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『疲れた休日』





 朝目が覚めると妙に重かった。


 布団をめくるとそこには愛歌がいて、俺が先に寝たのをいいことに入ってきたことが分かった。


 愛歌はまだ寝ていて、俺が起きるには早すぎる時間帯だった。


 今日の俺は奇跡的に早起きできたらしい、いつもなら二度寝をしようとするが今日は朝ご飯を作っておこうと思った。


「寝顔はまだまだ子供だな...」


 そう独り言を零して愛歌の寝顔を見ていると「お兄ちゃん...」と寝言を言い、ビクッとした。


 どうやらまだお兄ちゃんと呼ぶのを忘れた訳じゃないらしい。


「よし、顔洗おう...」


 早くに起きたのはいいが眠気が取れたわけじゃない。

 なので顔を洗い眠気を冷ましてから料理をすることにした。



 ◇



「何作ろ...」


 家にあるもので簡単に作れるレシピを考えていた。


 ベーコン、卵、パン程度ならあるのでベーコンエッグトーストだろうか、そこに少しサラダでもあればちょうど良い朝食になるだろうと思い作り始めることにした。


 それにしてもまだまだ可愛らしい妹だったが、これでは無くね?って話になりそうなので時間が解決するのではなく俺自身が諦めさせることが重要になってきた気がする。


「お兄さんおはようございます...」


 そんなことを考えていたら目を擦りながら愛歌が起きてきた。


「おはよう、愛歌」


「お兄さんが料理なんてできたんですね...意外です」


「一応一人暮らししてるからな簡単なレシピから攻略中だ」


 そう、料理で最も大切なのは慣れなので俺は簡単なレシピ本を買い、料理を慣らしている。


「お兄さんは料理できなくていいんです、私が毎日作るので...」


「学校あるだろ、しかも今日中に帰る予定だったじゃないか...」


 変なことを言い出す愛歌に対し正論で返していた。


 そしたら寝起きから機嫌が悪くなったみたいだ。


「よし、ご飯できたぞ〜」


 そう言うと「愛情たっぷりの料理なら食べます」と言ってきたので適当に返しておいた。


「見た目は良いですね...問題は味」


 そう言いながらパクッと口に頬ばって食べていた。

 どうやら愛歌が思った以上に美味しかったらしい。


「ご馳走様でした。思った以上に美味しかったです。私の立場が...」


「はいはい、そういえば愛歌はいつ頃帰るんだ?」


「お兄さんと結婚するまで...と言いたいところですが、お母さんとお父さんが早く帰ってこいと言ってきましたのでこれから帰ります」


「そうか、駅まで送るよ」


 駅までの道のりは案外遠い、徒歩だと45分くらいだろうか、地味に疲れる距離だ。


 見送りくらいしないとな...と思い一緒に外に出ることにした。


「大人しく帰るんだな...」


 駅が近くなってからぽつりと独り言を零した。


「お兄さんは居て欲しいですか?」


 その独り言を聞き逃さなかった愛歌はそう聞いてきたが一人暮らしをしていいこともあったがやはり寂しいと思うこともあった。


 全く状況が変わってない、いや悪化したかと思う愛歌を見ればもっと別の方法があったのかもしれないと思った。


「愛歌が俺を諦めてくれればそう言ったかもな...」


 そう言うと「そうですか」と微笑んでいた。


「駅に着いたぞ」


「そうですね、また会いに来ますねお兄さん」


「はいはい」


 愛歌はこちらを見ながら手を振っていた、まだ歳相応の可愛らしさが残っているみたいだ。


 クラスではめっちゃ告白されてそうだと思う。


 愛歌の背中が見えなくなったので家に帰ることにする。


「家に帰ったら二度寝だな...」


 疲れた休日だった、まだ昼くらいだがここに来るまでに愛歌と俺は食べ歩きもしていた。


 お腹がいっぱいになると眠たくなる、何故だか詳しくは知らないが俺もよく眠くなる、さっさと帰って寝よう...そう思った。









母「お兄ちゃんはどうだったかしら?元気してた?ちゃんと食べてた?」


愛歌「料理もできて理想の旦那さんになってました!」


母「旦那さんは置いといてっと愛歌が楽しかったならそれで良かったわ〜たまにはお父さんも役に立つのね」


愛歌「そうですね、お父さんナイスです!」


父「たまにはとか酷いじゃないか...まぁ愛歌が楽しかったならそれで良いんだが...ボソボソ」



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