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便箋小町  作者: 藤光一
第一章 始動編

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5敏腕社長におまかせを


〈垂くん、聞こえるかね?〉


「・・・え⁉︎社長?」


 それは驚く事に社長の声だった。ここに居ない筈の声がメルから聞こえてくる。いや、正確には少し違う。メルの口から発していると云うよりは、あいつの逆立った髪から聞こえるような。電波をキャッチするようなアンテナとなり、そのままスピーカーとなって社長の声が聞こえた。聞き間違えるはずが無い、この自信に満ち溢れた声を、どこか古風に聞こえるこの口調は紛れも無い飛川コマチだ。失ったノイズの代わりに鮮明になっていく彼女の声は、こちらの声も聞こえているのか。僕の反応を伺ったのを確認すると、そのまま会話を続けた。


〈これはメルの能力だ。奴は言霊だからな。こんな芸当も出来るのだよ。〉


 あ、こいつ言霊だったのか。確か、言葉を操る存在だった気がするな。そうすると、あの時のファストフードで行った脳内に直接語りかけていたのは、あの毛むくじゃらの能力。所謂、テレパシーみたいなのを使って会話を成立させていたのは、そういう理屈という訳か。淡く発光するメルは、ぴょんっとジャンプをしながら空に向かって目線を送る。


「マチコ、遅ぇぞ!」


〈垂くん、良くぞ頑張ったな。おやおや、随分とまぁ・・・。もう虫の息ではないか。〉


「か、勝手に殺さないでください!まだ僕、生きてますよ‼︎・・・と、いうか見えてるんですか⁉︎」


 相変わらずというか何というか自分の部下がピンチだと云うのに、社長は驚くほど冷静だった。それに彼女には、まるでこの今の現状や光景が見えているかのように分析した云い方だ。


「あぁ、安心したまえ、見えてるとも。」


 だったら尚更、何でそんなに冷静なんだよ。彼女の口調は、その言葉だけでも焦った様子は全く無い。むしろそんな事は想定内のシナリオだとわかっていたような口振りだった。


「あぁ?キツネ野郎か?良いご身分だなぁ!テメェは、遠くで指示するだけとはよぉ‼︎」


 トリビュートがその声の主に気付き、僕らの会話に割って入って挑発してきた。社長の声の発信源でもあるメルに対し、爪を立てた指で指していた。それでもこの悪魔は余裕の表情だった。そう、不利である事に変わりは無いのだ。社長は近くに居ない、恐らくまだ会社の中か、またはどこかまだ遠くか。今から向かってきても僕らを助ける事は疎か、着いた頃には奴は姿をまた暗ますだろう。この悪魔はコマチがこの近くに居ないと確信しているからこそ、この自信なのだ。彼女の加勢が来る前に、僕らは殺す時間は充分にあるからだ。


「そうだな、トリビュートよ。すぐ後ろに居る事も気付かない、貴様も良いご身分ではないか。」


 「⁉︎」


 はっ、とトリビュートが慌てて振り向いた先。その声はメルからでは無かった。百八十度変わった悪魔の背後から、その声の主は堂々と現れる。刹那、一瞬。その事実は瞬きを許さない。腕を組みながら仁王立ちをし、肩に掛けたスーツジャケットを靡かせた女性が一人。奴も突然の事に驚きを隠せていない。しかしそれは、ただの驚きではないように見えた。殺気立った視線、自分に危機迫るという悪寒。反射的に肩を震わせながら振り向いていた。火花を散らし僅かに電流を纏いながら、ナイフを突きつけるように悪魔を睨みつける社長がそこに居たのだ。


「これも奴とリンクする事で為せる芸当なのだよ。垂くん。」


 僕もトリビュートには、目を離さないようにしていた。捕まってしまって何だが、目を離してはいけない。無意識に起こる瞬き以外は逸らしていなかった。その刹那すらの合間を与えていない。彼女は一瞬と云う言葉ですら足りないスピードで、奴の後ろに張り付いた。当然、背後を取られていたトリビュートも声を掛けられるまで気付いていなかった。一体いつ、どのタイミングで・・・。この芸当もメルの力、だと?社長が云っていた“いざという時”って、こっちの事だったのか・・・。


「この・・・、俺の後ろに立ってんじゃ・・・ッ⁉︎」


 突然現れた挙句、全くと云って良い程相手にされていなかったトリビュートは憤怒していた。怒り任せに振り上げた一本の腕が、社長の顔面目掛けて襲い掛かる。


 ートンッ。


 怒りを振るった悪魔の拳は、当たる直前で社長に片手でいなされた。その動きは、まさに必要最低限。右上半身を軽く前に倒し、相手の攻撃を右手で受け流す。ほんの小さな踏み込みで、そして悪魔の攻撃に対してあまりにも静かで小さな力加減。攻撃を弾くとはまた違う。それに気付いた悪魔はその異様な受け流しに驚いていた。その理由には、二つあるだろう。一つは、あの細い女性の腕で最も簡単に受け流されてしまった事。二つ目は、奴の運を操る能力が発動していた筈・・・、だった事だ。あの悪魔もその違和感に動揺している。トリビュート曰く、クリティカルを操作出来る能力だ。と云う事は、一度でも当たれば致命傷に匹敵する。それが発動していない。ダメージの一つ付く事無く、受け流されてしまった。


