絶剣の勇者オオヤマ・コウセイ
「お互い全力でぶつかり合おうや。万物を断ち切れ絶界の剣、絶剣発動」
勇者が持っている刀が青白く光る。聖属性ではない。だが凄まじい魔力が流れているのが分かる。
『エグい魔力量だな』
刀にありったけの魔力が流し込まれているのが分かる。あの様子じゃ魔力は刀にほぼ吸い取られているようだがな。
魔法は使えないと思うが油断すんなよ。
「行くで竹割」
『重っ!』
ズギャァァァ!
ギュリーが勇者と打ち合った。勇者は刀を縦に振り下ろしただけだ。それだけなのに防いだ衝撃で大地が数十メートル割れて木々が砕け遠くに居た魔物が砕け悲鳴が聞こえる。
「ガァァ!」
俺はギュリーと鍔迫り合っている勇者に向けて全力で爪を振り下ろす。だか勇者は避けるなんてことはしなかった。
「一文字」
「アギャ!?」
目に見えない速度で勇者は刀を横に振っただけだ。そこらの剣ごときじゃ精々傷をつけるのがやっとだ。自分で言うのもなんだが鉄よりも硬い自信がある。そんな俺の爪をいとも簡単に切ったのだ。
「大斬!」
『やっべ!なんだこの力!?』
ギュリーと勇者の剣がまたぶつかり合う。ウラヌスが軋むが折れはしない。
「硬いなぁその剣!それレジェンドアイテムやな?斬れへんもんなんて久しぶりやわ!」
勇者が興奮を抑えきれないように言う。
「ガァァァァ!」
「危ね!ほんま怖いわ!」
俺の牙が勇者の体を掠める。
「円斬!」
「グォギャァ!?」
ギリギリで回避することができたと思った。だが勇者は無理やり剣の軌道を修正して俺の腹を切り裂いた。あまりの激痛で気絶しそうになるが無理やり意識を保つ。
(痛覚耐性level2を入手しました)
『距離をとれ!ちぃ!ダークスフィア!』
アルファが魔法を使いなんとか俺は距離を取れた。再生の痛みにもだいぶ慣れたもんだ。なんとか回復することはできた。
「今ので倒れへんか。結構良いの入ったと思たんやけどな?魔物の回復量舐めてたわ」
「ウラハラハァ!」
「ほんま面白いなぁ!」
『オメガ!俺ごと焼け!』
「ガァァァ!」
ギュリーと勇者が鍔迫り合っているところに俺はブレスを吐く。ブレスが当たるすんぜんのところでギューリーが上空に逃げる。ブレスの炎が勇者を包み込んだが。
「温いわぁぁ!」
勇者が焦げながらブレスの中を突っ込んで来る。青白い刃が俺の鼻先を掠める。だが俺もやられっぱなしじゃない。爪振るい勇者の首を切り落とそうとする。だが勇者は巧みに避けて距離を詰めて来る。
「もろたでぇ!」
「アギャァァァアア!」
翼の一本が切り落とされた。翼の根元を意識して筋肉を絞めて無理矢理止血する。完全ではないがやらないよりかはマシだ。
「ありゃ?肩狙ったんやけどな?」
勇者が刀を振り血を落とす。そしてまた居合の構えで突っ込んで来る。
『させるかぁぁ!封剣解放!』
ギューリーの全ての手に剣が握られる。封剣と刀がぶつかり合った。だが鍔迫り合うことなく封剣はへし折られた。
『なっ!?』
封剣は殆ど魔力でできている。だが耐久は凄まじく俺が全力で噛み砕こうとしたが傷一つ付かないほどだ。そんな封剣がいとも簡単にへし折られたのだ。
「居合桜道!」
「カハッ!」
『ギューリー!』
一秒も時間は過ぎてなかっただろう。目の前に居たギューリーが血を吹き出してその場に倒れたのだ。
「安心せい死にはせえへん。ちょっと横になっててもらうで」
「ガァア!」
俺は尻尾を横薙ぎに勇者に叩きつける。だが勇者は華麗にバックステップで回避する。
『ダークマイン!発動!』
「のわぁ!?」
