暗い閃光
さあ第2ラウンド開始だこの野郎!不思議だな。体はボロボロなのに体が軽く力が漲ってくる。これが・・・俺の力か!
俺は機竜に向かって突進した。先程とは比べ物にならない速さで砂の大地を走る。俺の拳が機竜の右腕の装甲に直撃した。ガコンと装甲が凹む音と共に機竜が後ろに吹っ飛んだ。だが俺の攻撃は終わらない。追撃で噛みつこうとした。その時に牙に黒い閃光が、纏わりついた。そして機竜の装甲に食らいついたその時だった。雷が落ちたかと思わせる程の轟音が辺り一帯に鳴り響いた。
「ギュラァァ!?」
装甲が爆ぜて腕がぶっ飛びそこから赤黒い液体を垂れ流している機竜が見える。だが奴も流石に反撃してきた。背中の砲塔からまた炎が放たれる。だが何故だろうか。俺は本能的に腕を振るった。すると腕から先程と同じ黒い閃光が放たれて炎を打ち消した。それどころか炎を貫通して機竜の体を貫いた。
「ギュラァァ!」
機竜はそれでも億さずに俺に爪を振るってきた。俺も爪を振るいそれを受け止める。だが翼の砲塔からの炎が俺の顔を炙る。熱いが動けない訳ではない。俺はもう片方の手で砲塔を掴みへし折った。もう片方の砲塔も掴んでへし折った。
「グォォォ!」
「ギュァァァ!」
砲塔を折られた痛みで機竜の攻撃がより一層激しくなった。爪や牙を防ぎカウンターをぶつけて行く。顎にぶつけて脳震盪を狙うがあまり効果がない。決定打が足りない。もっと鋭くて早い一撃を叩き込まないとこっちが負ける。意識しろ。本能的にではなくあの閃光を放て。時間がない。あの感覚を思い出せ・・・よしこうか!
「グラァァァ!」
「ギュァァ!」
爪に黒い閃光が宿り遂に機竜の腕を引き千切った。そのまま勢いに乗って叩き込む。ボコボコと体に穴が空き色々吹き出してくる。爪にあの閃光を乗せれるのだから尻尾にも乗せれると思い俺は意識を集中させて振るった。メキっと骨が折れる音と共に機竜が吹っ飛んだ。それと同時に尻尾の先端に鈍い痛みが走る。尻尾の骨が折れてしまった。だが攻撃を止める理由にはならない!
「グォ!」
「ギュラァァ!」
吹っ飛ばされた筈なのに無理矢理体勢を、整えて反撃してきた。だが腕を無くしたから噛みつきと蹴りぐらいしかしてこない。俺は口に意識を集中させてカウンターで機竜の首に食らいついた。そのまま振り回して地面に叩きつける。機竜も抵抗したが腕がない所為でまともに反撃できてない。そして遂に俺の牙が、機竜の首を捕らえた。バキっと潰れる音と同時にビクンと機竜の体が大きく痙攣した。
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機竜が死んだ瞬間、体から力が抜けて激痛が走る。息をするのも辛いほどだ。段々と意識が薄れていく。死ぬのかな?ああ・・・もう何も考えれない。ギューリーの叫び声が段々と小さくなっていき俺は眠りについた。
《よお久しぶりだな》
久しぶりに聞いた声、そして俺はポップコーン片手に映画館に居た。
《驚いた顔してるな?いや顔は無いか。まあ君の疑問に答えるとしたら・・・君は生きている。かなりギリギリの状態だけどな》
俺は死んでないんですか・・・それにしてもまた何故この空間に呼んだんですか?
《率直に言うと君を進化させる必要がある。君が血の力である暗い閃光の力を、開花させたからな》
マジですか?俺まだlevelは全然足りてませんけど。
《特殊進化だ。正統な進化系統からは外れるけどその予定だったしな。少し早まっただけだ。この中から進化先を、選んでくれ》
そう言うと目の前に進化先が表示された。
(現在進化可能な種族)
・深黒竜成体 stage4 B (冥種)
深黒竜の成体。平均体高約4メートル、平均体長約9メートルの中型の竜種。獰猛で闇属性に高い適応力を持つ。その巨体を利用した物理攻撃も凄まじいが、ブレスは吹きかけた獲物の肉をあっという間に焦がす。
角は霊薬としても使われる為近年密猟で数を減らしている。
・リトルアビスドラゴン B
アビスドラゴンの亜成体。平均体高2メートル、平均体長4メートルの小型の竜種。深淵の底、アビスに生息している為か深淵に適応しており深黒竜以上に獰猛な種。
小型の為かスピードに特化している。その目は深淵の中で暮らしてきたからか退化している。だが嗅覚と聴覚は凄まじく隠れた獲物の呼吸音だけで見つけ出すだろう。
・ジャエンティ B-
アルグラ周辺に生息しているドレイク種。平均体高3メートル、平均体長7メートルの中型のドレイク種。テロニ族の言葉で『掴む者』と言う意味を持つ。その名の通り物を掴むのに適した手を持ち武器を振るう珍しいドレイク種である。
・終焉の黒竜 stage4 B (伝説種)
黒竜の伝説の種。全てを食らい滅ぼし壊し打ち砕く終焉の者。かつて世界を滅ぼしかけた終焉龍の血を引く者にしか進化できない種。終わらす者よ歩みたまえ。終わらす者よ屍の山を築きたまえ。終わらす者よ目の前の敵を滅ぼしたまえ。終わらす者よ全てを最初に戻したまえ。
進化欄を見て決まった。俺が選ぶのは終焉の黒竜だ。伝説の種らしいしな。これで決定だ。
《それじゃ進化させる。記憶と前話してたサービスも付けとく・・・それじゃおやすみ》
意識が遠のいて俺は段々と深い沼に沈んでいき意識が途切れそうだ。この意識が途切れるのも何回目だろうな。気絶耐性とかで途切れなくなるのかな?あ、ダメだやっぱ耐えられない・・・
俺は微かに無駄な抵抗をしてみたが意味はなかった。