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第二十五話:中庭の門

 館の中庭に、淡く輝く魔法陣が浮かび上がる。リゼリアが静かに呪文を唱え、手をかざすと、魔力が奔流となって空間を歪ませていった。


「……ふふ、いい感じね」


 彼女は満足げに微笑みながら、徐々に形を成していく門を見つめる。


 セリオは腕を組み、その様子を眺めながら呆れたように言った。


「館に転移門を作るって言うから、てっきり外のどこかに繋げるのかと思っていたが……お前の研究所か」

「ええ、そのほうが便利でしょう? 私がわざわざ魔界のあちこちを歩き回る手間が省けるし、お前も困ったときにすぐ呼べるわ」


 リゼリアは指を鳴らし、魔法陣の光を安定させた。門は黒曜石のような縁取りを持ち、中央にはゆらめく紫色の魔力の膜が広がっている。


「転移門があることで困るのは、俺のほうだな……」


 セリオはため息をつきながら、門を一瞥する。


 これでリゼリアが好きな時に館へやってくることができる。彼女にとっては便利かもしれないが、セリオにとっては休まる時間が減りそうだった。


「まあ、そういうことだから、これからはもっと頻繁にここに来るわね」

「……やっぱりそうなるか」

「そうなるのよ」


 セリオが頭を抱えるのを見て、リゼリアはくすくすと笑った。しかし、その笑みは次第に穏やかなものへと変わっていく。


「ねえ、セリオ……少し真面目な話をしてもいいかしら?」

「……急にどうした?」

「実は……お前に話しておかないといけないことがあるの」


 リゼリアは一歩近づき、真剣な眼差しでセリオを見上げた。その表情には、いつものからかい混じりの雰囲気はない。


「……何の話だ?」

「お前には、息子がいるのよ」


 セリオの思考が一瞬止まる。


「……は?」

「カイ。お前と私の間に生まれた子よ」


 リゼリアの静かな声が、中庭を舞った。


 セリオはただ、その言葉を理解しようとするかのように、じっとリゼリアを見つめていた——。

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