表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/89

第十九話:問題だらけの館

 館の掃除を終えた翌日。セリオとリゼリアは修理に取り掛かるべく、館内を詳しく調査していた。


「……思った以上に酷いな」


 セリオは腕を組み、崩れかけた天井を見上げる。梁は歪み、漆喰は剥がれ、隙間風が入り込んでいる。


「ええ。でも、魔法で補強すればしばらくは持つわね」


 リゼリアは冷静に判断し、杖を軽く振った。すると、亀裂が走っていた天井の一部が黒い魔力に包まれ、補強されていく。


「魔族の館らしい修復方法だな」

「当然でしょう? ただし、これはあくまで応急処置よ。根本的に直すには資材が必要ね」

「資材ね……」


 セリオはしばらく考え込む。館の外には廃材が山積みになっているが、それを再利用できるかどうかは微妙なところだ。


「それと、もう一つ問題があるわ」


 リゼリアが指差した先には、床にぽっかりと開いた大きな穴があった。どうやら地下室へと繋がる穴らしいが、その奥は闇に包まれ、底が見えない。


「……何かいるな」


 セリオは手元の剣に手を添えながら、穴の縁に近づいた。すると、ぼんやりとした気配が下から漂ってくる。


「ええ、この館には元々住人がいたのだから、そういうものがいても不思議じゃないわね」


 リゼリアは飄々とした様子で呟き、杖を軽く振ると、闇の中に魔法の光を投げ込んだ。


 ──その瞬間。


「グォォォ……!」


 低いうなり声と共に、穴の奥から何かが蠢き出した。


「……やっぱりか」


 セリオはため息をつき、剣を抜いた。


「お前、この館を俺に勧める前に、そういうのをどうにかしておくべきだったんじゃないのか?」

「だって、お前なら簡単に片付けられるでしょう?」


 リゼリアは微笑みながら、まるで当然のように言う。


「……はぁ。まあ、いい」


 セリオは構えを取り、穴の奥から這い出てきた影に向かって一歩踏み出した。


「まずはこの問題から片付けるとしようか」


 こうして、リフォーム作業の前に、館に巣食う存在との戦いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