表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/27

話しやすいは褒め言葉?

『らっしゃーせぇーぃ』


コンビニに到着。

やる気のないバイト店員の声を聞きながら、ドリンクコーナーへ。


「あった……5本くらいで良いかな。」


日曜は朝昼晩で3本は飲む。

月曜の朝晩も考えると……もうちょい買っとこう。

僕は10本の缶コーラをカゴに入れてレジに持って行った。

バイト店員が僕の顔とカゴを二度見する。

僕は特に反応せず普通に会計した。






マンションのエントランスで鍵を挿して扉を開ける。

中に入ってエレベーターのボタンを押した。

上の方にいっていたエレベーターが下りてくるのを待っていると、駐車場側の扉がガチャッと開かれた。


入ってきたのは我が校の誇るクールビューティー。

細身のデニムパンツに白Tシャツ、そして大きめのカーディガンを羽織っている。

ドルマンニットとかいうやつだろうか。

レザーのトートバッグを肩に掛け、手には紙袋とビニール袋を持った冴木先生であった。

先生はエレベーターを待っている僕の顔を見て、目を丸くした。


「…こんばんは。」


「こ、こんばんは長谷川君。」


なんだろう…何故か気まずい。

学校で目が合ったと思ったらそらされた記憶がフラッシュバック。

それを掻き消すように口を開いた。



「えっと……お出掛け帰りですか?」


何を聞いてるんだ。

見ればわかるだろ。


「えぇ、ちょっと買い物に。」


「そうですか…車ですか?」


駐車場の扉に目を向ける。


「そうよ。」


「そうですか。」


そうですか………

話終わったわ。

あ、ちょうどエレベーターきた。




エレベーター内に冴木先生と2人。

僕は8階、先生は9階。

長い沈黙だ。


「……っ…」


後ろから何か言おうとした気配を感じた。

チラッと後ろを見る。

先生がモゾモゾしながらこちらをチラチラ見ていた。


「あの、どうかしましたか?」


「え、あ、その……」


先生は小さく俯いた後、パッと顔を上げた。


「き、今日…冷たくしちゃって…ごめんなさい。」


「え……」


「学校だからあんまり話すと変だと思って……でも、ご馳走になった立場であの態度はあんまりだと…反省してるわ。」


クールなお顔がしょんぼりしている。

なにそれ、可愛い。


「い、いえ、僕は気にしてませんから。」


嘘です。

めちゃくちゃ気にしてました。


「というか、僕よりむしろ野口の方が……」


冷たくされてましたよね。

と言おうとしたが、これではまるで先生を責めてるみたいじゃないか。

何と言って良いかわからず、あーとかうーとか言っていると、その先を察した先生が苦笑いした。



「野口君って、長谷川君の前にいた子よね?」


「あ、はいそうです。」


「彼には、悪い事をしたわね。」


先生が弱々しく笑う。


「それは……まぁ、野口は先生と話せただけで嬉しそうでしたし。」


これは本当。

気持ち悪いくらいニヤニヤしてた。

というか気持ち悪かった。


「……私なんかと話しても何も楽しくないでしょうに。」


「え?」


「私は人と話すの苦手だし、愛想も悪いし、リアクションも薄いし、面白い事も言えないもの……だから、近付きすぎない方が良いのよ。」


……野口が嫌だから冷たくしてたわけじゃなかったんだ。

ただ一緒にいても楽しめないだろうと気を遣ってただけ?

だから食事を断った?




「でも先生、こうして話してる分には普通に話せてるじゃないですか。話すのが苦手とか愛想が悪いとか、僕は特に気になりませんけど。」


「長谷川君は……話しやすいから。」


なにそれ。

僕って癒し系だったの?


「えっと……褒められてます?」


「勿論よ。自慢じゃないけど、私がこうやって普通に話せる相手は数える程しかいないわ。」


本当に自慢じゃない。

何で胸張ってるんですか。

もっと張って下さい。



「それにほら、長谷川君って何だかちっちゃくて可愛いから……あっ」


「ぐっ……」


冴木先生ェ……人が気にしている事を……

いや、そこまで小さくないから。

これでも155cmは超えてるから。

高校卒業時には160cm突入してる予定だし。


「ご、ごめんなさい。気にしてたのね。」


「うっ……べ、別に良いです。」


「ま、まぁ…身長は抜きにしても、話しやすい雰囲気はあると思うわよ。じゃないと私がこんなに普通に話せるはずないもの。しかもまだ知り合ったばかりで。」


ふぅむ。

先生はそんなに人見知りだったのか。

というか学校でのクールな態度って人見知りしてたの?

そこからビックリなんだけど。


「そうなんですかねぇ……」


「今までにも同じような事言われた経験あるんじゃない?」


「いや、そんな事……ありました。」


何度かあったわ。

むしろ小中高と色んな人から言われ続けてる気がする。

「長谷川って小動物みたいで話しやすいよね。ほら、犬猫に悩み打ち明けちゃうみたいな。」って誰かに言われたなぁ。


……やっぱ小さいからなの。

よろしい ならば戦争(クリーク)だ。

怒りに燃えた僕なら真紅の吸血鬼だって5回くらい殺せるかもしれない。



あ、8階着いた。


「えっと……それじゃ先生、また……」


「ちょっと待って。」


冴木先生に袖を掴まれた。


「どうしました?」


「その……もうちょっと、話せないかしら…?」


えっ………可愛い。

「ちなみに先生、授業中は特に厳しいですよね。」


「え?そう?」


「だって野口の質問とか全部流してたじゃないですか。」


「授業中なんだから当然よ。」


あ、そこは普通に真面目なのね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] コンビニよりスーパーの方が安いでっせW
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