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「7年目、6月中旬『確認』の記録」

淡々と。

 ハヤテに正体はカエルだと聞いていた緑スーツの紳士風な男は、地面でぴくぴく痙攣しているが、生きている様子だった。


「なーんだ、もっと派手な能力を期待してたんだけどなあ」


 本人から聞きだした魔法の情報と言い、無駄足だったかもなと感じる。

 振り返ると、突然カエル紳士が落ちた崩れたことに、後輩君と見知らぬ水色女子は動揺してる様子だった。


「ハヤテさーこの人からもっと話聞いてないー?」


 一応、帰る前に聞いてみる。


「え、えっとたしか「属性」「型」「指向」って3つの要素で魔法を定義してて…」

「あ、そうなんだふーん」


 あっさり倒れて期待できないかと思ってたけど、定義とかしっかり定めてるのは、ちゃんとしてるんだな。


「他にはー?」

「あ、地球滅亡についてどう思うとか、組織で研究してるとか…そんな感じです」


 秘密結社的な?新しい情報にちょっと興味がそそられる。


「組織の研究面白そーじゃん、それ教えてよー」


 カエル紳士が勿体ぶっていたであろう情報を聞こうと、脇にしゃがみ顔を覗き込む。


「あなた失礼じゃないですか!」


 突如、水色女子が大きな声を出す。

 さっきから居たなーとは思ったけど、急に何だろうか。


「人に教えを乞うならきちんと敬うべきです!」


 いきなり何を言うかと思ったが、傍から見たら良くは映らない光景かも。


「んーたしかにそうだったかも、ごめんねーカエルさん」


 一呼吸。


「でも、最初から教えてくれたらこうはならなかったんだよ?」


 こんな状況になったのはボクのせいではないが、優しく紳士君に声をかける。


「スカウトを任されてる手前、君みたいな危険分子に機密情報が漏れてしまうのは大きな問題なのでね」


 親切心で忠告してあげたのに、地面にへばりながらなんか言ってるカエル紳士に、ちょっとムカつきお腹あたりに軽くげしげし蹴りを入れる。

 すると、ふと背後から冷風が吹いたのを感じる。

 顔の横を何かが掠め通り過ぎ、夏なのに冷気を帯びた塊が視線の先の木に当たり砕ける。


「謝罪しなさい」


 脇目に振り返ると、水色女子の表情は厳しく吊り上がり、ボクに怒りを向けてる様子。


「さっき謝ったじゃん」


 はぁと軽くため息交じりに、そう返答する。


「今のは謝罪の態度ではありません、心から謝るべきです」


 どうやら面倒なことに、思った以上に正義感の強い子みたいだ。


「ボクだけが悪いわけー?納得できないと謝れないよ」


 謝罪を強要され、カエル紳士の方にも非があるじゃんと思い、渋っていると、


「「氷」を「目の前」に「作り出す」!」


 水色女子の目の前に氷の塊が生成されていき、


「「氷」を「あの男」に向かって「飛ばす」!」


 ぶつぶつと詠唱しながら、ぎこちなくも確実に能力を扱い、氷の塊をこちらに向かって放った。


 不慣れに飛んでくる氷の塊は聞こえる声に合わせてしまえば回避も無意識でも出来てしまう。

やってることもありきたりなファンタジーって感じだった。


「まぁでも、面白くはなってきたかな」


 異能力バトルって感じで楽しくなってきた。

興味の先に何がある。

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