表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
REMAKE  作者: 悠夕
第三章 『歩み寄り駆け寄る話』
10/28

第10話 『準備運動』

 体に走る痛みと、微量の重さ。それと瞼を焼く鬱陶しい光で意識が引っ張り戻された。

 痛い。なんというかとてつもなく痛い。痛みでいやでも目が覚めたし、普段回り出すまで時間のかかる頭もマッハで回転を始める。

「いた、いて、いでで………」

 間抜けな声を上げながらも、なんとか重い瞼を開いた。

 この痛みが気絶する直前に織の能力によって付けられた傷から来るモノならいい。けど痛みのソレは傷からじゃなく、どこからともなく────というか体の全体から脳に痛みがやってきて、意識に針を突き刺しているのだ。もうわけがわからない。

 ……後は頭に何か違和感。ありもしない記憶を植えつけられた感覚……俺はこの感覚を知っている。

「……これアレだ。能力をヤツからもらった時の感覚に似てる。頭の中に何か書き込まれて……」

「何ブツブツ言ってるの?」

 むにゅ、と。腕に返ってくる柔らかい感覚。

「………何やってはるんですか織さん?」

「やだなぁ、未緒李って呼んでよ帝くん」

「…………で、なんで織は俺のベッドに居んの?」

「つれないな帝くん……なんで、ってさ」

 ぎゅ、と腕にその、アレを押し付けるように抱きついてくる織。腕が柔らかい感覚に包まれて頰が赤くなっていくのがわかる。くそ、ホントこういうのには弱い。

「一緒に背負ってくれるって言ったでしょ、責任とってもらわなきゃ」

 と、向けられる柔らかい笑顔。不覚にもドキッとこう、胸が高鳴った。

 しっかりしろ瑞樹帝……惑わされちゃいかんぞ。

「前髪あげたほうがかっこいいよ」なんて微笑みながら俺の前髪に触れて来る始末。いかん。早く誤解を解かねば。

「な、何を企んでるのかは知らないけど俺はそういう意味で言ったわけじゃなくてだな」

「えー、違うの?」

「だから……」

 額を抑えながら否定しようとしたのと同時だった。

「みーおーりーちゃーん???」

 これまた聞き覚えのある声と、身に覚えのある殺気が足音を立てて近寄ってくる。あーあ、もう俺は知らないぞこれ。

「と帝!!」

「いってえ?!」

 とか考えてたら脳天に拳が降ってきた。

「なんで俺まで殴られてるんだよ!?」

「だから嫌なら抵抗しなって言ってるじゃん!」

「別にあながち嫌ではな痛い痛い、わかった、抵抗するから!!」

 再びゴッ、と振り下ろされた拳が眉間にダイレクトアタックしたまま追い討ちをかけるかのごとくグリグリと押し付けられる。痛い。超痛い。

「……もう。未緒李ちゃんまで……油断も隙もあったもんじゃない」

 まで、というのは昨日の中村のことを思い出しているんだろう。なんでこう、中村といい織といい俺のことをからかうんだろうか。俺と添い寝すると幸運値が上がる、だとかそんな噂でも流れてるのかもしれない。それ俺運吸い取られてないですかね?

「それより帝くん、体の調子は平気なの?」

「あ?うん、平気。なんも変わりないし……刺青もそのままだ」

 確か俺は最後に織の攻撃で気絶したはず。なのに刺青(ゲームの参加権)がそのままってのはどういうことなんだろうか。

 同じことを考えているのか、いつの間にかベッドから引きずり降ろされた織と舞姫が同じように唸りだす。

 手探りながらも、まず口を開いたのは舞姫だった。

「うーん……最後の攻撃から時間が経てば、気絶しても失格にならないとかあるのかな」

「そうかもしれないな。現に俺は刺青そのままだし……」

 手の甲の刺青に視線をやってから、ぐるりと部屋を見回す。途中、織と目があって可愛らしくこてん、と首を傾げられたがスルーしていこう。

「そういや中村と健人は?」

「……ん?ああ、二人は部活。どんだけ非日常に巻き込まれてると言っても普段通りの日常を送らせてあげないとさ、って」

「ああ、そういうことな……」

 まぁその通りだ。どっかから自分が狙われてる、だなんてのは部活を休んでいい理由にはならないし。俺たちが織を引き込もうとしているときに一度部活に行ってるし、その時に敵がいないかは確かめてあるだろう。アイツらは抜けてるように見えてしっかりしてるやつだ。

「で、織はなんでウチにいるんですか」

「未緒李とは呼んでくれないの?」

「……なんでいるんですか」

 ……二人でいる時の舞姫とは違う意味で調子が狂う。しっかりしないと話のペースを握られそうだ。

 舞姫が睨んでくれたおかげで織は自重してくれたようで、真面目なトーンで話を始める。

「……帝くんがね、踏み込んでみろって言ってくれたからさ。わたしもね、両親に踏み込んで見ようって。思えばわたし、なんで二人が喧嘩してるのかすら知らないんだ。確かに、わたしが踏み込んでないだけだった」

 言いながら、苦笑を浮かべる織。

「……そっか」

 返す言葉も見つからず、やわく微笑んだままこんな返答しかできなかった。

 でも俺の体を張った説得は無駄にならなかったようだしひと安心、といったところだろうか。

「でもひとりじゃ踏み込むのは怖いから……できればその、玄関先でもいいから聞いてて欲しいというかついてきて欲しいというかひとりだと逃げ出しそうというか」

「ああ、うん。わかった。わかったから遠い目でボソボソ喋るのやめてくれ怖い」

 前髪で目が少し隠れてるだけに遠い目で、なおかつ低いトーンで話されるとちょっと怖い。ホントこの子は前髪上げるべきなんじゃなかろうか。

「……ありがと。両親は夜にならなきゃ帰ってこないからさ。適当に話しして時間潰そう?」

 じゃあなんで朝からきたし、なんてツッコミはしませんよ。

お久しぶりです。また投稿を始める、的な意味でもリメイク書く上で準備運動、てきな……。だから短くても許してね、みたいな。織編解決は次です。はい。これ多分次も短いな……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