第三十四話
さて、魔王の元まであと一歩なシュート君とアンナちゃん。
しかし、魔王領はそこまで甘くなかったのであった……
「あれは……蛇か?」
「随分と大きいですね。私なんかすぐに食べられちゃいそうです」
「あれ、名前はバジリスク。蛇の王様」
「強そうだな」
体長は二十五メートル程だろうか。
これぞ蛇! と言った柄をしている。
そして何故かバジリスクの周りには桜のような木が生えており、満開に咲いていた。
「これは回ったほうがいいか?」
「アイツ、危険。魔王様の言うことしか聞かない」
「魔王にパシリスクにでもされてんのか……」
「そんな事いってないで、どうするんじゃ? とは言っても相手はもう気付いたようじゃが」
見ると口を大きく開け威嚇をしている大蛇、今にも食べられそうだ。
俺はすかさず煙幕を焚き、目をくらます。
バジリスクはそんなことお構い無しにエリーに飛び掛った。
「よりにもよって我を選ぶとは……いいだろう、力比べじゃ!」
「シャー!!」
両手で空いた口を掴み、食べられまいとしているエリー。
「だめ、あのままじゃ」
「どうかしたのか?」
「ぎ、ギャアア!」
「エリー!」
「大丈夫ですか!?」
エリーはバジリスクが吐いた液をもろに被り、苦しそうにしている。
体からは煙が出ており、どうやら溶けているようだ。
―服が。
「我の、鱗を溶かすか……主よ、後は頼んだぞ」
「え、エリーー!!」
「エリーさん!」
「ブリザード!」
魔法はバジリスクに当たる前に魔力に変換され、霧となって消えてしまう。
どれだけ威力をあげても同じ結果だった。
「どうする、他にないぞ……」
「ゆるさない」
アンナの様子がおかしい。髪が奇麗な紅色から赤黒く染まっている。
息も荒々しく、形相もまるで獣のようだ。
「この感じ……」
「ま、まさか!?」
「……魔力」
「ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない!」
「ギィィァアア!!」
そのまま飛び掛かるアンナ。短剣はバジリスクの首に深々と突き刺さる。
そのまま尻尾で薙ぎ払うが、それを易々とかわす。
「身体強化、まるで別人だな」
「魔法無効化の霧が常にでているバジリスクの近くで魔法を使い続けるとは……危ないぞ。主よ、どうするのだ」
「このままじゃ危ない。無理やりでも止めるさ」
どうも、ピスタです。
お久しぶりの投稿でございます。
別にマイクラやイカ2をやっていて放っておいた訳ではありません。
三月中にもう一本出せたらと思います。
 