「ば、バカな・・・。そ、そんな筈はねぇ‼︎」


 再びトリビュートはミシミシと拳を軋ませ、振り上げる。右、左、上、そしてアッパーと連続で社長へと殴打の連撃を浴びせた。けれど、彼女はそんな拳の嵐にも動じる事無く、肩幅分の足を開く。腕は楽に、常に振るうように太もも付近へと添えていた。一打目の攻撃。さっきと同じ動作で上半身を重心に赴くままへと倒し、悪魔の攻撃を手で止める事も無く寸前で交わした。二打目の左フックは、ワンテンポ早く身体沈ませ左手で悪魔の腕を持ち上げるように添えながらいなす。上から振りかざしたチョップも、アッパーも端から見ればシンプルでごく短い動作だ。決して真似が出来ない動作と云う訳では無い。一般人の僕でも、目で追える。トリビュートから溢れる違和感が滲み出ており、それはもう焦りの一つとして表情へと現れ始めていた。運を操作した一撃必殺。その筈なのに、致命傷も無い。傷の一つも、まだ攻撃すら当たっていない。


「くそッ‼︎なぜだ、なぜクリティカルに入らねぇ⁉︎俺は運が良いんだ!それなのに・・・ッ!なぜ、俺の攻撃を躱せるんだッ‼︎」


 攻撃を止めたトリビュートは鼻息を立てながら、憤慨する。変わって社長の息使いは安定しており、肩の埃を数回叩きながら余裕を見せつけていた。ちなみに忘れていそうだから云うけど、未だ僕はこの悪魔に捕まったままだ。トリビュートが怒りに任せて力む度に、無茶苦茶痛いのは云うまでもない。もしかして社長、僕を助ける為にわざと攻撃をしてないんだろうか・・・。

 

「さて・・・。何故だろうな?」


 トリビュートの顔を見上げて、再び睨みつける。いや、小馬鹿にするように惚けた顔で嘲笑っているようにも見える。


「レディの御前だぞ?エレガントではないな。」


 そう云うと右手の白い手袋を脱ぎ出す。中から覗かせたのは、人間の手とは思えない獣のように手首まで伸びた金色の毛に覆われた手が姿を現す。手の先には鋭利にギラつかせた爪も露わとなり、その異形さは澄ました彼女の顔とは反比例する。そんな獣のような右手で人差し指と中指を立たせ、悪魔へと向ける。


「ふざけやがって・・・!俺をコケにしやがってッ‼︎テメェ、俺に何しやがった‼︎」


 何かをされたと云う事はこの悪魔も気付いていたようだ。明らかな違和感。それには気付いていた。けれど彼女が何をしたのかまでは理解はしていない。社長は、内ポケットから右手を忍ばせ一枚の札のようなものを取り出す。


封魔呪(ふうまじゅ)・・・。対“ギフト”用の能力を無効化させる札だ。元々は妖怪に合わせて作った代物だが、悪魔にも張り付いたのは運が良かったよ。私の近くにいる限り、無効化は続く。剥がしたければ、私を倒す事だな。もっとも・・・、その運を操るとやらの能力に頼りきっていた貴様では無理だろうがな!」


 まるで答え合わせでもするかのように、社長は悪魔にかけたトリックを証明した。そうか・・・。だから、トリビュートの攻撃が掠りもしなかったのか。でも、一体いつ?一体どのタイミングで彼女は、あの悪魔に貼り付けたのだろう。


「ぐ・・・、あの時か!俺の拳を受けた時に・・・ッ!」


 トリビュートは、最初に攻撃をした腕を見つめる。丁度手首の部分には、社長が見せた封魔呪と呼ばれた札がしっかりと貼り付いていた。その札はどれだけ暴れても、爪を立てて掻き毟っても剥がれる事は無い。ピッタリと強力な接着剤でも塗布されたように張り付き、決して悪魔から離れようとはしなかった。


「さて、だ。悪魔よ。とりあえず、大事な社員を放してもらおうか。」


 三つ数える間際に事は進む。彼女の瞳に鋭さが増す。ぐっと眉を尖らせ、穏やかだった風が吹き飛ばすように強風へと変貌していた。


「・・・開ッ!」


 社長の足元の周りには、青白い魔法陣のような円が展開された。鋭く尖ったその目つきからも青白い炎を纏うように閃光が走る。同時にトリビュートの足元にも同じような魔法陣が展開され、ぐるっと覆うように悪魔を取り囲んだ。


