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終焉の龍の卵  作者: レッドヴォルト
始まり
9/101

大蛇との激闘

「シィァァァ!」


大蛇が咆哮すると同時に少し体が、固まった。咆哮の効果だろう。だがたいして効果はないな。これなら大丈夫だ。


大蛇はそのまま突っ込んで来た。俺は左に跳び避ける。後ろにあった倒木が噛み砕かれ体が当たった木は凹んでいる。


俺は、がら空きの横っ腹にブレスを吐きつける。だが表面が少し焦げただけでダメージはほぼない。有効打を早く見つけないとこっちが、追い込まれる!


「ジィラァァ!」


大蛇の尻尾が、凄い勢いで振るわれた。咄嗟に腕でガードして受けたが、数メートル後ろに吹っ飛ばされた。そして受けたと同時に鈍い痛みが腕に走る。骨は折れてはないが、そう何発も受けれないぞ!


防御力も魔防も俺の攻撃力よりも上だ・・・どうやって倒す?俺はここで終わるのか?記憶を一切取り戻す事ができずに。


死という概念がゆっくりと迫って来てるのが分かる。体が震え恐怖する。だが怯えてどうする。恐怖してどうする。俺は竜、ドラゴンだぞ。こんな蛇野郎に負けていいのか?ダメだろ。こんな所で死んでたまるか!


「グラァァ!」


「シィェァ!?」


俺は大蛇に飛び込み噛みついた。だが大蛇の鱗は予想よりも柔らかく牙が、食い込んだ。血が滲み出てるが、毒は毒耐性のせいで期待できない。だが確かにダメージを与えれている。


「シィェァ!」


「ギィ!?」


背中に衝撃が走った。こいつ俺ごと木に叩きつけやがった!なんて馬鹿力なんだ!


「ジィヤアア!」


俺が痛みで怯んだ瞬間、大蛇が噛みついて来た。なんとか避けれたが大地が抉れた。だが噛みつきは意外と隙が大きい。これなら攻撃を入れることができる!俺は胴体に引っ掻きを、何発か入れるが鱗が少し欠けただけでまったくダメージが入ってなかった。


鱗が硬すぎる!噛みつかないと真面なダメージを与えれないのか!?いや一応危険だが()()()()()()()()()()()()()()()()()がある。一か八かだやるしかない!


「シャァァ!」


大蛇が尻尾を乱暴に何発も振るう。俺の腕は、それを受け止める度に鈍い痛みが走る。狙うは噛みついてきた時だ。


大蛇の尻尾乱舞が止み、こっちに大口を開けて突っ込んで来た。こっちもダメージを受けるがもう覚悟はできている!


「シャァラァァ!」


突っ込んで来る大蛇に向かって俺も突っ込んだ。


「シャァ!?」


突っ込んで来た俺に少し驚いたが、そのまま大口を開けて突っ込んで来る。もうあと1メートルって所で俺は息を吸い込む一気に吐き出す。黒くバチバチとした炎が、大蛇の口に入っていく。


「ジィギャシィィ!?」


その瞬間、大蛇は悶え苦しみ大きく横に逸れた。流石に口の中までは守ってなかった様だ。かなり今のは効いたな!


「ジェラァ!」


「ギャッ!?」


ドゴッ!ミシ!


大蛇のフルスイングが腹に当たった。鈍い音と腹から何かが潰れる音と同時に口から血が、出て俺は宙を舞い木に叩きつけられた。


「ギィ・・・ギャァ」


痛みで立ち上がれない。体が震えて上手く動けない。ヤバい死ぬ。ダメージはかなり与えれたがこっちも貰いすぎた。行動不能になるのは・・・不味い!


「シャァァ!」


大蛇が爛れて焦げた大口を開けて突っ込んで来る。ブレスはもう出せない。だが奴もさっきよりもかなり動きが鈍くなっている。頼む俺の体!動いてくれ!


「ギュラァァァ!」


火事場の馬鹿力なのか一気に跳んで避けることが出来た。奴は、そのまま地面に勢いを殺さずに突っ込んで自爆した。振り向いた姿は正に化け物そのものだった。牙は折れて片目は半分抉れて顔は爛れ焦げている。もうお互い満身創痍だ。そしてお互いが、理解していた。次の一撃で勝負が決まると。


視界が真っ赤に染まっていく。俺は痛みも忘れてその場で構える。大蛇も背中を大きく伸ばして構えた。


「ギュラァ!」


「シャァァァ!」


俺は、大蛇に向けて走り出した。大蛇も己の力を振り絞りこっちへ突っ込んで来た。お互いの肉体だけが頼りの最後の一撃。これで全てが決まる!頼むから持ってくれよ俺の体!


数秒後、ドシン!とお互いの体がぶつかった音が鳴り響く。ミシミシと骨が折れる音がお互いから聞こえた。俺は倒れそうになるが意識をなんとか保って押し返す。そのままお互い譲らずにその場で押し続ける。


「ギュラァァァ!」


「キシャァァァァ!」


だが大蛇が後ろへ仰け反った瞬間、俺は一気に押し込んだ。大蛇は地面に倒れ伏し自然に俺が、大蛇の上に乗った。そのまま全力で体重を掛ける。大蛇の体が、ビクリと跳ねて動かなくなった。やった・・・のか?


(経験値680入手しました。levelが最大に上がりました。称号格上食らいを入手しました。進化を開始します)


経験値入手のアナウンスが聞こえた次の瞬間、凄まじい眠気が襲ってきた。立っていることも出来ずに俺は、その場に倒れ伏した。


ヤバい・・・こんな所で進化するなんて・・・急すぎる・・・せめて何処か・・・安全な所へ・・・


俺の意識はここで途絶えた。


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