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『終末魔術目録-Stella Apocalypse-』  作者: 天樹 吾芽
序章「入門者」の章
18/30

「7年目、6月中旬『助言』の記録」

事故現場に辿り着いた二人。

 影の落ちた交差点は、自動車の墓場とも呼ぶべきな様相で、しかしながら人々の混乱の声の大きさが墓ここが街中であると思い出させている。

 お二人の勧誘の前までは、事故と魔法に関連性があるかを見定める必要があったが、この現場には単なる車同士の衝突の他に、不可解な爆発痕や、木の上や建物の2階の壁などに飛散した車体など、明らかに不自然な事故が入り混じっていた。


「この大事故が…魔法犯罪の現場…?」


 同行して下さった小織 凛凪くんの声色からは、まさにお化けを見たような信じがたい現実に直面したことが伺えた。


「…流石にもう夢とは思ってませんよね?」

「何から何まで、夢なら良かったのに…」


 この現実を信じたくない気持ちと、現実から目を離してはいけないという生来の責任感の強さの葛藤が見える。


「やはり、本日の多発事故と魔法の関連は確定したと思うべきでしょう」


 組織からの電子の糸による定期連絡に、こちらの目撃情報と追跡の開始を返答する。


「…この事態を引き起こしているのは三人の魔法犯罪者…彼らは最寄りの駅へ向かっており、現場に最も近い構成員はわたくし、と…なるほど」

 

 定期連絡で共有された情報を声に出し、頭に刻み込む。

 わたくしの扱う魔法は対個人を想定したものが多く、戦闘向きでもない。

 この事件を収束させるのに一人ではどう考えても力不足だ。


「小織 凛凪くん、申し訳ないのですが…」

「私、協力します」


 わたくしの後ろめたい謝罪を抑するように、力強さを秘めた言葉が重ねらる。

 こちらの言いたいことを察し、即座に頂きたかった返答を得たために驚きつつ、彼女の組織への適性の高さに改めて狂いはなかったと確信する。


「…感謝します」


 まずは、純粋に彼女に礼を尽くすべきだと、シルクハットを手に持ち直し頭を下げる。

 そして事故の跡を道標に駆け出す。


「小織 凛凪くんの魔法は拘束するのに適していると推察します」


 並んで走りながら彼女の能力を引き出すための提案を唱える。


「先程の魔法の威力も目を見張りますが、「氷」という属性を捕縛に応用する運用もできるはずです、今後の一助にして頂ければ」

「なるほど…」


 小織 凛凪くんはこちらの考案に耳を傾け、自身の魔法の理解を深めようと考えるそぶりを見せる。


 魔法の発現には本人の属性への理解が深く影響する為、彼女が火の魔法を扱うことは可能でも最初に発現させた冷気の魔法を得意分野として伸ばす方が効力が増すだろう。


 初めて発現する魔法は生まれや価値観が反映されやすい傾向があるため、彼女の故郷が雪や氷に包まれた場所なのだろう。

 考えただけで寒さに震えるが、わたくしの得意な魔法に戦闘力をもたらした様な能力に少しばかり羨ましさもある。


「そして、申し訳ないのですがわたくしには戦闘力は皆無です、もし相手が交戦的な場合、君にお任せすることになる可能性が高いです」


 わたくし自身カエルである為、人の身体で動くだけでも御の字であり、相手に武術の心得があれば物理的な戦闘では全く歯が立たないのだ。


 組織から、他の人員を派遣してくれるという連絡もあるが、それがいつになるかは予測できない。

 事故の混乱を収めながらとなると、合流には更に時間を要するだろう。


「護身用に高校まで空手を習ってたので最低限戦えます」


 またも期待していた以上の返答。

 もはや今日の出会いが運命すら感じ、賛辞の言葉が胸に溢れ出る。


「人間の格闘技…どおりでお身体が美しく引き締まって…」


「それ以上言ったら夏に冬眠させますよ!」


 美しくも鋭い剣幕に気圧される。

 組織的には適材だが、わたくしとっての天敵にしない為にも、これ以上は言葉を慎んだ。

なんだかんだ良いコンビ?

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