「・・・戒ッ!」


 立たせた人差し指と中指は構えたままで、今度は自身の眉間へと持ってくる。呪文のようなモノを唱えた矢先、魔法陣から無数の青白い鎖が展開された。それはまさに一瞬であり、ジャラリと金属が擦れる音が聞こえた頃には悪魔の判断は既に遅かった。トリビュートは抵抗する暇も無く、全身を乱雑に縛り付けるようにして悪魔の動きを制御した。縛りつけた鎖のお陰でトリビュートの腕から解放され、僕はその魔法陣から距離を取った。


「ぐぬぉ!?な、んだこれは・・・!」


 過剰に縛り付ける青白い鎖は、悪魔の手足を、翼を、嘴をも雁字搦(がんじがら)めに封じていた。しかし先程から可笑しい。違和感が鼻を通らせる。奴は、運を操る悪魔だ、・・・だった筈だ。なのにあいつの攻撃は、社長には当たっていない。それどころか、今や鎖に縛られている。僕と対峙した時とは、まるで真逆の状況だ。


「うちの社員が世話になったようじゃないか、トリビュートよ。」


「ほ、解け!このキツネ野郎!」


 トリビュートの罵倒が彼女の耳に入った瞬間、ピキっと堪忍袋の緒が切れた音がした。云うまでもなく、彼女の眉間は仁王のように逆立つ。


「レディに対して、“野郎”は不適切であろう!」


 今度は左手の手袋も取り出す。先程のスマートさは無く、怒りに身を任せるように力一杯に手袋を外した。やはり左手も右手と同様に獣のそれだった。今更ではあるが、半妖というのは本当だったようだ。半妖・・・。そう云えば、トリビュートはさっき社長の事をキツネと呼んでいたな。彼女は、狐と関係のある妖怪なのだろうか。だとしたら何となくではあるが、それなりに地位が高いのも頷ける。全ての白い手袋を脱ぎ捨てた社長は、異様な覇気を漂わせていた。彼女の背中に何か居るような、見えない何かが威圧を放っているような感覚。それは、目には映らないが不思議と自分の背筋に悪寒を走らせる。これ以上ここに居てはいけない、彼女の前に立ってはいけないと本能がそう告げているようだった。


ーパンッ。


 社長は、勢いよく互いの手を合掌させた。刻を静止させるかのような残響が波紋となって広がる。音はゆっくりと広がり、増幅していく。張り詰めた糸は、ピンと弦のように短く弾けていく。無窮か刹那か、そう表現されるのは対峙した本人達にしかわからない。その(はざま)の分岐点は、彼女のほんの一小節の中に過ぎない一拍の音。すぅーっと息を吸い込んだ彼女は、その静寂を自ら断ち切る・・・。



「・・・壊ッ!」


 先程、広がっていた魔法陣を更に大きく覆うように別の魔法陣が展開された。青白かったその光も魔法陣が重なると、グラデーションを持たせるように黄色く輝き出す。そして、再び突風が吹き荒れる。


ードン・・・ッ。


 高圧力な負荷が掛かった音を響かせた。何かを企んでいるかのように彼女の口元は、ニッと口角を上げていた。


「ぐ・・ぬぅおおお!?」


 トリビュートが突如苦しみ出す。社長が繰り出した何かが、悪魔に攻撃をしているのか。強力な磁場で何十倍かの重力がトリビュートに降り掛かっているようだった。羽虫を巨大な手で押さえ込み封じる。そう見えてしまう程に、苦しみながら悪魔は地面に這い蹲っていた。構えていた二本の指を下へと投げ捨てるように下ろし、彼女は口を開く。


「跪きたまえ、三流風情が!」


 ジリジリと魔法陣を中心に大地を軋ませる。彼女が一体何をやっているのかは、まるで見当も付かない。けれど、これだけはわかる。圧倒的に、社長はこの戦況を制圧している。それは余りにも極端で、一方的過ぎる程に。


「・・・ッ!?」


 トリビュートが何かに気付いたように戦慄を走らせる。自分が何をかけられたのか、自分の腕を、翼を、これをかけた張本人を大きく瞳を見開いて何かを確信する。そんな筈は無い、そんな事があってたまるか。嘴は震え、その信じ難い光景に疑心していたようだった。けれど、その事実は悪魔の疑心を無条理に覆す。そんな悪魔を彼女は鼻で嘲笑いながら、応えた。


