破壊的日常
「ししょー!ししょーししょー!」
瞑想をしているとばたばたと廊下を走ってくる音と
弟子の俺を呼ぶ声が、聞こえてきた。
コンクリートの壁に床に軽く赤いカーペット敷いただけの自室の重たいコンクリートの扉を吹っ飛ばして、はいってきたのは。
「ししょー!やっちゃいましたよ!」
腰まである黒髪に真っ赤な目を輝かせ
俺とお揃いの赤いジャージ上下に裸足。
にぱっと笑った口の中に見える犬歯は、鋭い。
彼女の名前は、ルールー・バルバロッサ。
異世界の姫であり、俺の弟子である。
「なにをやったんだ?」
俺は、自室の天井に足の裏をつけ逆さまのルールーに問いかけた。
まぁ、だいたい何をしたかわかるが。
お隣の家を壊したかどっかの星を壊したか異次元の穴を開いちゃったかなんか変な事したか、
考え始めるとありすぎるな。
「お隣の砂糖さんの家をぶっ壊してしまいました!」
敬礼をしながら凄いだろうと言わんばかりのルールーに少し憤りを覚えた。
「…………はぁ…。」
俺は、下におりてルールーの目の前に立つ。
「ルールー。」
「はいっ!なんですかししょー!」
ピシッと立って俺の顔をみる顔のおでこに
手加減をして、でこぴんをした。
はずだった。
「ししょおぉおぉっ!?」
ルールーは、叫びながらでこぴんをもろに受けて家の壁を壊しながら、外に吹き飛ばされてしまった。
俺は、頭を抱えた。
「すまん…ルールー。」
俺は、ルールーの元に近付いた。
玄関口の隣の庭に大の字で倒れているルールー。
頭が消えている…が。
庭にある蛇口をひねり水をだす。
すると、水は倒れているルールーの頭のあった場所
に集まっていった。
そして、水から形が出来ていく。
水は、ルールーの頭となり顔となった。
ルールーの体は、水で出来ていて基本的に不死身
である。
目をうっすら開いて俺を見た。
「うぅ…ししょー……ししょー!」
ルールーは、飛び上がると俺に飛び付いてきた。
俺は、それを軽く避ける。
ルールーは、顔から地面に突っ込んだ。
「全く…どうするんだ…。」
俺は、頭を抱えた。
まぁ頭を抱えたところで、どうにか出来る事ではない。
「ししょー!どうしましょうかね!」
起き上がったルールーはまるで気に止めてないのか
顔のあちらこちらに泥をつけてキラキラ笑っている
ルールーをみて、俺は
「元はと言えば…」
「???」
笑顔のままキョトンとしたルールー。
「お前のせいじゃないかぁぁああっ!!」
と、叫んで俺はルールーの腹にでこぴんをした。
「ししょおおぉおおぉぉっ!!」
ルールーは、空の彼方まで飛んでいった。
ルールーの飛んでいった方向にはキランと光る星があった。
多分帰ってくるのは明日の朝五時くらいかな。
「………ふぅ。」
俺は、我が家を見てこれからどうやって直すか考えるのだった。
なにか大事な事を忘れていそうな気がするがそれは忘れたままで良いか。