勇者が回避した足元が爆発する。だがダメージは少ない。だが体勢を崩すことには成功した。俺は体勢を崩した勇者に食らいつこうとする。
「ゼリオロス流、破技!」
「ガギャ!?」
そんな甘くはいかなかった。勇者は不利な体勢から拳を突き出して俺の牙をへし折った。だが俺は牙が折れようが勇者の腕に齧りついた。
「くっ!」
「ンゴォォ!」
「ぐはぁ!?」
俺は勇者をそのまま持ち上げる。そして何度も何度も咥えたまま地面に叩きつける。勇者も抵抗して刀を俺に突き刺そうとするが掠めるだけだ。俺はそのまま勇者を投げ飛ばす。大木と激突して土煙が舞う。
「今のは効いたでほんま・・・ってちょっと待てやぁ!」
俺は追撃で勇者に黒い凶弾を、放つ。だが流石勇者だ。直ぐに立ち上がり飛んできた凶弾を全て弾いた。
「はぁ・・・ほんま心臓に悪いわ」
勇者がバツの悪そうな顔で言う。所々鎧が破損しており肌が見える。パンパンに腫れており青紫色にしている。まああんだけ叩きつけられたらそうなるよな。
「今の弾いたせいで腕折れたんちゃうか・・・ほんま無茶苦茶しよるで」
「ハァァ!」
「がっ!?」
背後からギュリーが切りかかった。勇者も即座に反応して防ごうとしたが腕にかなりダメージを負っており完全には防ぐことができなかった。ミシリと腕から骨が軋む音が聞こえる。苦痛に勇者の顔が歪む。
『操血術!血鎖!』
「舐めんなやぁぁ!」
血の鎖が勇者に巻きついたが、勇者はそれを簡単に引きちぎった。お返しと言わんばかりの凶悪な斬撃が放たれる。
『黒槍!』
「あっ!?がぁぁ!」
アルファが放った黒槍が勇者の胸に突き刺さる。勇者は胸から黒槍を引き抜いた。血がドバドバと流れ出る。
「弾け飛べやぁ!」
「グォォ!?」
勇者は引き抜いた黒槍を俺に向かって投げてきた。黒槍は俺の鱗を穿ち後方の大木を貫いた。だが俺は臆することなく勇者に向かっていく。
「死に晒せやぁぁ!」
勇者が刀を振り下ろす。俺はそれを全ての翼で防ぐ。防いだ瞬間想像を絶する痛みが俺を襲う。そりゃそうだ。翼膜が引き裂かれて翼の根元が千切れかけたのだから。だがなんとか耐えて勇者の腹に向けて爪を突き刺す。
「うぎぃ!」
鎧を砕き肉を抉る感覚と血の生温かい感覚が指先に伝わる。だがそれでは終わらない。俺はもう片方の腕に暗い閃光を纏わす。
『いけぇぇ!ぶちかましてやれぇぇ!』
「やめろぉぉ!」
「ガァァァァ!」
俺は勇者の顔面に拳を打ち付ける。爆弾が爆発したかの轟音と目の前が点滅するほどの光が放たれる。そして勇者は大木を貫通して数十メートルは吹き飛ばされた。だが経験値獲得のアナウンスがない。まだ生きているってことだ。
俺は傷ついた体を引きずり勇者の元に向かう。そこには顔の半分が焼け爛れたかのようになり四肢の一部が欠損した勇者がそこには居た。
「正直・・・驚いたわ。あんな・・・隠し玉がまだあるんかいな・・・ええで殺しいや。でも俺は死なへんで。使命を果たすまでは死ねへん。お前をまた殺しに来たる。例え地獄に居ようとも這い出して殺したるからな」
そうか。なら殺しに来い。じゃあな。
俺は勇者の首を切り落とした。その時だった。どこからか鐘の音が鳴り響き勇者の体が光の粉になって霧散していったのだ。
(経験値40000入手しました。levelが46に上がりました。称号勇者殺しを入手しました)
死んだ・・・のか?経験値は入っているし死んだはずだ。ひとまず脅威は去った。早く傷を癒さねば。出血が酷いし体の損傷も酷い。いてて・・・傷が痛むな。痛覚耐性入手できたのは幸運だったな。




