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守谷SAのチキンカツカレー

 2023年末。

 この日は冬のコミケに行った帰り道。

 家族を乗せて下り線を突き進んでいたわたしは年始に親類に振る舞うお菓子と遅い昼食休憩を兼ねてサービスエリアに寄ることとした。

 時刻は15時過ぎ。

 そろそろ糖分を補給しなければ倒れそうだ。


「お腹すいたね」


 フードコートに並ぶ店は昨年とさほど変わりはない。

 ラーメン、焼き肉、うどん等の店が並び、裏手には粉物や串焼き等のホットスナック。

 さて、何を食べるかと悩んでいた我らの目に飛び込んできた文字にわたしは興味を惹かれていた。


「アレにしようか」


 家族も同じものを選んだソレはチキンカツカレー。

 しかも──ただのチキンカツカレーじゃない、ジャンボなチキンカツ、ジャンボチキンカツカレーだ。

 注文して待つこと10分ほど。

 席を確保してぐったりとしていたわたしを呼び出すブザーが鳴り響き、受け取ったソレはカツの頂だった。

 大皿に盛られたライスと具が福神漬け見当たらないドロドロとしたルー。

 オーソドックスな欧風カレーなのだろう。

 その皿の中央には三段重ねになったチキンカツ。

 さながらカツのジェンガである。

 さっそくスプーンを取ろうとしたわたしは更に困惑してしまう。


「箸ナンデ?」


 なぜなら盆の上にはカレーなのにスプーン以外にも箸が一膳あったからだ。

 どういうことかと思いながら、ひとまずスプーンを握ったわたしはすぐに理由に気がついた。


「そうか……重なっているから崩れるのか」


 上から肉をスプーンで切り分けようものならジェンガが崩れる。

 気づいてしまえば納得、自明の理を受け入れたわたしは箸でカツを掴むと、そのまま口に放り込む。

 カツはやや硬さがあり厚みも薄い。

 胸肉を噛みやすいように削いだモノのようだ。

 揚げたてのため火傷しそうなほどに熱々なので、いったん皿に戻してカレーで味付けをしよう。


(辛い?)


 このついでに箸をスプーンに変えてカレーを頬張って見ると味の第一印象は熱さと辛さ。

 冷静に味わうとピリ辛程度だとは思うわけだが、煮えたぎるような熱さが冷えた身体を騙して激辛に感じさせたらしい。


(む……段々腹が膨れてきたぞ)


 ある程度、食べ勧めたところでわたしの腹にズドンという衝撃が走る。

 さながら背中からドスで一刺しにされた野原ひろしのような満腹感だ。

 空きっ腹にかっこんだせいかもしれない。

 だが山盛りだったカツはだいぶ減っているし、何より使っている肉は脂身の無い鶏むね肉。

 おかげで無事に完食。

 おそらくロースカツだったら脂のダメージで食べきれなかったか、食べても満腹で動けなかっただろう。


「ごちそうさま」


 食べ終えたあとは食器を戻して、お菓子を買ってから退散。

 最初はデザートにアイスでもと思っていたくらいだがこれ以上は食べ切れないか。

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