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王国騎士に憧れる村娘は最強装備で成り上がる~あたしの武器だけ毎回違うのが出てくるけど、どれも強いので問題ないです~  作者: 虎柄トラ


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第二十四話 遍歴商人との再会

 昼食をすませたあたしは一人自室に戻り手紙を読み返していた。


「ふむふむ、確かに近日中って書いてあるわ。しかもトーマスさんはいま王都どころか別の国にいるんだもんね。そりゃ今日来るなんて普通に考えたら無理よね」


 そうなのだ。トーマスさんはクラレンツ王国ではなく、隣国のテラリーゼ連合国で主に商いをしている。

 テラリーゼ連合国は海に面した国で、自然豊かなクラレンツ王国、山脈に囲まれたセインダリア帝国と三大国の一つに数えられる。とはいってもあたしたちが住むこの大陸にはこの三つの国しかない。元々は他にも大小と様々な国があったらしいけど、過去の大戦で国が滅んだり吸収されたりしていまの三大国になった。

 あたしは王国から一歩も出たことがない。いまは従騎士として王都を拠点にしているが、それ以前はずっとクリフォルン村にいたから、王都ですら片手で数えるほどしかない。

 で、トーマスさんはそのテラリーゼ連合国の首都アクアッレに滞在している。単純な距離だけでいえば、あたしの故郷クリフォルン村とそれほど変わらない。歩きやすさでいえば舗装されている分、首都アクアッレの方がいいかもしれない。

 またテラリーゼ連合国は貿易によって成功したことで、三大国の中で一番裕福な国。先述の海に面している上に大小さまざまな川も縦横に流れている。その一部を運河として利用することで陸地を移動せずに運送している。コーヒーやシャワーなども外国から持ち込まれた品物らしい。


「さてと、食休憩もそろそろ終わりにしようかな。アスカロンがひっさびさに出たことだし、今日は飽きるまで振り回さないともったいないわよね」


 神具アスカロンは柄が黄金でできた豪華な大剣。大剣というのは騎乗で使うようなロングソードとかそういう剣を指すらしい。このアスカロンはそんなロングソードを二本重ねたものよりも分厚くて長い。その他を圧倒する超重量のこの剣は切れ味も抜群で岩石に刃を向け手を離すだけで、あとは自然とそこを境にその岩石は真っ二つになる。

 一度だけ支給品のロングソードを手にしたことがある。その時は両手で持ち上げるのがやっとで振り回すなんて到底無理だった。だけど、このアスカロンはそのロングソードよりも軽く感じる。さすがに片手は厳しいけど両手なら問題なく普通に扱える。それ以上に自分の身長とほぼ同じ長さの剣を難なく振り回せてしまうのが楽しくてしょうがない。


 あたしはまた遊び場に行くため手紙を折り目にそって綺麗に折り直し机にしまう。そして意気揚々と部屋を出ようとした時ノックもなく急にドアが開いた。


 ロウはドアノブに手をかけたまま話しかけてきた。


「おいリーティア、起きてるか?」

「起きてるに決まってるじゃない。で、何か用?」

「トーマスさんが来たぞ!」

「……うん?」

「俺と同じ反応するなよ。まぁとりあえず玄関に行くぞ」


 ロウと一緒に玄関に向かうとそこには夢の中で見たあの人がいた。立ち上がることも歩くこともできないほど衰弱していた彼の姿はそこにはなかった。それどころかはじめて出会った頃よりもさらに体が大きくなっているような気さえする。それほど彼の回復力が凄まじいということだろう。

 トーマスさんはあたしを見つけるとすぐに頭を深々と下げ感謝の言葉を述べる。


「お久しぶりです。リーティアさん、この度は息子共々助けていただきありがとうございました」


 あたしはトーマスさんの言葉を遮るように「ト、トーマスさんだぁ!」と叫び駆け寄り、そのまま彼に飛びついた。団長の部屋にある高級ソファーを思わせるそのクッション性。さらにあたしが全体重をかけても一切、よろけず受け止める騎士顔負けのパワー。


「あのリーティアさん。わたしもまたこうして会えたのは嬉しいのですが、ただちょっと離れてもらえませんか、急いで来たため汗もかいていますし」

「ほらトーマスさんも困っているだろ、それにお前がそうしていると話が進まん」

「……そ、そうね」


 玄関口で話すのではなくて客室に案内しようとしたが、トーマスさんはここで構わないと言ってきた。どうやらこのあとにまだ行かないといけないところが結構あるらしい。息子のリックさんが同行していないのもそれが理由だと言っていた。そしてトーマスさんは話を終えると、お礼品として荷台ごと置くとそのまま兵舎をあとにした。荷の中身はタバコなどの嗜好品に宝石類、そしてここではほとんど口にすることができない新鮮な海産物の数々。


 トーマスさんは馬を乗り継ぐことで鮮度が落ちる前にここまで運んでくれた。その合計額は王都の一級地に豪邸を建てられるほどの金額に相当するらしい。トーマスさんにも感謝だけど、ここまで荷台を引っ張ってくれた馬にも感謝しないとね。


 それから荷台から品物を団員みんなでせっせと兵舎に運んでいった。その中でも運ぶ際のロウとカレン姉の手際の良さは凄まじかった。特に鮮魚を台所に持って行く速度は本当に神がかっていた。海の食材を調理できるのが楽しみで仕方ないのだろう。そういう、あたしもさっき昼食を食べたばっかりなのに、もう今日の夕飯のことで頭がいっぱいだったりする。

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