「気付いたか“ギフト“よ。今、壊死し始めているのは貴様の力の源、魔素だよ。」


「ぐぐ・・ぬ、ち、力が、は、入ら、ねぇ・・・。」


 必死に踠きながら鎖を振り解こうとするが、思った以上に力が入らないのか悪魔は抜け出せない。無情にも鎖の擦れる音がジャラリと奏でるだけで、ただただ無数にある腕達を震わせているだけだった。そんな悪魔を腕を組みながら、社長は慈悲無く見つめていた。


「どうした?運が使えなければ、自慢のその腕はどうしたのだ?文字通り、手が出せまい。自慢の翼で羽搏いて見せたまえ!まだ、貴様に魔素が残っているのならばな。」


 先程まで僕が戦っていた悪魔と本当に同一なのか。社長を前に手も足も出やしないじゃないか。あれだけ威勢よく暴れ回っていたのに、今となっては蜘蛛の巣に絡まった蛾に過ぎない。それに恐らくではあるが、彼女は全力を出し切っているようには素人目でも見えない。彼女は充分に余力を残し、まだ体力的にも精神的にも余裕のある表情だった。腕を組みながら、右手の尖った人差し指で数回軽く叩きながら悪魔の様子を眺めていた。


「マチコォ!勿体振らずにやっちまえよ!」


 ぴょこんと僕の肩へとジャンプしてきたメルが叫ぶ。相槌を打ちように社長は頷き、静かに構え始める。それは歴戦の空手家のように古武術といえば良いのか、ゆっくりと体勢を変えた。肩幅程に足を開き、肩の力は抜ききり、膝を軽く曲げ重心を下げるような構え。一見それは、構えと云うよりはノーガードに等しくも見えてしまう。けれども全くの隙が無い。どこに拳を向けても簡単にいなされカウンターを受けてしまいそうだ。今の彼女は、銃弾を持ってしても避け切る事が出来るのだろう。それ程に、洗練された構えだ。


「・・・乖ッ!」


 ドンっ!と重低音と共に現れたのは、雄々しくも巨大な腕。魔法陣から生えるように二本の岩のような剛腕が握り拳を振り下ろしていた。それは仁王像のように逞しく、凄みがあった。すーっと一呼吸を入れ、再び刻が凝縮する感覚に陥る。下半身は正姿勢のまま、社長が渾身の正拳突きを振りかざす。とはいえ社長の拳は、トリビュートへは射程範囲外だ・・・が。


ードゴォンッ


 社長の正拳突きとリンクするように、その剛腕はトリビュートの顔面へとクリーンヒットした。悪魔の顔面を抉るように拳をめり込ませ、ゆっくりと衝撃と鈍い音を与える。堪らずトリビュートの顔は慣性のまま蹌踉(よろ)け始める。


「が・・・、ハぁッ⁉︎」


 大量のヨダレを吐き散らかし、真紅の眼は痙攣を起こしている。何が起きたのか奴にはまだ理解出来ない程なのだろう。思っていたリーチよりも離れたところからの攻撃。その衝撃、意外性、そして感じずにはいられないプレッシャー。全てを理解する間も無く、たった一度の打撃で全てをぶつけた。僕はそんな光景をただ見ている事しか出来なかった。唖然としてしまい、その衝動に圧倒されるだけだった。


「す、凄い・・・!でも、あの独特な動きは一体・・・。」


 そう、彼女の動きは独特だ。普通の格闘技やボクシングなんかの動きではない。戦闘や格闘に対する知識が無い僕でも一目瞭然だ。不思議に思った僕に対し、肩に乗っていたメルは声をかけた。


「おい、新人。ナンバ走りって知ってるか?」


 と、突然このモジャモジャは云い出した。“ナンバ走り”とは言葉だけなら聞いたことがあるような気がする。それが彼女の動きとどんな関係があるのか、なぜこのタイミングでそんな話をするのだろうか。


「なんか聞いた事あるな・・・。確か、右足と右腕を同時に出す歩き方だっけか。」


「そいつは、少し語弊があるな。右足を踏み込んで蹴り上げた時に、右側の上体を出すんだ。そうする事で最大限の負荷を抑える事が出来る。これがマチコの戦闘スタイルだ。同時に無駄な抵抗を無くして、次の動作への力を出しやすく出来るのが本質だ。」



 ーナンバ走りー

 江戸時代、日本の飛脚が用いた歩行術の一つとされている。例えば、右足で地面を蹴る時には腰から肩までの上体に対し右半身を前に倒す。右足を前に運ぶ時には、右半身を後ろにそらす動きが基本動作となる。同じ片方の手足を前に出すと云う語弊と併せ、腕を振らない走りと云われるがこれも誤解とされている。正確には腕の振りよりも上半身、特に腹部から両肩にかけてを足の動きに合わせて前後する。つまり、上半身は左右半分に分割され、それぞれが独立に揺り動かす事で連動と協調させる歩行術とされる。これにより、飛脚は一日に数十キロから百キロ以上走れたと云う、今では失伝されたものである。メルに云われて後で調べてみたら、そうネットで記載されていたので所謂、諸説ありと記しておく。



