第三十二話
山を下ると鬱蒼とした森が広がっている。魔王領だからといって草や木は変わらないようだ。
「少し薄暗いですね」
「森だからな。エリー、魔力痕跡はどんな感じだ?」
「あれだけの大きな鉄の塊を動かしているのだ。びっしりと残っておる」
魔力痕跡、名前の通り魔力の痕跡のことだ。魔力を使った動作の時に出る残りカスのようなもので、火の玉位なら三十分もあれば消えるだろう。
だが実際なら全長二五六メートル、幅三八メートル重さ六五○三○トンの大きな鉄の塊を動かすには相当莫大な魔力を消費するだろう。
そしてその魔力からでるカスだ。一日二日では消えはしないだろう。
「むむっ、なんだか霧が出てきましたよ?」
「しかも段々濃くなってきたな……」
「我について来れば大丈夫だ」
進むにつれ濃くなっていく霧、三十メートルも進めば前が全く見えず俺はエリーに手を引いてもらい、俺はアンナの手を引き行動している状態だ。
「あれ、なんか霧が濃くなってきましたね」
「そうだな。足元に気をつけて進もう」
霧は小学生の頃、冬の朝とかにでていたのを見たことはあるが今の霧はそれよりも凄まじい。
手を繋いでいるのに相手の顔はほんのうっすらとしか見えない。
「主よ、なにかみえてきたぞ」
「なんだこれ、神社? それにしても何故こんな所に……」
霧の中に突然現れたのは日本にあるようなお寺だった。見つけた途端霧は薄くなり視界は晴れた。
枯葉が落ちておらず、綺麗に舗装された参道。紅く塗られた立派な鳥居は迫力がある。
「誰? もしかしてあなた達、人?」
「ツツッ!?」
気配無く近づいてきたソレにビックリして声を上げれずに慌てる。
振り向くとそこには巫女装束を纏った猫耳の生えた美少女がいた。
傾く夕日になびく茶色の髪。
「なんでここに人がいるの? もしかして魔王様倒しに行くの?」
「いや、倒しに行くとかじゃない」
「じゃあ迷ったの?」
「いや、迷ってない。これから魔王様に会いに行く――」
その一言を発した刹那、彼女は袖から自分の身の丈と同等な大鎌を取り出し、俺の首に当てる。
向かい合う二人、刃の先端を当てられ血が首に滴り落ちる。
俺はいつ首を飛ばされてもおかしくない状況。
「やっぱり、魔王様倒しに行くんだね」
「ち、違う! 俺はただ会いに行くだけだ、攻撃するつもりはない!」
「……信じられない」
「ッツ!」
駄目だ、この状況を打破する糸口が見えない。
刻一刻と過ぎていく時間。
「ならついて来ればいい。もし魔王を殺そうとしているのが本当なら魔王の前で我が主の首を刎ねるといい」
「……わかった。下手な行動したら」
「わかってる、本当に会いに行くだけだから」
なんとか難を逃れたシュート達だった。
どうもピスタです。
この度は読んで頂き真にありがとうございます。
ここ一ヶ月位更新していなかったですね。本当に申し訳ございません。
理由は単純に書けなかっただけです。この後の展開とか一応考えてはいるものの、何せプロットありませんから……
受験生なのでこれからの更新は多分なくなります。
受験終わり次第続きを書いていきますので、長いですがお待ちください。
ここから読まなくても大丈夫です。
最近勉強しているのですが全く身に入らないんですよね。
疲れているからなのか、彼女が欲しいからなのか……
とにかく勉強できない小説かけないでもゲームはできる、見たいな状況でして。
とにかく失踪だけはしないので気長にお待ちください。




