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第1話 双眸の涙

主人公、ボーンは小説家である。代表作、龍星記以降はスランプに陥り鳴かず飛ばずの日々を送っていた。小説を書くのも嫌になり病んで体調を崩し筆を休める事になったが、そうするとまた何か書きたくなってくる。


小説サイトで裏名義で登録し、初心に返って奇を衒わない作品を書こうとした所これが注目を集め大反響を受けた。偶然にも勤め先から書籍化の話が舞い込んだ所で会社に事情を説明し、正体を明かした。


後は原文を手直しして書籍化を待つだけ…かに思われたが、上の意向で人間の主人公と猫型獣人のヒロインの役割の交代やモブとして死亡したキャラの復活、仲間入りなど曰く『細々』とした変更を指示された。


登場人物の名前を入れ替えれば話が成立するなどと言うレベルではなく、大筋だけ沿った書き直しをする事になったボーン。更に、徐々に『細々』とした変更の指示が増えて…。


※本作は別作品、双眸の涙の作者の物語です。併せて読むと本作をより楽しめるとか、楽しめないとか

裏名義で書いていた小説の書籍化が決まった。自分の作品がこんなに注目されるのは龍星記以降で久しぶりでずっとずっと冷めない興奮の中にいた。どうやっても鳴かず飛ばずだった俺は焦って色んなジャンルに挑戦した。ありふれたものじゃない、非常に変わったユニークな物を…そればかり考えていた。


今作も駄目だ。書いてる自分ですら面白いと感じない作品を書きながらそう思った。どうにかしてこのスランプを脱却しなければならない。日に日に謎の焦燥感ばかりが募って行った。幼馴染であり編集者のキールケはすっかり病んで体調を崩した俺のためにしばらくの休みを取ってくれた。いつも助けられてばかりで悪いと思ったが、あの時は何を書いても駄目そうだったので言葉に甘えた。


それから数日ほど窓際で両手を広げながら外を眺めて過ごしてばかりいたもので同棲している友達のラグドールからは「ひょっとして光合成してる?」と尋ねられたものだ。


書くのも嫌になってた小説も筆を置いてしばらくすると何か書きたくなって来るもので、俺は小説投稿サイトで裏名義で何か小説を書く事にした。新しい文章ファイルを作っては真っ白な画面とにらめっこしながらどんな新作にするか考えた。その時ふと俺は思ったのだ。基本に立ち返ろう。ここ最近は奇を衒う事ばかり念頭に置いて初心を忘れていた。


小説サイトの知名度もあるのだろうが閲覧数はビビるほど伸びた。そんなバカな。どうせ期待させてどこかで飽きられると考えていた。途中で何度も何度もプロットから脱線しようとしたが、我慢して自分なりの王道を貫いた。


その後、なんやかんやあってネットで公開されてた小説は全て非公開になり俺は書籍化に向けて多少手直しをしなければならなくなった。元々書いてた人気がない方の小説も少しずつ注目を浴び始めているのでプロットの手直しをしなければ。


俺はカーテンの間から漏れる朝日を浴びながら上半身を起こし思い切り身体を伸ばした。


「素晴らしい朝だ」


ベッドから降りてラグドールの眠っているベッドに近付くと彼を揺さぶって起こす。


「んん…なんだ、ボーン」


「素晴らしい朝だ」


「喜ばしい事だよボーン。気分が晴れてからの君は何もかも素晴らしいに違いない」


「その通りだ」


「一杯のコーヒーとトーストがあったなら、僕もその喜びを共有できたに違いない」


「お安い御用だ」


俺は2階から降りてお湯を沸かし食パンをトースターに入れる。コーヒーを淹れ、パンが焼き上がる頃にラグドールはのそのそと2階から降りて来た。俺はいつも彼が座る席の椅子を下げ、自分の席に座って朝食を食べる。ラグドールは棚に置いてあるリモコンを持って椅子に座ると天井吊りのテレビを付けた。流れるカニカマボコの冒険と言う3Dアニメをやっている。毎日毎日放送されている1分アニメで、俺には良さが良く分からないがラグドールはこのアニメを大変気に入っている。