「だから、あの構えなのか。」


 それ故に無駄が無く、隙の無い構え。だからあの時も。トリビュートが繰り出した攻撃も全て最小限の動きでいなし、回避する事が出来たのか。社長が使っている能力以前に、基礎の型が出来ているからこそ成せる(わざ)なのだろう。


「マチコが使う古武術も侍の戦い方もルーツは、ナンバ走りからきている。現在の一部の軍隊も採用しているゼロレンジコンバットにも精通する動作だ。だからあいつは、最小限の力で効率良く身体を動かせるんだ。」


「ゼロ、レン・・・?なんだって?」


「知らなきゃ、自分で調べろ。」


 こ、こいつ・・・。知らないとは云え腹が立つ。逆になんでお前は知ってるんだよ、そのゼロレンジなんとかってやつ。メルは僕の顔を見て呆れた眼差しだったが、こちらもこちらとて、どうにも煮え切らない表情で返していた。


「さて・・・、もう少し、強く行くぞ?」


 彼女は拳を先程よりも強く握り締め、ミシミシと握力を軋ませる。当然、蹌踉めいた悪魔を見逃す訳が無い社長は、慈悲無き追撃をかます。そしてまた一打、間髪入れずにもう一打。次も打、打、打、打、打打打打打打・・・・・・。岩のような剛腕が機械のように連続で、悪魔へと拳の雨が降り注ぐ。ボクサー顔負けの激しいラッシュ。いや、それ以上かも知れない。マシンガンでもガトリングでもその威力には及ばない。少し強く、どころじゃ無いのだ。間髪入れずに戦車主砲を連発して撃ってる程だ。途中から何発叩き込んでいるのかわからない程の速度。しかし、一発一発に衝撃音が響き渡り、衝撃の波は暴れる風のように弾いている。その一手だけでも相当のダメージが入っているのだろう。明らかなオーバーキル状態だ。


「ま、ば、・・バハぁー、ブヘェエ。」


 社長の剛腕ラッシュが止まった頃には、トリビュートの顔はボコボコにひしゃげて変形していた。もはやその姿は満身創痍であり、言葉一つ発生出来ない程にボロボロだった。一連の光景を見ていた僕は、気付けば口をぽっかり開けてその場で立ち尽くしていた。ふーーーっ、と一呼吸を入れ、社長は静止する。



「・・・解ッ!」


 呪文を唱えると今度は赤い閃光が輝き出す。その魔法陣は、先程までのと比べるとより高濃度で高威圧。巨大な斧を振り翳しているような、確実に殺しにかかってきている巨人を見ているようだ。もう目の前に対峙する悪魔には、彼女を目視するための焦点が合っていない。剛腕ラッシュにより、どっちが左右で上か下なのか。平衡感覚を失い、気力までもすっかり失っている。


「トリビュートよ、せっかくだ。西洋に倣った鎮魂をしてあげようではないか。」


 人差し指と親指を摘むように模り、自分に向け十字を切る。ほぼ気絶に近い状態の悪魔に対し、最後の慈悲なのか。彼女は、西洋でよく見る祈りを捧げる動作。片手にはまるで聖書でも開いた状態で持ち、静かに瞳を閉じる。


「・・・アーメン。」


 ードォォォオオオオオオオンッ


 強烈な爆発音と共に、真っ赤に染まった光の柱が天空へと勢い良く駆け上がる。邪気が天へと召され、浄化されていくように。光の柱はやがて粉状になり、舞雪のように散っていく。


「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!」


 そんな衝撃と少し遅れて、トリビュートの張り付くような断末魔が響き渡る。光の柱が消え去る頃には、魔素と呼ばれるものをカラッカラに吸い上げられたようだった。隆々とした筋肉は萎みボコボコに顔をひしゃげた“ギフト”が倒れていた。もはや声をかけても、朽ちた身体からは返事が返って来る事はないだろう。社長は、先程まで展開していた魔法陣や剛腕を解除していた。脱ぎ捨てていた筈の白い手袋を再び身に付けながら、彼女は呟く。


「ふむ・・・。悪魔払いは、本来専門外なのだがな。」


 ボロボロになった悪魔の角を片手で握り込む。恐らく、そんなに力は入れていないのだろう。軽い力で角はバラバラに砕け散り、角として成形していたモノは砂のように消え去る。冷たい視線を送った矢先、ふと気が付いたように目を大きく丸める。


「おーっと!そうだった!」


 と、内ポケットから四つ折りにされた紙を取り出す。折られた紙を広げ、今度は腰ベルトに収納していた小さなナイフを取り出す。クルクルとナイフを器用に五本の指で回転させながら悪魔の手に近付く。一本、悪魔の指をそのナイフで切ると傷口からドロっとした体液を一滴滲ませ、用意した紙に押し付ける。


