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悪逆非道なマッチ売りの少女  作者: ポカ猫
第1章 悪逆非道なマッチ売りの少女
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第1話 魂を売った少女

新連載です!

童話を書くのは初めてですがどうぞよろしくお願いします!


では、本編をどうぞ!

 ひどく寒い日。

 雪も降っており、すっかり暗くなり、今年最後の夜でした。

 この寒さと暗闇の中、一人の憐れな少女が道を歩いていました。

 少女は古いエプロンの中にたくさんのマッチを入れ、夜の街で少女はマッチを売っていました。ですが誰も少女からマッチを買いません。

 ひらひらと舞い降りる雪が少女の長くて金色の髪を覆いました。少女は寒さに身を縮め、ついに我慢ならずその場にしゃがみ込んでしまいました。


「誰もマッチを買ってくれない…… これじゃあお父さんに叱られちゃう……」


 すると、少女の元に青白い光が現れました。


「少女よ、俺がお前の手伝いをしてやろう、そんなに体を冷たくしてさぞ辛かろう。さぁ、俺を飲み込むがいい」


 なんとその青白い光が少女に話しかけたではありませんか。

 しかし、少女にはその青白い光が悪い者には見えなかったのです。なぜなら、少女は今まで数々の不幸を経験してきて、少女にこんなに優しく話しかけてくれる者などいなかったからです。