他に見たい番組もないので俺はラグドールと一緒に流カマを眺める。昨日、一昨日…何なら1か月以上眺めてても大した変化が見えない様に見える。原作では海を目指しているらしいが一体どのぐらいの長さの川を流れているんだろう。


「うーん…。さすが三郎監督だ。古参ファンが求める物が分かってる」


「お前は新参だろ」


「まあそうだけど、復帰後より引退前の作風の方が好きだったんだよ…」


「やめろよ、そう言うの作者が聞いたら傷つくぞ」


「モッチー監督に限ってそれはないよ。復帰後1作目で古参ファンに散々叩かれてSNSで『古参の顔色伺ってコンテンツを廃れさせるぐらいなら新規を取り入れて古参を切り捨てる』とコメントして炎上したんだ」


モッチー監督は流カマの監督を下りてから様々な映画を作ったが、その時の作風が今の流カマに出てしまっているらしい。映像会社で監督が次々に変わってファンが求める流カマが原型を留めなくなっていく中での復帰なので古参ファンは非常に期待をしていたらしい。蓋を開けたら流カマのタイトルだけ持って来た別作品の様な作風だった、その上であのコメントだ。それは燃える。


より事態を拗らせているのは新規ファンからは非常に良い評価を受けている事だ。これでモッチー監督を中心に色んな所で新規と古参のファンが論争を繰り広げている。


「言わんとする所は分からなくもないが首を長くして待ってた古参ファンへの態度としてはあんまりだろ」


「その後、粘着して来るアンチに『嫌いな作品に張り付いてないで好きな作品の1つや2つでも見つけに行けよ。暇か?』と煽って若干燃えてた」


「SNSをやらせてはいけないタイプだ…」


「新作映画の試写会での監督挨拶では耐熱ジェルを体に塗って燃えながら現れて『よお皆、燃えすぎて焼け太りしたモッチーだぜ!今作もよろしくな!』って言ってそのまま舞台から降りて行った事が話題になったよ」


「無敵かよ」


それからは周りに諫められたためかその後は更新頻度が落ち、流カマの情報のシェアと焼肉の写真しか投稿しなくなった様だ。尊敬はできないがそのメンタルの丈夫さは普通に羨ましい。俺は傷つくのを分かっててエゴサがやめられない上に、それでしばらく凹んでしまうような事を繰り返している。


「まあとにかく古参ファンは引退前の作風を忠実に受け継いだ三郎監督の流カマに移ったんだ。凄いのは3D技術だけじゃない、世界の名所でカニカマの模型を流しての撮影を試みたり、スタジオに小さな川を作って撮影したり、とにかく画を撮る事への妥協がない。僕がまだファンじゃなかった頃はカニカマ展ってあって撮影に使われた川が3つ展示されたらしい。実際にカニカマの模型を流したりもできた。着実に三郎監督のカニカマファンを増やして行っているよ。行きたかったなぁ…」


流カマについて話すラグドールは非常に興奮した様子で俺に色々と話してくれた。どちらも気になって見た事があるがそこまで面白いとは思った事がない。一体どこに流カマにそんな魅力があって、何がファンをあの作品に釘付けにするのか…。


流カマが終わってニュース番組に移った。俺達の住んでるD地区のニュースを待っていると電話が鳴った。キールケからだ。


「もしもし?」


『ボーン、読んだよ「双眸の涙」!君らしさが詰まっててとっても面白かったよ!スランプ脱却、だね!』


俺がどんな小説を書いても必ず読んでくれる人は複数いる。彼はそれが仕事なのだが、彼はいつだって俺の一番のファンであり続けた。どんな苦しい時だって、どんなにつまらない出来だって必ず良い所を見つけてはそこを褒めてくれる。彼はいつもよりもご機嫌で俺のスランプ脱却を自分の事の様に喜んでくれた。


