血湾竜
数時間前の砂漠の上空・・・
「本当に逃がしてよかったのか?何か思いついたのか?それとも昔の仲間を殺すのが嫌だったのか?」
「・・・半分正解だアルバフラマ」
「貴公のことは何も覚えておらんだろうに・・・まあ貴公が殺さぬのなら我も殺さん。貴公に従おう」
「お前も俺の名を忘れているだろう。俺も忘れているがな」
「名前のことはもうよそう。それで何を思いついたのだ?復活したからには何か理由があるのだろう?」
「またラグナロクを引き起こす。そして神々を滅ぼして全て最初からにする」
「・・・またアズハのためにか?」
「・・・俺のためでもある」
「まだ慕っているのだな。愛とは神をも歪ますか」
「アズハがああなったのは俺のせいだ。俺のせいでアズハは、堕ちたんだ。あの時・・・俺が負けなかったら・・・」
「貴公らしくないぞ。あの戦いは私の責任でもある。1人で背負おうとするな」
「・・・ありがとうアルバフラマ」
「それでどうするのだ?ラグナロクで戦った仲間は、神々に屠られた。貴公と私だけで神々にまた戦いを挑むのか?」
「伝説の魔物達を復活させる予定だ」
「正気か?我々が殺されるのがオチだ。そもそも伝説の魔物が我々に従うとでも思っているのか?」
「勿論従うとは思っていない。だが目的が同じなら協力してくれるはずだ。終焉龍と封剣は、目覚めた。あとは他の伝説の魔物を目覚めさせるだけだ」
「・・・精々彼等と目的が合うことを祈ろう」
「神殺しの幕開けだ。伝説の魔物以外も集めるぞ」
「当てはあるのか?」
「死界とアビスに向かう。雑兵程度にはなる奴が居るだろう」
俺とギューリーは休憩を終えて山に向かっている。砂漠の朝日が眩しい。結局少し休憩するつもりが、ぐっすり眠ってしまった。そのお陰で体力もMPもマックスの万全な状態で出発できた。山に近づくにつれて気配察知に色々な魔物が引っかかる。だが俺ももうBランクだ。弱い魔物からは喧嘩をふっかけられない。でも飯には困るんだよな。前までは勝てそうな奴も挑んで来たが、今は俺の姿を見ただけで逃げてしまうからな。
『エビ・・・食べたい』
俺もだ。デザートシュリンプまた出てこないかな。エビチリの材料があったら絶対エビチリにしてる。あーでもエビフライもいいよなーあんな巨大なエビフライ食べれたら幸せだろうな。この砂漠に居たら魚介類食べ放題だろうな。でもそろそろガッツリとした肉が食べたいな。ん?この臭いは・・・血の臭いだな。風に乗って臭ってきた。進行方向からだし行ってみるか。いいよな?
『肉!肉!』
砂丘を越えると四つ首のラクダが、砂の上に倒れてるのが見えた。血が砂に染み込んでいる。腹がガサこそ動いて何かが貪っているようだ。向こうもこっちに気づいた様でゆっくりと顔を上げた。
背骨の一部が隆起しており動きやすそうな細身の体、鋭い牙がチラリと見え真っ赤に染まっている。第一印象は恐竜だった。いやこの世界ではドラゴンなのか?それとも翼がないからドレイクか?
(アクロカント・ドラゴン C+)
大型よりの中型のドラゴン。乾燥した環境を好み隆起した背骨は、熱を逃す為に使われている。翼は完全に退化しており飛行は出来ない。背骨の隆起の隙間に竜袋が、敷き詰まっており凄まじい威力のブレスを放つことができる。
その頑丈な脚で獲物を、追いかけて鋭い牙で出血させて弱らせる。別名、血湾竜とも呼ばれている。
種族 アクロカント・ドラゴン
名前無し
level43/50
HP845
MP683
攻撃力743
防御力490
魔攻350
魔防640
素早さ90
ランクC+
スキル
ブレスlevel5 噛みつきlevel5 竜の尻尾level5 ドラゴンバッシュlevel3 闘争心level4 気配察知level3テールスイングlevel5 咆哮level5 地鳴らしlevel3 俊足level2 豪腕level3
固有スキル
竜鱗level4 ハードボーンlevel3 固血妨害細菌level1
耐性
炎耐性level3 打撃耐性level3 音撃耐性level3
称号
竜族 魔物の殺戮者 格上殺し 悪魔食らい
こいつドラゴンなのか。でもC+なら勝てそうだな。でも体格がでかい。ステータスが俺とほぼ代わりないし下手したら押し切られるかもしれない。だが今回は1人で戦ってみたい。いいかな?
『死なないなら別にいいぞ』
ギューリーからのお許しが出たようだしやってみるか。閃光を使わずに倒すのが目標だ。あれは最終手段、切り札だ。
「グェェェン!」
「グォォォ!」
こっちがやる気と分かったのかアクロカント・ドラゴンも食事を止めてこっちに向かってきた。俺は牽制に爪を振るい咆哮する。だが奴は俺の爪に億さずにタックルをかましてきた。予想外の攻撃に俺の爪はペキリと折れて宙を舞った。激痛が指に走り怯んでしまった。
「グェェン!」
「グォ!!」
ヤベェ!隙を作ってしまった!!こいつ意外と力が強ぇ!
首元に噛みつかれてジョリっと嫌な音と共に激痛が俺を襲う。その痛みを我慢して俺は頭をぶん殴って翼を広げながらバックステップして距離をとる。首を見てみると大量に出血していた。俺は急いで再生を使う。出血死するよるかはマシだがこの痛みには慣れねぇな。
「グェェ!」
「ガァ!」
お互い睨みつけながらゆっくりと相手の隙を伺う。こいつ防御力も高いし攻撃も厄介だ。一々再生していたらMPが持たないぞ。こりゃ持久戦に持ち込むよりも短期戦で一気に片付けた方がいいな。幸い魔法耐性はないし魔法を混ぜながら戦っていこう。