表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終焉の龍の卵  作者: レッドヴォルト
黒竜編
42/101

制御

「グォォォ!」


俺の咆哮が大気を揺らす。視界がまた真っ赤に染まっていく。喉から熱いものが込み上げてくる。牙をガチガチと鳴らし今にも食らいつきそうだ。俺が俺じゃなくなってしまう。ここで耐えなければ本能に呑まれてしまう。耐えるんだ。耐えろ俺!


『耐えろオメガ!お前なら出来る!』


「ギグラァァ!」


理性と本能が拮抗する。頭が割れそうだ。俺は無理矢理本能を抑え込む。溢れ出ようとしている鍋に蓋をするように。溢れ出ようとする本能を抑えながら攻撃を回避する。早く抑えないと手遅れになるぞ。


「ギグラァ!」


「グハァ!」


大百足の尻尾が俺の腕に当たろうとしたその時だった。ギューリーが身を呈して守ってくれたのだ。


『俺のことは気にするな!気にしてるなら早く抑え込め馬鹿野郎!俺が作った隙を無駄にするな!』


っ!?そうだよな。すまねぇ!オラ本能がなんぼのもんしゃい!俺には守るべきものがあるんだよ!ドラゴン舐めんなぁぁぁ!


本能を理性で塗りつぶす。体が重い。だが重くしんどいのに力が湧いてくる。視界の色が戻ってくる。だが目の前の敵を討ち滅ぼしたいと言う気持ちは変わっていない。デメリットを殆ど無くして力を引き出すことに成功した。


『よくやった!よし行ってこいオメガ!サポートは任せろ!』


『早くそんなデカブツぶっ飛ばしてしまえ!行ってこい相棒!』


「グラァァ!」


「ギラァ!」


俺は大百足に突進する。2体の巨大な魔物がぶつかり合う。お互い押し合い一進後退を繰り返す。先に痺れを切らしたのは向こうだった。至近距離でロックブラストを放ってきた。俺は岩を避けてお返しに顔面に蹴りを入れる。顔の甲殻が凹む。追い打ちでアルファが魔法を何発か入れると甲殻が割れて肉が顕になった。


「グォォォ!」


「ギグィィ!」


「シャオラァ!」


割れた甲殻にギューリーが切り込む。それと同時に俺は暗い閃光を拳に纏わせて乱打する。メキメキと甲殻が割れていく。だがお互い削り合いボロボロだ。大百足の甲殻はボロボロになり血が吹き出している。対する俺らも傷がいたるところに付いている。MPも殆ど使ってしまい魔法をあと1回撃てるかどうかぐらいしかない。大型の魔物2匹が辿り着いた答えはこうだった。己の全てを使った捨て身の突進。最大威力で武器が無くなった時の最後の一撃。


「ガァァァ!」


「ギチィィ!」


2匹の魔物が己の全てを賭けて突進する。ドシンと地面が揺れる。2匹の魔物がお互いの身を削りながらぶつかり合う。爪も牙も使わず純粋な突進だけで決着を着けようとする。


「ギチィ!」


大百足が仰け反った瞬間、俺は腹の下に潜り込む。大百足は俺を押し潰そうとして来たが、大百足の首に食らいつく。


「ギィィ!?」


「グロォォォ!」


大百足が俺を引き離そうと暴れる。何度も地面に俺を叩きつけて来るが俺は牙を離さない。離したら振りほどかれて絶対に負ける。このまま死んでくれ!


「ギィィィィ」


ドシンと音を立てながら大百足が仰向けに倒れる。ピクピクと痙攣しているが、まだ生きている。俺はトドメを刺そうとしたが、動けなくなってしまった。あと少しなのに。ヤバい大百足が起きやがった!動け!ここで無理しなくていつするんだ!


『やべぇぞ!おい!起きろ!』


うるせぇ!俺も必死にやってるって!


「ギィィィィ!」


大百足が大顎を開けて突進したその時だった。大百足の額に剣が突き刺さった。大百足はゆっくりとまた仰向けになって倒れた。


(経験値7420入手しました。levelが20に上がりました。称号、格上食らいが称号、格上殺しになりました)


『ラストアタック頂いたぜ』


ギューリー!助かったありがとう。


『相棒のピンチに駆けつけるのが相棒だ。そうだろう?』


ニカッと笑いながら俺の背中をさすってくれた。あーそこそこ・・・ありがとうだいぶ楽になった。てか本当に倒せたんだよな?生き返ったりしないよな?本当に死んでるよな?


『安心しろ経験値取得のアナウンスも入っている。死んでるさ』


『でも砲塔蜥蜴みたいにまたゾンビになって生き返ったりしねぇよな?』


た、たぶんきっとメイビー大丈夫だろ。


俺とギューリーは倒した大百足に背中をつけて休む。山までもう少しだがこんだけダメージを負ったらしばらくは動けないだろう。今は体力を回復させることを優先しよう。


俺とギューリーは大百足の一部を頬張る。感触はゴムみたいで味は・・・あまりよくない。でも食えないことはない。お残しは厳禁だ。命を奪ったなら責任を負わなきゃいけない。それが殺した者、勝者の務めだと俺は思っている。


『これあまり美味くねぇな』


『それな。私はあまり好きではない』


食い切るまで動かんぞ。無心で食え無心で。


(スキル、HP自動回復level1を入手しました)


よしこれでHPの回復が早まるな。うーん大百足スキルは美味かったけど味は残念だったな。

近い内に新しい作品を出しましので楽しみにしといてください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