それから作品の感想や意見など様々な話を聞かせてくれたが、彼の話す言葉はどうにも何か引っかかる物を感じた。含みを感じると言うか…。


「もしかしたら俺の気のせいかもしれないんだが、ひょっとして何か俺に隠し事をしてないか?」


『ははは…君は何でもお見通しだね。うん、そうなんだ。昼頃会えない?』


「そうだな。ムーン・チャタでどうだ?」


『えっ、でも…』


ムーン・チャタはB地区のカフェ店だ。俺のいるD地区からは電車で向かわなければならない。遠いが出版社はそこにあるのでキールケとしては移動の手間が省けるだろう。彼は俺にその手間をかける事を申し訳なく思っているのだ。


「いいんだ。俺もあの店のコーヒーとパンケーキが恋しくなって来たんでね」


『そっか。ごめんね、何だか気を遣わせちゃったみたいで』


通話を終えると俺は朝食を済ませ、支度をして出かけた。今から出かけるには少し早いがB地区には暇をつぶす所ぐらいいくらでもあるだろう。ラグドールも暇を持て余しているらしくついて来る事になった。彼も創作の刺激に飢えていたらしい。俺達は用事がなければ外を出歩く事がないのでこういう時に一緒に気分転換したりする。


駅に向かう途中で道に立っている花に話しかけられた。無視したいがついて来てはしつこく俺達に話しかけて来る。


「つまり、俺は花に飽きてしまったんだ。石になりたいんだよ。路傍の石に」


「石なり砂なり好きになりなよ」


ラグドールが花に言った。花はため息を付いて首を横に振る。


「でも5年間花だったんだ。いきなり石になったら不義理じゃないか?そんな事が俺の判断を鈍らせるんだ」


「多分花は君が石になっても困らないよ」


そういうと花は怒ってラグドールの前に立つ。


「君は随分と生意気だな。君はなんなんだ?」


俺はラグドールの前に立った。


「元の場所に戻れ。花も石も自分の意思で勝手に歩いたりしないだろうが。今のお前の行為そのものが非常に中途半端で不義理だ」


「そんなに言わなくったっていいじゃないか…」


そう言いながら花は去って行った。しばらく歩いているとシャッター街で死体と血に濡れた刃物を持って泣いている奴がいた。やはり視界に映らない様に通ろうとしたがこちらに走って来て血に濡れた手で俺の肩を掴んで泣きわめいた。


「聞いてくれ!刃こぼれしたんだ!斬って刺しただけなのに!酷い!どうしてこんな事が許されるんだ!酷い!」


「新しいの買いなよ」


ラグドールが言うと歯を食いしばって睨む。


「買ってまだ3日目だったんだぞ!クソ、こんな粗悪品を売りつけたのは誰だ!お前か!

お前か!お前か!お前か!」


俺はポケットからナイフを取り出すとそれをそいつにプレゼントした。刃こぼれした刃物をその場に捨てると大切そうにナイフを抱いてその場に座り込む。


「大切にする。大切にするよ。ありがとう…今夜殺しに行くからね…愛してる」


「分かった。待ってる」


それから絡んで来る事はなかったのでそのまま駅へ向かう。やっとの思いで駅に着くと腰が曲がった奴に絡まれた。必死の形相で俺の服を掴んで引き千切ろうとする。ラグドールが止めようとしたが俺は手を突き出して止めた。そいつは俺の服に鼻水を付けながら何か頼みごとをしている。


「靴下、靴下くれよ…!片方、片方でいいからさ!」


「生憎と手袋しかない」


「手袋ォ?ふざけるな!ふざけるのも大概にしろ!この爪垢に土下座するんだ!!ぽっぴっぴー!」


「靴下が欲しいならこの間貸したパンツ返せ」


「あ、あれれ…ひょっとして怒った??」


「大変ご立腹だ馬鹿者!お前などくしゃくしゃになったティッシュペーパーの様にその辺に転がっているがいい!!」


「ヒィー…ヒィー…ごめんよぅ…返すから見捨てないでくれよぉ…」


俺はパンツを受け取ると頭を抱えて小さくなってるこいつを置いて駅に向かい、ゴミ箱があっただろう場所にパンツを捨てた。そこら中に利用客じゃない人々が集まっている。俺は券売機で身分証を読み込ませB地区行きの券を2人分買った。


