでした。
「マギルさんは誰と勘違いをしているんですか?」
エラは少しめんどくさそうな顔をしながら、少しマギルの事を心配します。
「いや、あまりにも君に似ているものだったから勘違いしてしまったようだ。すまなかった」
そう言い残してマギルはエラと別れ、また調査に戻っていった。
「レイカといい、マギルさんといい私がもう一人いるみたいな言い方して…… 何なのかしら?」
エラは首を傾げながら買い物の続きに戻ります。
そのころ少女は、隣街に入り手帳に書いてある母親探しを始めていました。
「手っ取り早く街の奴らに聞くか…… 聖職者なら有名だろう」
さっそく少女は声を変えて、近くを通りかかった男に手帳を見せます。
「すみません、お母さんを探しているんですけどどこにいるか分かりませんか?」
すると写真を見た男が軽く手を叩きました。
「あ~!ヨミさんの娘さんかい?」
「はい、そうです」
すると、男が少女の頭をやさしく撫でて紙にヨミの家までの地図を描いてくれました。
「ヨミさんから話は聞いているよ。娘さんに会いたがってたし早くいってあげな」
「ありがとうございました!」
少女は軽く男にお辞儀をして、地図を頼りに走って道を進みます。
地図の道なりにしばらく進むと、男が言っていた特徴の家の前に着きました。そこは、ごく普通の家で聖職者が住んでいるとは思えないような家でした。
少女は扉を軽くノックし、人が出てくるのを待ちます。
すると、すぐに家の主が出てきました。
「ヨミですけど、どちら様ですか~?」
家の中からは金色の髪が似合うきれいな女性が出てきました。
「お母さん!」
少女は思い切りヨミに抱き付きます。
「あらあら…… 久しぶりに見たらまた大きくなったわね。早く家にお入りなさい」
ヨミに勧められるまま少女は家の中に入っていきます。
少女が入ったことを確認すると、ヨミが家の内側から扉に鍵をかけました。
「え……?」
「私、これでも聖職者よ?分からないとでも思った?私の娘の体に入った悪魔さん」
ヨミは少女を睨みながら、少しづつ少女との距離を縮めます。
「ちっ…… 初めからばれてたのか。まぁ、そのほうが手間が省けるからいいか別に」
少女は懐から鉈を取り出し、ヨミの目をまっすぐ見つめます。
「あなた、相当の力を持った悪魔みたいね。何が目的でその子の体に入ったの?」
「こいつに頼まれたんだよ、助けてくれってな」
少女は髪についている星型の髪飾りをさわりながら、怪しい笑みを浮かべます。
「お前は知ってたのか?こいつが冬の寒い時期にほとんど服も着ずに、父親にマッチ売りをさせられていたことを。何か事情があって別々に暮らしていたのかもしれんが、こいつに俺を引き込ませる原因を作ったのはお前じゃないか?お前が引き取っていればこんなことにはならなかっただろうな」
少女は笑みを浮かべながら鉈をぺろりと舐めました。
「この…… 悪魔が……!」
「あぁ、そうだそうだ。言い忘れてたことがあった」
「俺は人間だよ、あくまでだけどな」
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回更新は1週間以内に書きたいなと思っています




