【短編】メンヘラちゃんの詩
ただ、辛いの。
生きる事が苦手で、どうしょうもなく不器用で、不器用であることを隠せば、それだけ人から遠ざかる。
自分の歩いている道が間違っていると気がついたのは、いつだっただろうか。負けっぱなしである事を認めるのは、存外心が軽くなる。暗示を掛ければ軽くなる。責任逃れだけが上手くなっていく。
しかし、それは一時の安らぎでしかない。開き直って上を向き、自分なんだとツバを吐く。その勇気は一瞬で、眠って覚めればまた同じ不安に襲われる。それだけを繰り返して、自分をどんどん嫌いになっていく。前髪が伸びることを止められず、気づけば前も見えなくなる。
軽くなった心を確かめて、五臓六腑を慰める。腹が空くから慰める。無くていられるのなら、きっとそれすら止めるだろう。それほど、生きる事は疲弊する。それほど、生きる事は息苦しい。
目の前には、光がある。見ていると、気が狂いそうになる。あそこに手を伸ばせば焦がされてしまうんだと、ありもしない未来を想像して。自分の後ろの影を見る。それだけが、傷付かない為の冴えたやり方だと気がついて、だからじっと影を見る。鏡と違って醜くないから、静かに抱いてあげられる。
誰かの優しさは、それすら奪う光だ。自分を慰める事すら許さない。真綿で傷付く心を照らして、それは一体誰のため?奪うことに慣れすぎて、だから気付きもしないのか。
負け続けて、負けることから逃げ出して、それでも終わらせられなくて。惨めなのは分かってる。それを影から出さないで。隠してるから、見つけないで。分からないなら、触れないで。
そんな私を、誰か疑って。