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第三十一話

 あれから三日が経った、今思うと武器を自在に操れる「制御」の効果を付けておけばよかったかもしれない。

 一向に来る気配の無い魔王軍、大半の冒険者は王都へと帰っていった。

 残っているのは例の神の使徒と言われている日本からの転生者たちと、王国兵士の皆様だ。


 怪我人は治癒魔法のおかげでほぼ全員が歩ける状態になった。(失ったりした手足はまだ回復できていない)

 どれもこれもあの戦艦と空母を引き連れてやってきた魔王が悪い。


「これからどうするんですか?」

「暇なのじゃ~」

「そうだな、とりあえず腹もへったし昼食にするか」


 そういって俺は収納魔法の中からパンと蜂蜜を取り出した。 


「さて、どうするか」

「いっほのことはおうほところに―」

「アンナ、食べてから喋れ」


 モグモグ、ゴクン。急いで食べたため口元に沢山ついている食べかすをふき取る。


「よし、話せ」

「はい。いっそのこと魔王のところに直接行かれてみてはどうでしょう?」

「うーん……」

「我は別にかまわんぞ。楽しければいいのじゃ」


 エリーが段々もとの喋り方を見失いつつある気がするがいいだろう。

 飯も食べて腹も膨れたことだ。いざ、魔王都へ!

 と思ったが安易に決めすぎたかもしれない。

 魔王都へ行くにはまず人の領土と魔王の領土との国境の役割をしている山脈を越えなければならない。

 はたして登山経験の無い俺が、目の前にある標高三○○○メートルはありそうな山を越えて行けるのだろうか。とても不安である。


「まずは山の近くの村にでも行くか」

「主よ、山の近くに住むなどという頭のおかしな人間はいないのではないか?」

「そういわれてみれば……」


 ここは平原だ。青空も綺麗で遠くにある俺たちが上らなければならないその山も見えるほどに何も無い。

 なのにこの辺りに村は見当たらない。そもそも王都にいた人々を見てから村人を見ていない。

 俺は山に向かい、歩きながら考えることにした。

 

「魔王都ってどんな所なんですかねー」

「そうじゃな、我は行ったことがあるが前の魔王も十年ほど前に死んでしまった、今の魔王都はどうなっているかはわからん」

「そういえば魔王都に住んでる住人ってやっぱり魔物なのか?」


 ガルマ先生から教えてもらったが、二〇〇年ほど前に一度魔王と人間の間で大きな戦争があったという。

 人間側は戦力の差から徐々に追い詰められていったがそんな時に現れた一人の勇者、名前は確か……ヤマトとかだった感じがする。

 それからその一人の勇者の力によって形勢は逆転し、魔王は倒せなかったものの、人間の勝利に終わった。


 その対戦で残った敗残兵が森や山などで野生化、繁殖し、今の魔物になったと言われている。


「そうじゃな、あまり覚えておらぬが魔王はしっかりと言葉を話せるし人間の姿に近いぞ?」

「ほほう、ってことは……ま、まさか!?」

「どうしたんですか?」

「モしかしたらけも耳娘がいるのでは!」

「どうじゃろうな。やはり行って見なければわからんな」


 これはとても面白いことになりそうだ。

 さて、それから三時間ぐらいだろうか、途中日向ぼっこをしたりエリーと少しじゃれあったり(気付いたら草原のあちこちに大きな亀裂やクレータなどができていた)などしながら俺たちは山脈に近づいていく。