「良し、これでクーリングオフ完了だな。あとは・・・。」


 また内ポケットからもう一枚紙を取り出す。今度は少し古めかしい茶色く濁ったような紙だった。さっきから何やってるんだろう、あの人は。と、云うかあの紙・・・。どこかで見た事あるような。えっと、なんだっけ。何かモヤが脳裏にかかっているようでうまく思い出せないな。彼女はトリビュートの指を押し当て、先程よりもグリグリと念入りにその古めかしい紙に当てる。


「な、何やってるんですか、社長?」


 僕の声には、耳だけを傾け作業は静止しなかった。イソイソと何かをしている社長は、とても悪魔を倒したと思えない程その殺伐さが隠れていた。どちらかと云うと、何かを企んでいるコソ泥みたいな仕草だ。その様子を見ていたところに、どこからともなく物陰に隠れていた桐谷も近づいてきた。「あれは何をしているんですか。」と云いたげな顔をしていたが、静かに僕は彼の思いを抑止させた。それでも彼女は動じる事無く、とても澄んだ顔で作業をしながらこう話した。


「ちょっとした儀式さ。」


 やっぱりこの人は、何を考えているのかさっぱりわからない。考えれば考える程にドツボへとハマり抜けられない。一通り作業を終えたのか、何食わぬ顔で社長は立ち上がりこちらを見つめる。数回ジャケットに付着した汚れや埃を祓い、ピシリとシワを整えていた。


「さて、諸君。事務所に帰るぞ。」


「・・・え?直帰じゃないんですか!」


 いやいやいや、ご冗談をお代官様。あなたは今、何を仰られたのかご理解されてますか。もうすっかり陽も落ちて、定時は過ぎてますぞ社長殿。今から直帰、ではなく事務所へですか。まさかここから残業ですか?そんな事、労基が黙って見てませんぞ!とか何とか脳内で僕の分身達がどこかの野党のように騒ぎ散らかしているが、当然彼女の耳には届いていない。むしろ、「何を云うか、馬鹿者め。」とでも云うように(あまつさ)え軽蔑の眼差しを返す始末だ。人差し指を僕に突き出し、槍でも投げるかのように旋律を走らせる。


「馬鹿者!後処理は山積みだぞ?報告書に反省文、レポートにあと反省文だ。」


 反省文、今二回云わなかったか?今回の件、僕が反省しなきゃいけないのか。反省文って何だっけ。母さん、僕は頭が痛いよ。そうか、これがストレスか。そうなんだね、きっと。桐谷はそんな僕が受けた仕打ちに不便と感じたのか、そっと僕の肩に手を添えた。益々、自分が哀れに感じた瞬間だった。彼女は、同情している桐谷に対して何かに気付き、掌を打つ。ポケットに収まる程の小さなメモ帳を取り出し、セピア色の罫線の無い紙を桐谷へと差し伸べる。


「あー、それと桐谷殿。こちらにサインを。」


「あ、はい!」


 どうやら依頼完了のサインを促していたようだ。これにて依頼は解決、そんなところだろう。桐谷は、何の迷いも無くサラリとボールペンを走らせた。自分のサインを終え、社長へと再びメモ帳を返す。


「うむ、結構。明日(みょうにち)、こちらから報酬の三百万を回収しに参るのでご準備を。」


 桐谷のサインを確認すると、メモ帳はパタリと閉じ内ポケットへと仕舞い込む。しっかりと報酬を貰う為に、受け取りの段取りを決めていた。まぁ、流れ的に受け取りに行くのは僕なんだろうけど。そこで一つ、ツッコミたくなる気持ちはわかる。即金なら電子決済を活用すれば、楽なのではないか・・・と。思い返してみてくれ。彼女にそんなハイカラな新技術は、出来ないのだ。スマホは疎かパソコンだってままならないんだ。俗に云う「何もしていないのに壊れました。」と平然とした顔でいうタイプなのだ。なので、ウチはやむを得ず現金受け取りが仕様なのである。


「わ、わかりました・・・。あ、ありがとうございます。」


「知らぬ者に耳を傾けるべきでは無い。今回は身を持って味わっただろうがな。」


 彼女は、桐谷へ忠告した。悪魔に関わるとどうなるのか、何気ない一つ返事で自分がどうなってしまうのかを。これは別に、悪魔に限った話では無い。イエスマンであればある程、その饒舌に引っかかりやすい。優しさという曖昧さが、綻びという隙が生まれてしまう。生きとし生ける中で悪魔に最も近いのは人間だ。人の形をした悪魔は自分の利益の為に、綻びから生まれた甘い汁を啜る。要は、自分の意見ははっきりと云う事。それは今の僕にも云える事だ。だから、直帰させてくれ。


