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終焉の龍の卵  作者: レッドヴォルト
死界 蟲蔓延る病の谷編
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死界

楽園、そこは未開の地である。数々の財宝が眠っていると言われて多くの調査隊や腕のある冒険者が送り込まれたが、誰一人帰ってきた者はいなかった。全滅したと言われたり楽園が思っていたほど良い場所で定住したと言われていた。


ある日第7期団の団長が満身創痍の状態で楽園から帰還した。その時彼が情報屋に放った一言は世界を震撼させた。


「あそこは楽園なんかじゃなあ。死の魔境だ」


今まで楽園だと言われていた場所が楽園などではなく死の魔境と言われたのだ。


彼の話では強力な数々の魔物、そして異常な程の自然環境が立ちはだかったと言う。過酷な旅で数多くの団員が他界したと言う。だが彼は何人も犠牲にして楽園の奥地へと辿り着いた。


だがそこに待っていたのは希望ではなかった。人智を凌駕する力を持つ王達が待っていた。王達の洗礼により団員は彼以外は全滅した。


彼はこう語った。確かに楽園には財宝があった。だがその財宝の輝きが霞むほど私はあの場所に魅入られたのかもしれない。冒険を求める者よ力を求める者よ楽園、いや死界に向かえ。彼はそう言い残して息を絶った。


彼の死に際に放った言葉が数々の冒険者、英雄を突き動かした。だが彼以外まだ死界の奥地に辿り着いた者は数少ない。




そんな死の魔境に俺達は辿り着いた。遠くには人間の街が見える。いや街と言うより前哨基地のようだ。そして更にその遠く山ほど大きな蛇が動いている。その光景はかなり現実離れしていた。


「ギャァ!」


『ここが死界か』


『行くぞ。気をつけろよ。ここは死の魔境だ』


俺達は人目に付かない様に移動する。この死界に居る人間なんて絶対に強い。エンカウントしたら大変なことになるだろう。今の力で十王と戦えないだろう。力を蓄えなければ。




俺達は茂みを掻き分けて進む。空気が重くなっているのを感じる。


『蟲蔓延る病の谷に侵入した。気をつけろよ。ここはもう死界だ』


ここで魔物を狩って進化する。あと感染症に罹患しない様にしないとな。アルファ、世界の声に感染症の予防方法を聞いといてくれ。


『ああ、分かった』


取り敢えず休める場所を探さないとな。


俺とギューリーが前衛、フィーニスが殿を務めている。しばらく歩いていたその時だった。パキリと枝が折れる音がした。俺とギューリーはハッとして振り向く。


「ギシャァ!」


「シィィ!」


フィーニスが茂みに咆哮する。それと同時に茂みから巨大な蜘蛛が飛び出してきた。いや蜘蛛と言うにはその姿はおかしかった。後ろの腹の部分がサソリの様になっている。


(エンシェント・スコーピオンスパイダー 古代種 A-)

スコーピオンスパイダーの古代種。通常のスコーピオンスパイダーの3倍程の巨体で獲物に襲いかかる。そのサソリのような尻尾から粘着質な糸と共に猛毒を吹き出す。毒は通常のスコーピオンスパイダーの5倍程の毒性であり一滴で成人男性100人を毒殺できるほど。だが毒が効かない相手には弱く肉弾戦は不得意。通常のスコーピオンスパイダーとは違い知能が高くその毒性の危険性を理解しており非常に好戦的で毒を利用して格上の魔物にも襲いかかる。


いきなりAランクの魔物の登場か。流石死の魔境と言われるだけあるな。


「キシィィィ!」


奴の尻尾から糸と共に猛毒が吹き出される。俺とギューリーはお互い左右に飛んで避ける。毒が当たった岩がドロドロと溶けた。凄まじい毒性だ。喰らったらひとたまりもないだろう。


「ウラァ!」


ギューリーが糸を掻い潜り奴の脚を斬りつける。剣は脚を断ち切り奴の体勢が崩れる。俺は食らいつこうとしたが、奴は尻尾の先端をこっちに向けてくる。今行ったらあの尻尾からの攻撃を避けることはできないだろう。だが今奴の注意は俺に向いている。


「ギャラァァァ!」


「キシィ!?」


フィーニスが上から落下して奴の尻尾に食らいつく。奴はフィーニスを振り払おうとするが、フィーニスの巨体に抑えつけられる。糸と毒を噴出して攻撃しようとしたがフィーニスに尻尾を毒腺ごと噛み千切られた。ピクピクと動いていたがしばらくしてこと切れた。


(経験値10000入手しました。levelが41に上がりました)


Aランクと言うこともあってかなり経験値も貰えた。


『毒腺を抜けば尻尾も食べれそうだな』


蜘蛛を食うのには少し抵抗があるな。まだピクピクしてるし。でも貴重な食料だ。食べれる時に食べておかないとな。




味はかなり酷かった。泥の味がした。もう食べたくない。残念なことにスキルは何も得れなかった。


『まっず!2度と食いたくねぇ!』


同意見だ。飢え死にしそうな時食うか迷うくらいだ。


「ギャラァ!」


ギューリーと悪態をつきながら蜘蛛を食べているとフィーニスが震えだした。フィーニスに魔力が集まっていくのが分かる。メキメキとフィーニスの背骨が割れて脱皮のようにフィーニスが這い出してきた。


「キシャァ!」


前よりも黒くなってるし大きくなっている。それに微かに白色も混ざっている。前の姿よりも2回りくらい大きくなっただろうか。恐らくだか進化したのだろう。


フィーニスが進化してくれると俺の負担も減るしありがたい。さて腹も膨れたし休める場所を探さないとな。

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