「本当に助けてくれるの?」


「あぁ、約束しよう。貴様に大金を掴ませてやる。しかし条件がある、俺にその体を引き渡せ。そしたらお前はもう寒い思いをすることもない、どうだ?悪くない話だろ?」


 少女には青白い光の言葉の意味を理解することができませんでした。しかし、約束するという言葉を信じてその青白い光を手の中に入れ、そのまま飲み込みました。

 するとどうでしょう、少女の瞳が赤く変わり、金色の髪に今までつけていなかった星形の髪飾りが着けられたのです。


「なんて簡単な野郎だ、よっぽど心がやられてたんだな。この体、自由に使わせてもらうぞ」


 そこにはあの純粋な少女の口調はなく、その少女は裸足のまま歩き始めました。


「まず、約束は果たすか。口調も直さねばいけないな。次に話す人間にでも試そう」


 少女はゴミ捨て場に行き、そこに捨てられてあった水瓶をたくさん拾い水を汲み、その水瓶を地面に並べました。


「よし準備は整ったな。さぁ、始めようか」


 少女は少し離れた民家に着きました。


「こいつが持ってたものが、このような使い方ができるなんて知りもしなかっただろうな」


 そう言って少女は、あろうことか民家にマッチで火を点けたのです。乾燥している冬の夜、火は一気に燃え広がり、たくさんの民家を焼いていきます。

 少女はすぐさま水瓶の元に戻り、焦る人々にこう言いました。


「水~!水は要りませんか~?」


 少女はマッチではなく水を売り始めました。人々は少女の行動に何一つ疑問を持たず、自らの家と家族を守るため、次々と水瓶を買いました。

 街が消火されると同じころに少女の水瓶は売り切れ、少女は大金を持って水瓶を捨てに行きました。


「こんなに容易く金を集められるとは、つくづく人間はバカだな」


 少女は笑いながら、一本のマッチを残しその他をすべて折り、湖に投げ捨てました。


「さて、金も集まったことだし身の回りの物でも買い集めるか」


 少女はそのまま、洋服、靴を買い、最後に武器屋に入りました。


「何だいお嬢ちゃん、ここはお嬢ちゃんみたいな子供が来るとこじゃないよ。危ないから出ていきなさい」


 武器屋の主人は、少女を見るや金にならないと見たのか、そのまま追い返そうとしました。


「お金はありますので、この武器屋で一番良い拳銃を売ってください」


 少女は武器屋の主人に大金の入った袋を見せて、自らが客だということを主人に見せつけた。


「ッ!?お嬢ちゃん、そのお金どうしたんだい?どこからか盗んだのかい?」

「盗んでなんていません。私が稼いだお金なんです」


 すると武器屋の主人が受付台を叩きました。


「嘘をつくな!子供が稼げる金額じゃあないだろう!!」

「しつけぇよ…… こっちが下手に出てたらグダグダ文句を言いやがって、さっさと出せ」


 少女はさっきまで出していた可愛らしい声ではなく、ドスの効いた腹黒い声で主人に催促をしました。


「えっ……?」


 主人は今誰が話したのか、分かりませんでした。なぜなら少女がまるで別人のような声を出したからです。


「聞こえなかったのか?さっさと銃を出せと言ったんだ早くしろ」


 少女が主人を睨みつけたのを見て、主人は急に背筋が寒くなり急いで拳銃を持ってきました。


「あ……あの、こちらになります……」

「なかなか、良い銃だな。ほら、代金だ。釣りはいらねぇよ」


 少女は銃を受け取ると、本当の代金の1割増程の代金を主人に渡し、店から出ていきました。

 それから少女は自分の家に帰ってきました。


「なんだ?早かったじゃないか、さっさと金を渡せ」


 少女が家に入ると、そこには少女の父親が暖炉の前で猫を撫でていました。


「おい、お前…… 何服なんて買ってんだ!?勝手なことをするなっていつも言っているだろ!」


 少女の父親は、少女の姿を見るや暖炉から離れ、少女を怒鳴りつけました。


「うるせぇよ……」

「なんだと?おい!それが父親に対しての口の聞き方か!!」


 その瞬間でした。家の中にいきなり銃声が鳴り響き、少女の父親の額から血が流れました。


「調子に乗るなよ人間風情が……」


 少女の手には先程買った銃が握られていました。

 なんと少女は自分の父親を撃ち殺したのです。


「このままだとバレた時に面倒だな」


 少女は火が消えてしまった暖炉に父親を詰めて、残しておいたマッチで火をつけました。


「骨だけになったら砕いて海にでもバラまいてやるよ」


 少女は椅子に座り、これからの事を考えました。


「こいつの名前を知らなかったな、俺が新しく名前を付けてやろう…… そうだな、レイカ…… 今日からこいつと俺の名前はレイカだ」


 少女は猫を撫でながら、燃えている父親を眺め笑っていました。


「この少女の願いは叶えた、次は俺が暴れる番だ」


 その頃街では先程の火災騒動を警察が調べていました。


「火元はこの民家みたいです、火災原因はマッチでの放火と見られます」

「そうか、該当する容疑者を徹底的に洗いだせ」

「はい!」


 警察は民家を離れ、容疑者リストに目をやりました。

 そこには元の少女の名前は書かれていなかったのです。



 朝になり、少女は再び街に出向きました。


「お嬢ちゃん、朝から買い物の手伝いかい?偉いねぇ〜」

「はい、ありがとうございます!」


 八百屋や、肉屋などである程度の食料を買った少女は、最後に教会に足を運びました。


「この教会があると後々面倒になりそうだな、今日辺りに……」


 少女は小さな声で独り言を言い、その場を去っていきました。





 少女は家に着くと早速、裁縫箱を取り出して真っ赤な帽子のついたポンチョと洋服を縫い上げました。

 夜になり、少女は自分で作った服を着て、教会へと向かいました。


「なんなのですかあなたは!!」


 教会の神父に銃を突きつけ、少女は目元を隠しニヤリと笑いました。

 神父が周りを見ると、他の仲間たちは全員撃ち殺されていました、神父はその場で腰を抜かし、自分の死を覚悟しました。

 しかし、少女は神父を殺さずに腹に銃弾を打ち込むとそのまま帰って行きました。


「もうこの服も要らないか」


 教会を襲撃し終わり、満足した少女は家に着くやいなや、着ていた赤いポンチョと服を暖炉に投げ捨てました。

 昨日買った服に着替えると、少女は不敵な笑みを浮かべました。


「俺がバレる事は絶対にない、明日になったら面白いことが起るだろうな……」


 そして少女は眠りにつきました。





 朝少女が目を覚ますと外が騒がしい事に気づきました。

 なんでも教会を襲撃した大悪人が公開処刑されるらしいのです。

 少女は急いで広場に向かうと、広場には昨日自分が着ていた物と全く同じ服とポンチョを着た少女が、断頭台に首をのせていました。


「やめて!私は本当に何もしていないの!離して!」


 少女は弁明の言葉を執行人に投げかけますが、執行人は聞く耳を持つどころか、周りにいる国民たちに罵倒を受けていました。


「教会を襲撃した大悪人め!さっさとくたばれ!」


 執行の時間が来たのか、執行人は断頭台の横に立ちました。


「お願いします!助けて!私は何もして…………」


 少女の言葉を遮るように、断頭台の刃は少女の首を切りました。

 ボトンッ!という音と共に少女の首が床に落ち、その瞬間周りの国民たちから歓声が上がったのです。

 少女はレイカの身代わりとでも言うように、何も罪が無いのに殺されてしまったのです。

 レイカは自分の家に入った瞬間大笑いしました。


「アハハハハ!身代わりになってくれてありがとよ、名前も知らない赤ずきん!」


 一通り笑った後、少女は次はどんな事をしてやろうと、1人考えるのでした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回更新は月曜日か火曜日になります。


それよりみたらし団子って美味しいですよね。

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