しばらく待っていると電車が止まった。俺達は車掌さんに切符を見せて乗った。それから席に座ると電車が動くのを待つ。


「にしても本当に慣れてるよね、ボーン」


「金さえあればB地区に引っ越すんだけどな…」


元々はB地区に住んでいたがスランプ続きでお金がなくなり、C地区どころかD地区に引っ越す事になった。それからの毎日は地獄だったが今は何とか順応して生きている。ここへ引っ越してからB地区に戻りたいと思わなかった日はただの一度もない。今作でお金を稼ぐ事ができたなら俺はまたあそこへ帰る事ができる。


ラグドールはここへ来てまだ日が浅いので住人との適切な付き合い方が分からない。不死身なので殺される心配はないが、俺の心に僅かに残った良心が彼を危険から遠ざけたいと思っているので下手に外出しない様に言っている。


電車が動き出した。まずはE地区に向かう。ラグドールは窓から外の風景を眺めている。E地区では誰も乗り降りしないばかりかそもそもドアも開かない。ごく稀に利用客がいるらしいが少なくとも俺は見た事がない。


やる事がなくて暇なので外からドアに張り付いて他の地区への移動を試みるE地区民を眺めて暇をつぶした。残念ながらD地区に着く前に途中下車した。





俺達はB地区で降りると思い切り体を伸ばした。どうやらE地区民の1人がB地区まで気合いで車体に張り付いていたらしく職員に剥がされ反対側のC地区に向かう電車の先頭に括りつけられた。俺は電車を降りるとムーン・チャタに向かった。


時間に余裕があったので途中で店に寄って帰りに買う物を吟味する。B地区には滅多に来ないのでこうした機会に買い溜めておく。たまには冒険してみようかといつも飲んでるインスタントコーヒーとは別の物を買うべきか悩んだりした。


一通りショップを回ると食べ歩きをしながら時間を潰した。ちょっと早いが先にムーン・チャタに入っておこうと思いラグドールには映画代を握らせて俺はカフェ店に入った。驚く事にキールケは既にいて仕事をしていた。


「あれ、ボーン?随分早いね」


「早く着き過ぎたんでな。俺に構わず時間まで仕事を続けてくれ」


「いや、後でいいよ」


俺はコーヒーとパンケーキを頼んだ。それから双眸の涙についての話をする。簡単に言うと登場キャラを中心とする『細々』とした変更点があると言う事だった。キールケは困り顔でその変更点をまとめた紙を俺に手渡して来た。


「ごめん、できるだけ原作のままにしようって言ったんだけど僕の会社での立場もあまり強くなくて…」


「いや、キールケは悪くないが…。これは酷いな」


「うん…」


双眸の涙は人間のディギンスが主人公でドラゴン退治をすると言う内容だが、旅の途中で仲間を増やして行く。最初はドラゴス教の奴隷商に捕まっていた獣人のミヘラを助ける所からだ。まずここから変更点があって獣人のミヘラが主人公になっていて、奴隷商に囚われていた人間のディギンスがを助ける事になっている。


他にもドラゴンを信仰するドラゴス教が存在するが、その狂信者であるエルフが同胞の住んでる森に火を点けて回るなどの重犯罪を犯すが原作では主人公らの活躍で捕まり処刑されるのに改心して付いて行く事になっている。


『細々』とした変更点は名前さえ入れ替えれば、ちょっと添削すればいいなんて言うレベルの問題ではなかった。例えばミヘラは嗅覚を利用して困難を打破するための秘策をひらめく事がある。ディギンスは鍛えた腕があるから戦いは強いが環境の変化に弱く旅の最中で度々体調を崩したりする。彼らの特性を無視した物語を作れば読者の違和感はより強くなる。