「き、気を付けます・・・。」


 桐谷は、深々と頭を下げお辞儀をした。何度も頭を掻き、ペコペコと頭を数回下げながら公園を去っていく。桐谷は今、どんな気持ちなんだろうか。今回は社長のおかげで、三百万という額で命は助かった。自分の命に比べれば、彼女の言葉を借りれば遥かに安い金額だ。天秤にかけても明白である。けれど、その対価は少額といえど多額。一般家庭の者がポンと手軽に出せる金額では無い。家族が居る彼は、どうやって準備をするのだろう。だが、それは別の話。便箋小町は、依頼内容以外に介入する事は無い。割り切る事が大事なのだ。だからこれ以上、去っていく彼の背中を見つめる必要も無い。彼とは明日、報酬を受け取れば蚊帳の外。便箋小町の存在が記憶から無くなる。今日の出来事は覚えてはいるが、場所はすっぽりと分からなくなる。それが便箋小町だ。桐谷が去っていく姿を見ている間、社長とメルは何かを呟くように会話をしている。


「ところで、メル。例の件はどうなった?」


「そうだな、まだ豆を挽いたばかりだ。」


 途中途中、会話が途切れており聞こえにくかったがボソボソと二人は何かを話していた。豆を挽いたばかり・・・?何か新しい珈琲豆でも仕入れたのだろうか。あぁ、そうだ。事務所に戻ったら、あいつにコーヒーを入れて貰おう。どれだけ美味いのか、確かめてやる。覚えておけよ、メル。そんな舌が肥えてる訳では無いが、がっちり品定めしてやる。彼女はメルの消した言葉に対して、ふむ・・・、と前置きをした後に言葉を返す。


「そうか・・・、まだ重畳(ちょうじょう)であろうな。」


 彼女達の会話はそれっきりで、無言で事務所へと向かう為に歩き出した。こうして僕の初依頼は、幕を下ろした。服は汚れ、身体は擦り傷と切り傷だらけ。これは新しいスーツを拵えなければならないな。参ったな、給料までまだ先だというのに。明日の報酬、少しくらい僕に分けてくれないかな。なんて期待を溢しながら、僕は空を見上げた。すっかり夜へと染まった公園を後にし、渋々僕は事務所へと向かった。






次の日。


 個人的には生死を境にした出来事が繰り広げられた訳だが、今日の朝は変わる事なくいつも通りの出社。梅雨時のジメジメとした湿気混じりな晴天を向かいながら、事務所へと向かうのである。結局あの後、本当に途方もない後処理の書類作りで追われる一日だった。帰れたのが終電で「帰られるだけマシと思いたまえ。」とブラック企業の常套句をお見舞いされる。とても賛美的で和やかに社長は発してくれたが当の僕は、正に二度目の生き地獄を味合うのだった。


 そんな中、真面目に性懲りも無く今日もこの事務所の前の扉を開けようとする僕が居る。僕も案外社畜と化しているのだろうか。あれ?しかし、そういえば待てよ・・・。昨日までひしゃげた扉がここにあって、閉まるのも儘ならない様子だった筈がピシリと綺麗に閉まっている。まるで昨日の事は無かったかのように、平然と事務所の扉は綺麗に収まっていた。まぁ、いいか。昨日の疲れだ。気のせいなのだろう。そう思い込み、考えるのをやめた。


 ガチャリと扉を開けると、事務所のテーブルで座る見知らぬ者と目が合った。椅子に胡座をかいて座り、スプーンを左手で握り込みながらオートミールを頬張る幼女の姿が視界に映り込む。黒く染まった髪は少しボサついており、ところどころ外へ跳ねた癖毛をしていた。右眼は黒い眼帯をしており、左眼は真紅のガーネットのように赤かった。ヨレヨレの白いTシャツとショートパンツを着た幼女は、こちらに気付いたようで目線がピッタリと合う。見知らぬ幼女は、少しムッとしたような表情でこちらを見ていた。


「社長、今度は迷子ですか?」


「違うわっ!こぞう、この!」


 ダンっとテーブルを両手で叩き威嚇する。どっちが小僧なんだか。なんだ?どっかで見た事あるような。その幼女に指を挿し、奥にいるであろう社長に声をかけた。指を差された幼女は、終始イライラを隠せていない。


「あぁ、おはよう垂くん。」

 

 カツカツとこちらへ近付いてきたのは、事務所の奥から顔を覗かせたこの女社長。腕を組み、笑顔でこちらを見ながら、ゆっくりと近付く。何となくこの悪寒が正しければ、この時の笑顔程、次の発言が怖いのだ。僕はそれを知っている。そして、その後の事は大抵ロクなもんじゃない。


