施設
《やあオメガ》
・・・またこの空間ですか。
俺が目覚めたのは前に訪れた白い部屋だった。前と違うところがあると言うなら今回は竜の姿で隣にギューリーが寝ているってことだ。
《今回はギューリーにも用があって呼んだ。それにかなり危険な状況だからな》
あの山羊頭の男の件ですか?
《そうだ。あの山羊頭の男についてだ。君達は今拐われてる》
殺す事が目的でキメラ野郎を送り込んだんじゃないのですか?
《悪魔のいや悪魔の主の目的はお前達の中にある血が目的だ》
あいつ悪魔だったのか・・・ん?悪魔って事はギューリーの村の仇じゃねえか。っとその前にお前達ってことはギューリーにも邪炎の血が流れているんです?
《そうだ。ギューリーには封剣ギルクの血が流れている。あとギューリーの村を滅ぼしたのは奴だ》
でも称号には何も書いてませんでしたよ。
《それはまだ彼の中の血が眠っているからだ。まあ後で合流して貰う予定だったから有難い。それにお前は変異種になったお陰で器の修復が、進んでいる》
『オメガ・・・ここは?』
お?起きたか。この人は知恵の女神メティス様だ。そしてここは白い部屋だ。
『!?!?!?知恵の女神メティス!?』
《まあ無理もない。ギューリー今回は貴様に用があって呼んだんだ》
ギューリーどうした?この人は怖くないぞ?
『メティスって言ったら神々の中でも4神に入るお方だゾ!』
《まあこの姿じゃただののっぺらぼうだしな。まあギューリーが起きたのでお前達にやってもらいたいことを教えよう》
『何でもお申し付けください!』
す、凄い。普段少し生意気なギューリーが服従している・・・だと?
《お前達の目的は悪魔の討伐、そして施設からの脱出だ》
悪魔を・・・殺す?あの化け物を殺せるのか?
『その悪魔はやはり俺の村を滅ぼした悪魔ですか?』
《そうだ。ギューリー貴様の中の血は悪魔に恐怖している。悪魔を殺して自分の力を目覚めさせよ》
『分かりました・・・俺が必ず殺します』
《あ、あと悪魔の主とは接敵するな。下手したら死ぬぞ》
その主って何者なんですか?悪魔より強いって事は分かりますが・・・
《悪魔の主は、原罪の探求者ヘルグレト・リッツだ。一言で言うなら・・・狂った探求者だ。彼は君達の血の中に原罪があると考えている。このままじゃ殺されるだろう》
原罪・・・まあ俺は伝説の魔物の息子だからな。存在自体が人間にとっては罪なのは分かるが死ぬ訳にはいかない。
《もう時間だ。取り敢えず生き残って施設から脱出しろ。じゃないと使命を果たせずに骸になるだけだ》
そう言うと女神様の姿は、消えて視界が真っ暗になった。
目が覚めると俺とギューリーは薬品や剥製が並べられている暗い部屋に居た。幸いな事にお互い拘束具は付けられていない。まさか迷宮にこんな場所かあるなんてな。
(ここは迷宮ではありません。カメリア大陸の内陸です)
・・・って事は迷宮から出て地上に来たってことか?
(迷宮はここから30キロ先にあります)
意図せず迷宮から出れたってことか。一応気配察知で周りを確認したが、ヤバそうな気配はない。でも分かれ道があるな。ギューリーと分かれて進むか?いやこの先に何が、待ち受けているか分からん。やっぱり一緒に行動した方がいいな。
『オメガ!左カラ行こウ』
何だっけクラピ・・・なんとかの法則だったっけ?人間迷ったら無意識に左の道を選ぶらしいな。あ、もう俺人間じゃなかった。まあ左から行きますか。
ギューリーと一緒に石畳の道を歩いている先にゴブリンより少し強い程度の気配を察知した。こっちに走ってくる。ここの施設の主が放ったのだろう。戦闘になるだろうな。ギューリー剣を抜け!
「ゴォォォォ!」
「ギュギュ!」
「コポォォォ」
現れたのはそれぞれ形が違うが、前に戦ったあの異形と似た様な魔物が走ってきた。ゴブリンに蜘蛛の体を、無理矢理引っつけた奴と人間の下半身だけで構成された様な奴に翼竜を無理矢理、地面を走らせましたって感じの奴だ。どいつもこいつも不気味な見た目だな。
「グォォ!」
「ウラァ!」
「コポォ!?」
「ゴォォ」
(経験値40入手しました)
翼竜型を逃したがギューリーが尻尾を掴んで剣を、突き立てた。戦闘力は・・・うん思ってたより低いな。まあ相手は俺らの捕縛だからな・・・ってなら何で俺らは拘束されてないんだ?捕える事が目的なら最初から拘束出来たはずだ。何故だ・・・分からん。でも進むしかないな。
『食えルノか・・・これ?』
おいこら突くな馬鹿野郎。まあ食べるしかないよな。焼いてみるか。
見た目的に1番食べれそうな翼竜型を焼いてギューリーと食べてみると鶏肉みたいで美味かった。
(スキル、麻痺の邪眼level1を入手しました)
ゴブリン型は少し焼いてみたがアンモニア臭が酷すぎた。鼻を摘んで生で食べたが酷い味だった。ギューリーも悶絶してて少し笑った。でも得られたスキルは何もなかった。
最後に下半身の奴を食べたが・・・うん見た目は酷かったけど海老みたいにプリプリで以外と美味かった。スキルはなかったけどな。
『あの下半身・・・マタ食べたイナ』
俺は精神的にあれは無理だ。もう食べたくないな・・・
『まあ取り敢エズ進もウゼ』
だな。この先に何が居るか分からんし少しでも体力を付けとかないとな。