どんな大人の事情があってこんな変更を強いるのか知らないが…。


「俺は仕事だからと諦めるにしても、読者への裏切りにならないかって点が心配だ」


「その点は僕も言ったんだけど『そこを技量でなんとかするのが作家や編集者の仕事だろう』って無責任な事を言われたんだ。『反応が良ければアニメ化も視野に入れてる』んだって」


アニメ化か…。龍星記以降はすっかり過去の人になってしまった俺としては喉から手が出るほど欲しかったチャンスだ。変更点は気に入らないが俺が反対してももう覆らない決定事項なのでどうする事もできない。ふざけるなと言って筆を折って出版社の鼻柱を折ってやってもいいが…それは俺のために四苦八苦しているキールケにも迷惑がかかる。


俺は気持ちを抑え込んでキールケのためにできるだけ明るい笑顔を作って見せた。


「おし、それじゃ原作よりもずっと面白くなるように頑張ってみるか!」


「ごめんよ」


「期待しててくれ。原作が褪せて見えるほど面白くするよ」


「ボーン…」


それから少し話をして、パンケーキを食べてコーヒーを飲んだ。支払いはキールケが持ってくれるらしいので好意に甘えて店を出た。


待ち合わせの場所に行ってしばらく待っていると映画の鑑賞を終えたラグドールが映画のグッズを複数買って戻って来た。俺達はB地区での用事を済ませると来た道を戻ってD地区へ帰った。





自宅に戻って荷物を下ろすと早速と2階に上がってパソコンを立ち上げた。ラグドールは手洗いうがいを済ませるとベッドで横になった。玄関に鍵をかけるのを忘れたのを思い出して1階に戻ると客人が来ていた。


客人は目を輝かせてこちらを向くと話しかけて来る。


「おはようございます、昨日助けていただいたホッチキス針です!今日からここに住まわせていただく事になりました。はたを折るから冷蔵庫を貸してください」


ホッチキス針はその場でクルクルと回ってポーズを決めた。俺は上着を脱ぎながら階段を下りる。


「ようこそ我が家へ、遠路はるばるご苦労だったな!レンジに生乾きのパスタがあるからそこで羽を伸ばすといい、そして死ね!採れたての雨合羽は犬小屋に干して解凍しておくと明日の番には食えるだろう」


やや困惑しているホッチキス針に構わず玄関に置いてた携帯用エンジン削岩機を手に取った。


「ポチ!こんな所にいたのか!元気だったかい?見ない間にこんなに大きくなって!」


ホッチキス針は顔面蒼白で走って家を出た。俺はズボンを脱ぐとパンツ一丁で削岩機を両手に抱えて追いかける。


「ウィーン、当機は間もなく離陸します。空の旅をお楽しみください」


「ウワーッ!寄るなD地区民!」


それから2kmぐらい追い回して適当な所で切り上げて自宅に戻った。全く、油断も隙もない。この辺りでは見ない顔だったので余所から遊びに来たんだろう。大方この辺の動画投稿者がD地区を愉快な町とでも宣伝してたのを見て遊びに来たに違いない。馬鹿な奴だ、遊遊び半分で来るような場所ではないと俺が現地民としてコメントして回っていると言うのに。


三郎ランド(国)に遊びに来たなら素直に遊園地ゾーンに行っていればいい物を、引っ越しに来た訳でもないのにクレマチス町のD地区に来るとは。せめて生きて脱出できる事を祈りたい。


家に戻る途中、雑草が生え放題になった公園の傍の椅子に座る老人が俺の肩に手を置いて来た。


「前世では良くも殺してくれたな!ぶっ殺してやる!」


「その節はどうも」


「いえいえ、今日はお日柄もよく」


そんなやり取りを済ませて自宅に戻ると早速と双眸の涙を書き出した。


作者の物語(2階からパソコン)と作中作(双眸の涙)を1話ずつ交互に投稿していきます。ややこしい事に双眸の涙には原作版と書籍版があり、投稿する双眸の涙はボーンの書き直した書籍版の話と言う設定です。原作版はプロットに数行書いてるだけなのでありません。

話の整合性はちゃんと取れるのか、そもそも完走できるのか、不安しかありませんが…まあ何とかなる!


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