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「7年目、6月中旬『遊戯』の記録」

鬼ごっこ真最中。

 女性を追いかける競争はスタート地点の交差点から離れ、道路の真ん中をお構いなしに走っている。

 逃げてくお姉さんの方は、向かってくる車を片っ端から事故に巻き込み、ボクらの進路を妨害する。


 時々勢いを残したままボクにぶつかる車は「鏡」の能力で彼女に目掛けて還っていき、お姉さんはそれを減速させたり元の位置に戻したりしながらも走る脚は止めずに駆け抜けていく。


(あのお姉さん、完全に能力を使いこなしてる、ボクよりも深いことを知ってるかも)


 お姉さんの動きにくそうな服装に反して素早い動きにも何かあると思い、彼女に「鏡」を向けるように、身体能力をボク自身に「写し」てみると、予想通り速度上昇の効果のようなものを感じ、いつもよりも素早く動けている。


 そういった追いかける対象の能力の熟練度に胸が躍っていた。


 対して大男くんの方は爆破の能力を使ったり使わなかったりしながら少し離れたところをついて来ている。

 

(逆にこっちの人は、能力時々しか発動してないのは不慣れだからなのかな)


 ボクが先行しているので大体の事故はボクの前で発生しており、彼がその場に追いつく頃には車の残骸はただの障害物でしかない。


(せっかく派手で面白い能力なのにもったいないなー、このままチェイスを継続してもボクが勝っちゃいそうだし…)


 彼が能力を使いこなしたらもっと面白くなりそうなのに、と考えたところでひらめく。


(この状況から彼に勝たせて、ボクが能力の発現の方法を教えちゃえばいいじゃん!)


 さっきのカエル紳士流の「属性」「型」「指向」って能力の構成要素についてもわかりやすく教えてもらったし。


 このままボクが普通に勝っても面白くないし、ゲームは難しい方が面白い。


 女性を追う足を少し減速し、大男くんの隣に並ぶ。


「あのさ!あの女の人思ったより逃げ足早くない?」

「そうだな…見失わないのがやっとだ」


 大男くんは疲れは見せてないものの、少しイライラしている様子。


「だから二人で挟み撃ちしよう!ボクが次の駅の中に誘導するから待ち伏せて捕まえて!」

「…オーケー!わかった!」


 少し何か考えた様子だったが、ボクの提案に乗ってくれた。


「あとヒント!「能力」を「どこ」に「どう」したいか考えてみて」


 キョトンとする大男くんにバチンとウィンクをして、さっき先行していた時よりも追いかける速度を上げ、女性との距離を縮める。


(大男くんのこと気にせず本気出せば、彼女に追いつくくらい出来そうだと思ってたんだよね)


 その時、LINEの通知音が鳴り、走りながら片手間にスマホを確認する。


『先輩、今どこいますか?』


 ハヤテからのLINEだ。


(ちょうどいい)

『駅の方に向かってる所!来るなら待ってるよ>□<』


 後方で爆発音が何度か響く、ちょっと教えたら彼も能力の感覚をつかんだみたい。

 ハヤテがまだ能力使えないなら、ついでに使えるように先輩らしく指導して教えてあげればいいし、楽しみが増えてきた。

より面白く、巻き込んでいく。

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