里穂ちゃんから見た優くん
優くんは、授業中によく居眠りする。
それでもテストの点数はそこそこ良かった。
私は居眠りもしないし自宅学習も欠かさないのに、順位はいつも優くんより下だった。
そんな優くんは、今日も相変わらず居眠りをしている。
「おい、起こすなよな、せっかく気持ちよさそうに寝てるんだから」
体育前の休み時間、いつもの如く机に突っ伏している優くんを起こしてあげようとした所を、竹内くんに止められてしまった。
私はいつも、起こしてあげようとするのだけれど、クラスの皆は居眠りで遅刻してくる優くんを面白がって起こそうとしない。
「相澤ってほんと、人が良いんだから」
「私はただ、いつも遅刻して佐藤先生にビンタされてる優くんが可哀相だから」
佐藤先生というのは体育の先生だ。竹刀がよく似合う先生と言えばばっちりイメージ出来ると思う。
「そういうのを御人好しっていうんだよ」
こうして優くんは、誰にも起こされないまま気持ちよさそうに眠っているのだ。
今日の体育はバスケットボールだった。
「ねえ里穂、優太郎のやつ今頃来たよ」
そうニヤニヤ笑いながら教えてくれたのは実里ちゃんだった。
ペチンッ
「痛っ」
さっきまでバスケットボールに夢中になっていた男子達も、優くんがビンタされる瞬間を笑い転げながら見ていた。
軽いストレッチをしてからコートに入ろうとする優くんに、私は声をかけた。
「優くん、もしかしてずっと眠ってたの?」
「黒パ、じゃなくて、里穂ちゃん、僕の居眠り癖はどうやら治らないみたいなんだよね」
黒パ、って聞こえたけど。
「いつまでもそんなこと言ってないで、頑張って眠らないようにしようよ。私も手伝うからさ」
「里穂ちゃんってもしかして、僕のこと好きなの?」
「な、何言ってるの。そんな訳ないでしょ、バカ」
もう知らない!




