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終焉の龍の卵  作者: レッドヴォルト
テロニ族編
78/101

決着

「この姿でお前を全力で捻り潰す」


スライムの姿が消える。その直後、背中に衝撃が走る。


「おらぁ!」


「グォ!?」


一瞬で俺の背後に回って攻撃してきた。スライムが追撃を入れようとしてきたが、俺は奴の攻撃に合わせて顎を開く。


「痛っ!?」


スライムは攻撃を空振った。俺はガラ空きのスライムの腕に食らいつく。俺はそのまま地面にスライムを何度も叩きつける。


ガンガンとまるで岩がぶつかったかの様な音がした。だがスライムに大した外傷はない。


「この・・・野郎ぉぉ!」


スライムが俺の口を力ずくでこじ開けて直ぐに脱出した。


『ツインダークスフィア!』


「小賢しい!」


アルファが放った2つのダークスフィアがスライムに掻き消される。やはり低級の魔法じゃ効果は薄いか。足止めにもならない。


「これでも・・・喰らえやぁ!」


「グォ!?」


地面から岩を引き抜いてこっちに投げてきた。俺は岩を何とか受け止める。受け止めた反動でジリジリと後ろに下がる。


「ガァァ!」


「うらぁぁ!」


俺はスライムに岩を投げ返した。だがスライムは受け止めずに岩を殴り砕いた。


「おらぁ!」


砕いた岩を散弾のように投げてきた。広範囲の攻撃だったため完全に避けることはできない。俺は四対の翼を盾の様にして前に出して防ぐ。翼膜が破れたが防ぐことはできた。これくらいなら自己再生で直ぐに再生する。


「ガァァァァ!」


「っ!?」

 

俺は即座に翼を元の位置に戻す。さっきまで顔が翼で隠れていたから用意ができた。奴の不意を突くことができた。高威力の溜めブレスを放った。それも普通のブレスではなく雷ブレスだ。


雷ブレスはスライムに見事直撃した。スライムもまさか雷属性のブレスを放ってくるとは思っておらず驚いた顔をしている。


スライムが感電して動きが止まる。俺はスライムに向かって全力で尻尾を薙ぎ払う。スライムの体がくの字に曲がり吹っ飛んでいった。


「ガァァァ!」


「舐めるなぁぁ!」


俺は追撃でスライムに噛みつこうとした。だがスライムはギリギリのところで俺の牙を掴んで防いだ。


「おらぁ!」


「グギャァ!!」


スライムは俺の牙を掴むだけではなくぶん殴ってへし折った。俺はあまりの激痛に仰け反った。


「うらぁぁぁ!」


スライムは俺の折れた牙を握りしめて向かって来る。速い。だが捉えられないほどではない。


『ダートウォール!』


アルファがスライムの進行方向にダートウォールを放つ。スライムは土の壁などものともせず突っ込んできた。土の壁が崩れて土煙を突破してスライムの姿が見える。


『今だ!』


「ガァァァァ!」


「ッッ!?」


竜袋が破裂するほど息を吸い込み吐き出す。喉が焼け切れるかと思う程の高熱のブレスがスライムを襲う。青黒い炎がスライムを包み込んだ。


「ぁぉぁぁぁあぁぁ!」


「グォ!?」


『なっ!?』


俺達はスライムがその場でのたうち回るかと思っていた。だがスライムはその身を焦がしながらブレスを突っ切ってきた。奴の顔が一瞬見えた。その顔はさっきまでの舐め腐った顔ではなく覚悟を決めた者の顔をしていた。


「あぁぁあぁ!」


スライムは炎に包まれたまま俺を殴りつけた。予想してなかった一撃をまともに喰らってしまい視界が揺らぐ。


「まだまだぁ!」


「ァガァ!」


スライムが回し蹴りを放つ。強烈な一撃が俺の顎にクリーンヒットした。顎の骨が砕かれるかと思う程の衝撃が俺を襲う。


「ガガァ!」


俺は爪を振るいスライムとの距離を離す。スライムが距離をまた詰めようとしたが、俺は尻尾を振るう。尻尾の先端がスライムの顎を掠る。


スライムの体勢がガクンと前のめりになり一瞬崩れた。俺はその隙を突いてタックルする。


「うが!?」


『貫釘!』


スライムの体が宙を舞う。宙を舞ったスライムにアルファが貫釘を放つ。釘がスライムの体に突き刺さり破裂する。スライムの体の一部が破裂した。


「あ!が!うが!」


スライムが何回か地面にボールのようにバウンドする。スライムは直ぐに起き上がり俺から距離を取る。


「はぁ・・・はぁ・・まだまだぁ!」


スライムがまた向かって来る。今度は直線ではなくジグザグに動いてきた。俺はスライム目掛けて爪を振るう。スライムは地面スレスレまで屈んで回避した。


「ガァァ!」


「うお!」


俺は闇魔法のシャドーネイルを地面を掬うように放つ。奴は避けようと横に大きく飛んだ。


俺は奴に向かって殴りかかる。スライムは器用に空中で蹴りを放ち俺の拳を相殺する。一瞬だったがスライムの動きが止まった。この時を待っていた。


俺はもう片方の拳に暗い閃光を纏わす。勿論今使える魔力全てを注ぎ込んだ一撃だ。空中で硬直して隙だらけのスライムの腹に目掛けて拳を突き出した。


「ガァァ!」


「ぁぁぁ!」


スライムの胴体が爆散して引き千切れる。スライムは何度も地面にバウンドして崖まで吹き飛ぶ。


「お、落ちる!た、頼む!助けてくれ!俺が悪かった!もうテロニ族には手を出さない!引き上げろ!おい!助けろ!」


奴はギリギリの所で崖に掴まった。今にも落ちそうだ。勿論こいつを助けるわけない。こいつはここで殺す。


魔力を全て使ったからか体が重い。歩くのも辛い。俺はスライムの目の前まで移動する。そして俺はスライムの腕をソッと掴む。


「助けてくれるのか?・・・そうだ!それで良い!速く引き上げろ!」


引き上げる訳ないだろバカが。


俺は掴んでたスライムの手を離した。スライムの顔が希望溢れた顔から絶望に染まった顔に変わる。


「ぁぁぁぁぁぁ!」


スライムは断末魔と共に落下していく。ボチャンと大きな水飛沫と共にスライムは荒れ狂う大海に沈んでいった。辺り一面は絶壁だ。例え生きていようとも登ってこれず溺死するだろう。とにかく今は勝てたんだ。そのことを喜ぼう。


一仕事終えたからか一気に疲れが押し寄せてきた。


俺はその場に眠るように倒れ込んだ。遠くから誰かが俺の名前を呼ぶ声が聞こえたが俺の意識は沈んでいった。


誤字、脱字があればご報告お願いいたします。感想、いいね頂けると嬉しいです。

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