岩蜥蜴
目が覚めると真っ暗な夜空が俺の視界を、覆っていた。どうやら本当に生き返れたようだ。
『あったま痛え・・・』
「ギャギャ!」
アルファが頭を、振りながら起きる。その隣でフィーニスが、騒いでいる。そう言えばフィーニスはバラバラにされたが、復活している。フィーニスも生き返ることが、できたのか。まあアンデットだから元々死んでるけど。
『それにしても十王・・・手も足も出なかったなぁ』
ギューリーが虚空を見ながら言う。ギューリーの言う通りだ。十王相手に手も足も出なかった。俺達は弱い。強くなったと思っていたが、上には上がいるもんだ。
『死界から離れるって考えはあるか?』
『ねぇな。わざわざここまで来たんだ。おめおめとどこかへ行くなんてできねぇよ』
『だよなぁ』
俺もアルファの意見に賛成だ。わざわざ死界まで来て十王に負けて尻尾を巻いて逃げるなんてな。
『残る選択肢は・・・十王と接敵せずにこの死界で強くなるか』
ギューリーが悩むように言う。確かに十王と接敵せずに死界で強くなるのは、不可能に近い。
『どーすっかなぁ・・・まあしばらくは現れないだろ。死んだと思ってるだろうし』
まあ悩んでても仕方ない。今できることをしよう。
『そうだな。まずは強くなることが先決だ』
俺達は防御手段が、少ない。魔法で盾を作って防ぐのが精一杯だ。俺達自体の防御力を、上げるしかない。自分達の防御力を上げるにはいくつかの手段がある。
まずはレベルを上げて基礎能力を上げる方法だ。一番これが堅実で簡単な方法だと思う。
2つ目は魔法の練度を上げることだ。魔法のレベルが上がればそれだけ使える魔法も増える。そしたら防御系の魔法を入手することが、できるはずだ。
そして3つ目は防御系スキルの獲得だ。硬皮などの防御力を上げるパッシブスキルを入手できれば楽なんだがな。レベルが上がれば上がるほど恩恵も大きいしな。
まあ3つ目の方法は持ってる奴を見つけないといけないからかなり難しいだろう。やはりレベルを上げて基礎能力を上げていくのが、ベストだろう。
『私は魔法の練度を上げるとしよう。お前らでも使えそうなのがあったら教えてやるよ』
それじゃ俺はお前が安心して魔法の練習ができるような場所を、見つけてきてやるよ。
『あ、それなら俺も行く』
『私も同行する。流石の私でも死界で独りで行動するのは危険だからな』
結局全員で行動することになった。それでアルファ。練習する場所の要望とかはあるか?
『そうだなー広くて周りが壁で、囲まれてる場所が良いな』
了解。それじゃ条件の合う場所を、探しに行くとするか。
俺達は森の中を突き進む。食肉植物が途中襲ってきたが、全て返り討ちにした。しばらく突き進むと崖に囲まれている窪地に着いた。
『ここ結構良いんじゃないか?』
周りが崖で囲まれていて出入り口が、ここしかないからここさえ抑えとけば外敵にも怯えることは少ないだろう。うん結構良い場所なんじゃないか。最悪飛んで逃げることもできるしな。
『ここをしばらくの拠点にしようぜ』
おい待て。まだ安全だと決まったわけではない。俺が先行して索敵する。後ろは頼んだぞ。
俺が先頭でその後ろをギューリー達が着いてくる。気配察知に何も反応しないし何も居ないかと思ったその時だった。メキメキと目の前の岩肌が、剥がれて動き始めた。
『な、何だ!?』
「グルギャァァァ!」
岩肌から巨大な岩の蜥蜴が現れた。ビリビリと殺気を感じる。こいつかなりの手練だ。ただのデカい蜥蜴じゃないな。
種族 地龍スマク
名前スマク
level20/150
HP2408
MP2010
攻撃力1990
防御力3000
魔攻1005
魔防1950
素早さ140
ランク S
スキル
噛み砕くlevel8 投擲level8 ロックストームlevel5 龍の爪level5 大咆哮level3 再生level8 破壊突level5 大地鳴らしlevel5 外殻硬化level5 見切りlevel5 魔力暴走level3 ハイブレスlevel8
魔法スキル
炎魔法level6 水魔法level3 大地魔法level8 上級魔力操作level5 上級魔力感知level9 龍魔法level3 魔力妨害level3
パッシブスキル
