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終焉の龍の卵  作者: レッドヴォルト
死界 蟲蔓延る病の谷編
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十王定例会議

目の前にはバラバラになった死体が、転がっている。他の有象無象と比べたら確かに強かったが、はるか昔に相対した伝説の魔物と比べると歯応えがない。


偶然私の縄張りに入ってきたのが、運の尽きだったな。流石に伝説の魔物と言っても死んでるだろう。・・・それにしても伝説の魔物か・・・寒気がする。昔のことを思い出す。殺したから大丈夫なはず。


「うむ・・・そろそろ行くか。はぁ・・・面倒くさい」


妾は歩き出す。今夜は長くなりそうだ。なんたって50年ぶりの定例会議だからな。血の気の多い奴らばかりしか居ないから頭が痛くなる。





目的地には直ぐに到着した。精霊達が踊り歌い美しい光景が、広がっている。精霊達が住む幻影の都だ。今回はここで定例会議をするらしい。


「十王バグイーンお待ちしておりました」


門の前に執事服を着た上級精霊が並んで待っていた。


「他の者は?」


「はっ!既に武拳王シェンレオ様、精霊王オベロン様、巨人王ユミル様、海王シフ様、悪魔王サタン様がお待ちです」


執事服を着た精霊の1人が答える。


「そうか・・・よし案内しろ」


「どうぞこちらです」


妾は豪華な宮殿の中を進んでいく。それにしても相変わらず悪趣味な宮殿だ。目がチカチカするほどの黄金で彩られている。


そのまま宮殿の中を歩いていき庭園に出た。庭園と言っても巨大な湖の真ん中に庭園が、浮かんでおり幻想的な風景となっている。


「この奥に皆様お待ちです」


「分かった。案内ご苦労」


妾は庭園に向かって歩き出す。水面からチラホラと様子を伺うように水精霊達が、顔を覗かせる。だが少し睨みつけると直ぐに水底に逃げていった。


庭園に入った瞬間、気を張るような殺意が庭園中を支配している。相変わらず血の気の多い奴らだ。


しばらく歩くと殺意の正体が、お行儀よく鎮座していた。


「遅せぇよ。何時間待たせるんだ」


苛立ちながら席に座って睨みつけてくる山羊の角を生やした男、悪魔王サタンが妾を睨みつけながら言う。


「相変わらず品がない喋り方だな」


「殺すぞ蜘蛛女!」


「フフ・・・やってみるか?」


妾は横で叫んでる悪魔の王を横目に自分の席に着く。こんな羽虫が妾の席の隣なんて今日はついていないな。


「まあまあ2人とも落ち着きたまえ。ここで争っても意味はない。そうだろう?」


巨人の王ユミルが場を収めようと妾達に話しかけた。


「話しかけんなジジイ!殺すぞ!ったく古参だからって偉そうな顔されちゃ困るぜ」


「ホッホッホ若者は威勢が良いな」


サタンの暴言にも動じずニコニコ笑っているその姿は不気味だ。


「他の者は?」


「うーむどこに行ったのじゃろうな?」


「その質問については僕から説明させて頂こうかねー」


いつの間にか妖精王オベロンが席に座っていた。相変わらず目がチカチカするほどの装飾を纏った服を着ている。


「シェンレオは、近くに来た龍の対応シフは湖の下で寝ているねー。シフーみんな来たねー」


オベロンの声と同時に水面が迫り上がる。


「あーよく寝た・・・みんな来たの?」


「いや全員は来てないね」


「なーんだ・・・寝てて良い?」


眠そうな顔をした水龍が、出てきた。その姿は王たる威厳が全くない。だが隙だらけのようで隙が一切ない。


「起きとけよ寝坊助大蛇」


「僕は蛇じゃないよ龍だよ・・・仕方ない起きとくよ」


眠そうな声で反論して渋々と湖から這い出す。


「今帰った。全員来てるのか?」


「いやシェンレオ合わせて6人だね」


ちょうとシェンレオが帰ってきたようだ。血塗れになっているが、そんな姿でも素敵だ。


「そうか。なら先に定例会議初めておくか?」


「それでも良いと思うのぉ。まだテンペストは仕方ないとしてゼルレアやハルゲアやムーンはいつも遅刻しよるのぉ」


ユミルがやれやれとした雰囲気で言う。まあ私もそう思う。時間が決まっているのに何故遅刻などするのか妾には分からない。時間にルーズな奴は嫌われると言うのに。


「それじゃ始めようかなかねー十王定例会議会議を」


こうしていつも通り4名遅刻で、十王定例会議は開始した。

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