「ここで会ったが何とやら、こぞう。忘れたとは云わせんぞ?俺の名は、トリビュ・・・。」


「紹介しよう、チップくんだ。」


 幼女の発言を静止するように割り込み、社長が告げた。当の本人はやけに怒っているようだが、何故か彼女の一言でグッと言葉を紡いでしまい抵抗出来ないでいた。スプーンを指揮棒のように振りながら、怒りに任せて講義を続ける。


「この、誰がチップだ!みとめねーぞ!おれはトリビュ・・・。」


「今日から新入社員で雇う事にしたチップくんだ。諸君、仲良くしてくれたまえ。」


 再び、幼女の発言を無理矢理抑え込む。この幼女も何かに制圧されているのか。社長が喋り出すと、ぐぬぬと悔し涙を浮かべながら動けないようだった。そんな悔しそうで実に不憫な幼女を見て、ふと思い出す。姿、形、声そのどれもが違うがあるモノとリンクする。


「ひょっとしてですけど・・・。これ、昨日の悪魔ですか?」


 容姿はがらりと変わってはいるが、この物云いといい面影もどこか昨日対峙した悪魔と似ていた。特にこのぶっきらぼうな感じといい、実はこいつ馬鹿なんじゃないかと匂わせる。


「こぞう、お前ぇ!おれを物呼ばわりするんじゃねー!あと、指をさすんじゃねー!」


 再びその幼女は涙目でテーブルを叩きつけ、こちらにも指を指す。お前も指を差してるじゃないか。やっぱ、こいつ頭はあんまり良くないんだな。まぁ、それもそうか・・・、悪魔だし。


「察しが良くて助かるよ、垂くん。君の憶測通り、昨日の“ギフト”だ。」


「なぜ、トリビュ・・・チップをこちらへ?」


 このトリビュートもといチップらしいこの幼女は、紹介を預かるや否や表情は相変わらずご機嫌斜めの様子。しかしながら、素朴な疑問だった。桐谷に取り憑き命を刈り取ろうとしたのもそうだ。社長自らボコボコに制裁したにも関わらず、何故ここへ置いたのか。そういえば、昨日あの公園にて。文字通りグシャグシャにしたトリビュートに何かをしていたな。そうだ、古そうな紙にあいつの指を押し当ててた。社長は、ふむと一呼吸を置き薄紅色の唇を開く。


「昨日も話したが私は悪魔に関しては専門外でね。だからこそ、こいつを利用して手を拡げようと考えた訳だよ。もはや、こいつに魔素のカケラも無いがね。まぁ、情報収集程度には役立てるだろうさ。」


 そこはかとなく理屈は通っていた。確かにオカルトを専門に取り扱う我が社として、悪魔の知識や人員が不足しているのは問題だ。この幼女がどこまで役立てられるか、というかそもそも律儀に協力してくれるかも不明だ。なんせフルボッコにした張本人が目の前にいるのだ。目の仇にされても可笑しく無い。


「おい、キツネ!俺は手を組むなんて云ってねーぞ!」


 ほーら、云わんこっちゃない。協力する気がさらさら無いじゃないか。頬にオートミールが付いたチップは、三度社長に牙を向けているのだから。だが、向けた矛先は正に業火の原点。悪い事は云わない、今すぐ頭を下げるべきだチップよ。


「ほう、鳥頭が云うじゃないか。核だけになった貴様を身体だけでなくだ。剰え、服も用意し雨風をし逃げる住まいすら与えた私に意見するか?ほら、さっき云った事をもう一度復唱してみたまえ。」


「はい、すみません・・・。オートミールおいしいです、はい。」


 しゅんと肩を砕き、先程の威勢は鎮火された姿でチップは項垂れていた。幼女の口元はすっかり、への字と曲げてしまい悔し涙を浮かべていた。チップよ、これが社会だ。ふと、社長が扉の向こうに目線を向ける。口角を上げ、腕を組み僕達にこう告げた。


「諸君、客人のようだ。垂くん、君は桐谷殿のところへ行き、報酬の回収を頼むぞ。」


 あ、そういえば報酬の回収は今日だったか。激動のせいですっかり忘れていた。ん?やっぱり僕が回収しに行くのか、三百万を担いで?それは中々のプレッシャーだな。まぁ、今日の仕事はそれだけで済みそうだし準備をしますかな。さてさて、僕が準備している間に次の客人は、どんな人が来てどんな仕事が待っているのか。


「よくぞ来られた、客人よ。」


 そのまま漆黒の革椅子に浅く腰掛け、デスクに両肘を据えて指を組む。続けて社長は告ぐ。さて、次はどんな厄介事が舞い込んで来る事やら・・・。ここまではまだ序章に過ぎないのだろう。何故なら・・・。


 「便箋小町におまかせを。」


 この小説のような物語は、まだ始まったばかりなのだから。

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