豪腕level5 堅牢level6 HP自動回復level5 思考加速level6 MP自動回復level3 身体強化level5 天威圧level8 自己再生level5
耐性
猛毒耐性level5 下級魔法耐性level5 斬撃耐性level5 麻痺耐性level3 電撃耐性level5 龍耐性level3 炎耐性level5 闇耐性level3
固有スキル
龍鱗level3 鉱物操作level5 龍神の加護level1 大地操作level3 地龍level3
称号
魔物の虐殺者 人類の虐殺者 龍殺し 悪魔殺し 破壊王 龍種
『おっほ!強そうだなぁ!』
『龍種か・・・初めて見たな』
俺も初めて見た。これが龍か。これがこの世界で、最強と謳われる種族か。でも龍って言うよりも蜥蜴にしか見えねえ。まあ龍には違いない。油断は禁物だ。気を引き締めていこう。
「グルァァ!」
『うわっ!?』
大地が隆起して岩の棘が、生えてくる。細い棘だが俺の鱗を容赦なく切り裂いた。
「ガァァ!」
「ゴァ!」
俺は目の前の地龍にブレスを吐く。だが岩盤が、盛り上がりブレスは防がれる。
「ガァァ!」
「ウラハァラァ!」
アルファが魔法を放ちギューリーが切りかかる。だが地龍は岩を浮かせて2人の攻撃を防いだ。それどころか防いだ岩から鉄の棘が、飛び出して2人を傷つけた。
「グルギャァァ!」
人の頭ほどある石が砂嵐のように吹き荒れる。視界が塞がれて動きが制限されて動きにくい。
「ガァ!」
「ウグァ!?」
「アガッ!?」
砂嵐を切り裂くように地龍が攻撃してくる。俺は何とか防いだが、ギューリーとアルファがダメージを受けてしまった。
俺は地龍に向かって右ストレートを全力で放つ。
ゴキィ!
「アギャス!」
いってぇぇ!なんだこいつ!?めちゃくちゃ硬い!骨折れたんじゃねぇか!?
俺は直ぐに距離を取って拳を再生する。俺の拳なら岩くらいなら粉砕できる自信はある。だが奴の外殻はヒビの1つも入っていない。
「ゴァァ!」
『水面潰し!』
地面を溶かすほどの豪炎が、地龍の口から吐き出される。それに対抗するようにギューリーが水魔法を、放つ。だが龍のブレスには無力で直ぐに蒸発してしまった。
「グルァ!」
「ギャ!?」
アルファが、地龍の喉元に食らいつく。メキメキと岩のような甲殻が軋む。地龍がアルファを、力ずくで引き離す。流石に噛みつかれたからか甲殻にヒビが入っている。
「グルロァァァ!」
「アギィ!?」
「ギャ!?」
鋭い龍鱗の炸裂弾が放たれる。鱗に龍鱗が突き刺さり血が噴きでる。だがそれだけでは終わらなかった。
「グルァ!」
岩が浮き上がり飛んでくる。俺は爪で弾こうとしたが、爪が砕けてしまった。直ぐさま古き盾を、展開して防ぐ。
ガゴォ!メギィ!
3枚重ねがけして何とか防げている。凄まじい威力だ。真面に喰らったら骨は確実に折れてしまうだろう。当たりどころが悪かったら即死だ。
「ガァ・・・ゲホッ!?」
アルファがブレスを放とうとした瞬間口の中でブレスが、暴発してしまった。
『あいつ口の中に石生成してきて投げ込んできやがった!』
搦手までしてくるのか。厄介だな。ブレスが封じられてしまったな。
『フローズンバレット!』
『水線!』
氷の弾丸と水のレーザーが、地龍の甲殻を傷つける。だが地龍は怯む様子もなく向かって来る。
「グリュァァ!」
「グォオ!」
地龍と俺が取っ組み合う。死期活性を利用してパワーを底上げする。
「グラァァ!」
俺は地龍を持ち上げて空中に投げ飛ばす。
『始祖の常闇!』
「ウギャ!?」
ドゴォ!
重力が、空中に投げ出された地龍を襲う。あの体格であの体重だ。落下ダメージは馬鹿にできないだろう。
土煙が舞い地面が揺れる。俺は土煙に向かって黒い凶弾を放つ。ギューリーも魔法を飛ばして追撃した。
土煙が晴れるとそこには甲殻が剥がれかけた地龍が居た。弱っているように見えるが、その目には闘志が宿っている。まだ戦意は残っているようだ。
「ガアァァ!」
地龍が叫ぶ。威嚇の咆哮ではなく自分を鼓舞するように。咆哮と同時に奴が身にまとっていた甲殻が、地面に剥がれ落ちる。
『第2形態か。楽しくなってきたな』
そこには岩蜥蜴の姿はなく猛々しく生物の頂点である龍が、居た。
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