 山脈からこちら側に川が流れていてとても綺麗だ。

 あと山脈に近づいて行くほどに魔物が現れる頻度が多くなっている気がする。

 今も槍を持っているゴブリンたちと応戦中だ。


「そっち頼めるかアンナ?」

「わ、わかりました」


 まだ戦いには不慣れなようだが軽くゴブリンは屠れるようになったみたいだ。

 薙ぎ払われた槍をアンナは軽々と避けていく、そして利き手だと思われる左腕を付け根から切り落とす。


「せいやっ!」

「グギッ!?」


 一秒送れて溢れ出る青い体液、次の瞬間彼女はゴブリンの細い首を跳ね飛ばす。

 まだピクピクと体が脈を打っている。

 それが止まる頃にはゴブリンの体は灰となり消えていった。


「大丈夫か?」

「はい、なんとか」

「大分慣れてきたじゃないか」

「エリー様とシュート様のおかげです」


 ゴブリンは全部で五匹居り、その内の一匹をアンナに任せたのだ。

 そして残る四匹はエリーが戦っていた。

 焼けた野原の中心には四つの魔石が落ちていた。


「主、我ハモウおわっているぞ」

「そうか、ご苦労様」

「えへへなのじゃ」

「ず、ずるいですよー!」


 人の姿に戻ったえりーの頭をなででやるとすかさずアンナが反応した。

 最近頭をなでると喜ぶということが分かったのでしているのだが大体いつもこんな感じである。

 まだまだ先は長そうだがこれなら何とかなるだろう。

 道を阻む魔物を片っ端から倒しながら俺たちは先へと進んでいったのであった。


 山の頂上は雪が積もっており、辺りは銀世界に包まれていた。

 足跡は俺たち以外には無く、代わりに居たのは紅いドラゴンだった。

 大きさは大体十メートル暗いだろうか、硬そうな鱗、額から生えた一本の迫力のある角はとても凛々しく、屈強な体躯はその堅牢さを物語っているようだ。


「ウェーーイ!」

「……は?」

「ウェーーイオ!」

「あ、あれは威嚇の咆哮なのか?」

「そ、そうみたいじゃな」

「なんだか面白いドラゴンですね。見た目すごく怖いですけど」


 この紅いドラゴンと戦ってみた所、俺の唯一の取り柄である魔法が全て無効化されるというスキルによって、俺は全くの役立たずになってしまった。

 アンナはその才能を開花させて、薙ぎ払いや火炎を上手く避けながら確実に攻撃を当てている。ただその攻撃は鱗の下にある肉に響いてはいないようだが。

 エリーも元の姿に戻り、取っ組み合いをしている。普通なら思い切り魔法を放って消し炭にでもしている所なのだろうが、相手のスキルの関係で、仕方が無くこうしていると言う状況だ。

 俺も頑張ってショートソードを振ってみているのだが、効果がまるで無い。

 避けるのが一瞬遅かったり、避ける方向が間違っていたりなどすると、簡単に腕がもげたりする。ちなみに物凄く痛い。

 激痛、死ぬような痛み、いつ死ぬ川からない状況でアドレナリンがドバドバでているので、抑えられてはいるがそれでもとてつもない痛みが腕だけでなく体全体に襲ってくる。

 魔法で失った腕もすぐに再生するが、これでは埒が明かない。


「一体どうすれば……」

「オモイ、ダシタゾ!」

「何をだエリー?」

「ヤツハ魔法ヲ完全ニ無効化デキナイ! 我ト同ジ魔法九割無効化ナノジャ!」

「それを早く言え!」


 つまりはエリーを始めて倒した時のような大技の魔法を繰り出せばいいってことだよな。

 

「行くぞ、世界を揺るがすのはこの俺だ! ファイヤフラワー!」

「ウェ!?」


 業火の炎はその硬い鱗を貫き、胸に大穴を開けた。

「ウ、ウェ……イ」

「やったか?」

「ドラゴンの治癒力を甘く見てはいけないのじゃ。 核をつぶされなければ、二日もあれば治るであろう」

「ドラゴンって凄いですねー」

「ここから下ればもう魔王領だ。気を引き締めていくぞ!」

「わかりました!」

「了解したのじゃ」


 さて、早い所山を下ろう。

先週だしたと思っていたらだせていませんでした。申し訳ありません。

皆さんケモ耳とか亜人種って好きですか? 私は大好きですよ!

一度でいいからケモ耳少女をモフりたいものです。

今後も乞うご期待!

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