フィーニスの進化と強者との遭遇
「キシャァ!」
(スケルトン・ワイバーン・イニティウムフィーニス B+)
邪炎の血族の『終焉』と『始祖』を冠する者によって生み出されたワイバーンのアンデットの希少種。その異質な魔力により大幅に強化されている。その巨体を利用して全て敵を蹂躙する。僅かであるが主である『終焉』と『始祖』の力を使える。
フィーニスが進化した。俺の『終焉』以外の力があるのは謎だが強くなってるならとりあえず良し。
死界でもなんとか俺達の実力が通用すると言うことが分かった。休める場所を探そうとしたが、見つからずに夜を迎えた。夜になると辺りは暗くなり一寸先も見えない暗闇に包まれた。焚き火を囲んでいるが火の光でも周りが見えない。
『本当に真っ暗だな。何も見えねぇ』
『私が気配察知で見張っておく。今のうちに休んどけ』
ありがとうな。少し休ませてもらうとしよう。
『おい!起きろ!』
「ギャラァァァ!」
しばらく休んでいたその時だった。アルファから起こされた。
俺は周りを見回す。周りを見回すとそこには黒光りした無数の甲蟲が蔓延っていた。いやよく見たら甲蟲なんて良い物ではない。完全にゴキブリだ。
キシキシと音を立ててこっちを睨みつけている。中には飛び掛かってくる奴も居るがフィーニスがそれを叩き潰す。大きさも強さも大したことのない相手だ。俺がブレスで焼き払えば一瞬で倒せるだろう。だが死界の魔物だ。弱い雑魚のはずがない。
(グラトニーコックローチ F )
視界に入った物を何でも食べようとする蟲種。単体だと気持ち悪く弱い魔物。だが群れる性質があり数百匹の群れを形成する。群れはSランク上位に指定されるほど。
群れたグラトニーコックローチは見境なく生物を捕食する。上位竜や下位龍をも群れで襲い食い殺すほどの凶暴性を持つ。暴食の災害と言われており超危険魔物に指定されている。
数百匹の群れを形成して下位龍をも食い殺すか。群れはSランク上位に指定されてるのか。・・・ヤバくね?死界舐めてたわ。
「「キシキシィィ!」」
グラトニーセンチピードが地を這いずりながらこっちに向かってくる。その光景を見て俺とギューリーは背筋がゾッとした。
「ギャギャアァ!」
『逃げるぞ!』
勿論だ!こんなの相手にしてられるか!
俺達は走り出す。それと同時に背後から凄まじい気配を察知した。俺は後ろをチラッと見る。暗闇の中でも分かるほど蟲が蠢いて迫ってきているのが分かる。それに蟲に飲み込まれた樹木が一瞬で無くなってるのが分かる。絶対に追いつかれたらダメだ。一瞬で食い殺される。
『キモイ!キモイ!ダークスフィア!ダークスフィア!』
「キィ!?」
(経験値100入手しました)
アルファが追いついたゴキブリを魔法で迎撃する。一匹一匹は弱いが数が多すぎる。こんなの相手にしてられるか。
俺は木々を薙ぎ倒しながら森の中を爆走する。途中5メートルはある大蜥蜴がゴキブリの波に呑まれて一瞬で骨になった。他にも果実のなった木や食肉植物も一瞬で食い散らかされていた。
「ガァァァァ!」
(経験値2000入手しました)
俺は一瞬後ろを振り返りブレスを放つ。業火がゴキブリの波を焼く。何匹か倒すことはできたが、直ぐに業火の中を突っ切ってきた。仲間が死んでも臆さずに向かってくるか。それどころか焼けた死体を貪っている。俺達を食うか何か食べるか頭の中にないらしい。
俺達はとにかく逃げる。全速力で逃げる。逃げてる先に渓谷が見えてきた。俺達は翼を広げて飛び向こう側に渡る。何匹か後ろから来た仲間に背中を押されて崖底に落ちていった。ゴキブリ達も流石にこっちまでは追いかけてこれないようだ。逃げ切れたのか?
ゴキブリ達は踵を返して森に帰っていった。どうやら諦めてくれたようだ。
『おっかねぇな』
少し休憩しよう。流石に疲れた。
俺達が辺りを警戒して休んでいたその時だった。かなり強い気配が近づいてきてるのが分かった。
木々を切り裂きながらそいつは現れた。俺の2倍はある体躯に立派に生える一本角。そしてゴキブリとは格の違う茶黒の黒光りした甲殻。昆虫の王様と名高いカブトムシだ。
「ゴォォ!」
『なっ!?』
『おいおい!マジかよ!』
(キング・ビートル S+)
ビートル種の最終進化種。その甲殻はミスリルの剣でも傷つかずその角はアダマンタイトをも砕くほど。その巨躯は山をも引き摺る怪力を持つ。敵には甲虫の王の名に恥じぬ力を奮い敵を叩き潰す。傘下には甲虫の王に恥じぬ褒美を与える。キング・スタッグビートルとは非常に仲が悪く縄張りを賭けてよく争っている。
種族 キング・ビートル
名前無し
level150/200
HP2400
MP1720
攻撃力1780
防御力2100
魔攻850
魔防1200
素早さ110
ランクS+
スキル
突進levelMAX 馬鹿力level9 咆哮level8 ロックブラストlevel8 地割れlevel8 飛行level4 念話level8
パッシブスキル
豪腕level9 強靭level5 自己再生level3 気配察知level8 HP自動回復level7 王威level5 超肉体強化level4
固有スキル
配下強化level8 甲虫王の甲殻level5 甲王撃破level5
耐性
物理耐性level8 魔法耐性level5 龍耐性level3 氷耐性level5 炎耐性level5
称号
最終進化者 甲虫の王 魔物の殺戮者 格上殺し キングスレイヤー
なんだこの化け物!?ステータスだけならシルクとほぼ同等だぞ!?やり合ったら確実に負ける。逃げるか?見た感じ遠距離攻撃はロックブラストしかない。距離を取れさえしたら逃げれるはずだ。心臓がバクバクと動く音が頭の中に響く。
だが俺の心配は杞憂に終わった。キング・ビートルはそのまま俺達を無視してドシンドシンと木々を薙ぎ倒しながら森へ戻っていった。良かった。ここで敵対してたら俺達は一瞬でやられていただろう。
『私が思ってたよりもヤバい奴がゴロゴロとしてるようだな』
アルファの言う通りだ。俺達の力が通じるなんて思っていたがそんなことなかった。・・・来るの少し早かったか?
『来てしまったからにはここで生き残るしかねぇな』
ギューリーの言う通りだ。来てしまったからにはここで生きるしかねぇ。経験値も良いしハイリスクハイリターンだ。
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