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終焉の龍の卵  作者: レッドヴォルト
死界 蟲蔓延る病の谷編
83/101

病の予防方法

俺達は崖を背にして一晩過ごした。あれからは何もなく夜を越すことができた。


『なんとか夜をこせたな。腹も減ったし狩りに行くぞ』


ギューリーに連れられて俺達はまた森の中へ潜っていく。朝方と言うこともあり霧が立ち込めている。


「キシャァァ!」


「ピィィ!」


だがアンデットであるフィーニスには関係ない。木の上に居た小さな羽虫に食らいついて食い殺した。


『昨日のあの化け物カブトムシ見たあとだと十王がどんな化け物か予想できないな』


『十王ってのは死界を統べる王だ。あのカブトムシなんか足元に及ばないだろう』


ここの十王ってどんな奴だったっけな。確か蟲だったよな?


『蟲が蔓延る病の谷の王、蟲女王バグイーンだな。私が調べた感じ十王の中では比較的温厚らしい』


温厚なのか。それなら向こうから積極的にこっちに襲いかかってくる可能性は低いだろう。


『それと前調べるって言ってた病のことなんだが結構ヤバいそうだ』


え?やっぱり結構ヤバいのか?


『ああ、体が徐々に蟲になっていく病だそうだ』


体が徐々に蟲になっていくのか。恐ろしいな。それで予防方法とかはあるのか?


『一応2種類ある。1つは聖魔法の主の浄化。まあこれは無理だろうな。私達聖属性が弱点だし。そしてもう1つがこの病の谷に生えている蟲喰い花の実を食べることだ。私達が利用するのは後者だな』


ふむふむ蟲喰い花の実か。それはどこに生えてるんだ?


『この病の谷の至る所に生えているらしい。そのうち見つかるだろう。まあできるだけ早く手に入れておきたいな』


そうだな。それじゃ蟲喰い花を探すとするか。



俺達は木々を掻き分けながら蟲喰い花を探す。だがなかなか見つからないものだ。


『結構デカいらしいけどな』


『どんぐらいデカいんだ?』


『古代種らしく10メートルはある』


『マジか!そりゃデカいな!』


俺よりデカいくらいか?めちゃくちゃデカいじゃないか。そんだけデカいなら見逃してるなんてことはないだろう。


しばらく歩いてたその時だった。前方から木々を穿ちながら何か飛んできた。


「ギャァ!?」


突然の攻撃で対応できなかった。攻撃は腕に当たり鱗が数枚持ってかれた。一瞬だがツルのようなものが見えた。


「ウラハァ!」


「キシャァ!」


フィーニスとギューリーの方にもツルは飛んできたが2人とも上手く対応して防いでいた。


『間違いねぇ!蟲喰い花だ!全員!ツルの根元に向かえ!』


分かった!


『おう!』


「キシャァァ!」


俺達はツルの根元に全速力で向かっていく。途中木々を砕きながらツルが飛んできたがギューリーが叩き切った。


「ビュラァァォ!」


『デッケェな・・・』


そこには巨大な肉食植物が生えていた。花の真ん中が開いておりギラギラとした牙を覗かせている。その牙は俺と比較しても見劣りしないほどだ。


(蟲喰い花 古代種 A)

蟲喰い花と人食い花の古代種。非常に巨大でその巨体を維持するために何でも捕食しようとする。捕食した獲物の魔力を根こそぎ搾り取り実を作る。

その実は非常に栄養価が高く一口食べるだけで一週間は食事が不要なほど。他にも蟲化病や死界病を予防したり抑える効果もある。

皮は剛鉄のような強度を持っているが、非常に軽く加工しやすく魔力を弾くため魔術師のローブなどによく加工される。


こいつが件の蟲喰い花で間違いないようだ。それにしても本当にデカいな。隙だらに見えて隙がない。あの鞭のようなツタで攻撃されたら俺もただじゃ済まないだろう。


「ビュラァァァァ!」


『血鞭!』


地面を砕きながらツルを振るってくる。それをギューリーが血の鞭で迎撃する。鞭どうしがぶつかった瞬間、凄まじい衝撃波が発生して森が揺れる。


「ガァァァ!」


俺は奴の懐に飛び込み爪を振るう。奴の皮と触れた瞬間金属音が俺の耳を劈く。


「ビュラァ!」


「ガギャ!?」


奴は即座にツルを振るって俺を突き放した。ツルの先端が俺の顎に当たった。脳が揺れる。ヤバい。体が動かない。意識が霞む。


『古き盾!おい!しっかりしろ!』


アルファが古き盾で追撃を防いでくれた。その間になんとか距離をとる。


たった一撃食らっただけでこれか。やはり死界の魔物は強いな。だが俺はこいつらを超えていかないといけない。アルファ!黒い凶弾の準備しろ!


『分かった!回避は頼んだぞ!』


おう!任せろ!


『ソードエンチャント・ファイア!』


ギューリーの剣に炎が纏わりつく。火のエンチャントだ。植物の奴にはかなり効くはずだ。


「ウラハァ!」


「キシャァ!」


「ビュ!?」


奴がツルを何本か伸ばして攻撃してきたがギューリーがそれを全て切り伏せる。これには奴も驚いた顔をしている。口しかないけど。


『今だ!放て!』


「ガァァ!」


俺は黒い凶弾を奴の首元目掛けて放つ。凶弾は奴の首を穿った。だが奴は倒れない。それどころかツタを伸ばして攻撃してこようとした。


「ガラァガァ!」


『鍔飛ばし!』


俺とギューリーは斬撃を飛ばす。斬撃はいとも簡単に奴の首を切り裂いた。デロリと紫色の液体を吹き散らしながら奴の首が地面にボトリと落ちた。


(経験値20000入手しました。levelが43に上がりました)


結構本気で戦ってなんとか倒すことができた。それじゃ実を頂くとするか。


『実は奴の根元にある。掘り起こせ』


俺は根本を掘り起こす。すると甘い果実の濃厚な香りが土越しから匂ってきた。掘っているとバスケットボール程のサイズの果実が出てきた。葡萄に似ているが芋のように何個もなっている。


『美味そうだな!早くくれよ!』


俺はギューリーに実を投げる。朝から何も食べてないからかギューリーは直ぐに実に齧りついた。


『うっま!お前も早く食ってみろよ!』


そんなに美味いのか。どれどれ?


俺は実に齧りつく。シャクリとリンゴのような食感に濃厚な甘い匂いが俺の鼻腔を貫いた。口の中に入れた瞬間、マンゴーのような甘みが口の中に広がる。これは確かに美味いな。いくらでも食べれそうだ。それに美味いだけじゃない。腹の底から力が湧いてくる。


『もう1個!』


はいはい。ほらよ。まだあるから落ち着いて食え。フィーニスも食っとけ。


俺達は久しぶりの甘味と果実を楽しんだ。果実だけしか食べてないのにかなり腹が脹れた。これは昼の狩りをしなくても良いかな。今日は久しぶりにゆっくりするとしようか。



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